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ぱんつ

ひまつぶし

紋章の部位は大きくわけて、使える魔法を示す魔陣紋と、魔力の量を示す魔脈線の2つに分けられる。

大多数の人は魔陣紋は背中、レアな魔法を持ってる人は手の甲に

魔脈線は手首あたりに

それぞれタトゥーのような感じで浮き出てくるのだという。


「く、草屋さん」


「…独歩」


草屋さんは複雑な顔をしながら、少し大きいサイズの鏡を持ってきた。


「見てごらん」


そこに映し出されたのは、左右非対称にゴツゴツと突き出たエラ、3つに割れたアゴ、飛び出た眼球とむくんだ瞼、極太の眉毛…

その眉毛と眉毛の間に、20本の魔脈線があった。

繋がったゲジ眉にしか見えない。

さらに額には、漢字の「肉」に似た魔陣紋があらわれていた。


「なんじゃこりゃ…」


ーーーーー


草原まで出ていくと、液状のモンスターがのそのそと這いずっていた。

ゲームでよく目にするスライムとやらだ。


「独歩、スライムに何か魔法を使ってみて。

最初から具体的なイメージや使い方が分かるものでもないし、増してやそんな魔陣紋は見たことがない…

物は試しというやつだ」


こくり、と頷いてスライムに手のひらを向ける。


「魔法、出ろぉー」


わからないのでとりあえず「開けゴマ」の要領で言ってみた。

しかし何も起こらなかった。


「うーん、そうだな…

じゃあ火、水、風、土、雷、光、闇

この7つの魔法の"基本属性"をイメージしてやってみようか。

少しずつ探っていこう。まずは火からだね」


言われた通り、火をイメージする。

ここにきてから7年といえど、異世界だ。

かっちょいい「インフェルノ」的なやつとか使えたらなぁ…と思いながら再度スライムに手のひらを向ける。


悪ふざけで「インフェルノ〜」とか言ってみた。


すると、見覚えのあるウィンドウが目の前に表示された。


『"スキル:神憶の書庫"を発動します。

"魔法:インフェルノ"を習得、発動します。』


直後、手のひらが失明しそうなほどの強い光を放った。


「えっ、ちょ…」


凄まじい轟音と共に、視界から草原の半分ほどが消し飛んでしまった。


ゆっくりと振り返ると、草屋さんは苦笑いをしていた。


ーーーーー


ー 夕食を食べ終えてしばらくした頃、草間さんはぼそっと言った。


「僕でも魔脈線は3本だ。

それでザニアさんの騎士隊に隊員トップで籍を置いていたというのに…」


結局あの後、抉れた草原を湖にしてしまったり、雷を落としまくって作った湖を干上がらせたり、草原の草や木をひとつ残らず毒漬けにして枯らしてみたり…

結局、全ての基本属性が使えることがわかった。


「滅茶苦茶だなぁ、はは」


草屋さんに一日に2度も苦笑いをされるのは今日が初めてだ。

身近な人が草屋さんしかいないので、私は自分がどのくらい強いのかさっぱり分からない。

でも、少なくともこの草原くらいなら数発魔法を撃っただけで消し炭にできそうだということはわかった。


「これはちょっと僕の手にはおえないな、ザニアさんに騎士隊養成所に入れてもらえるか訊いてみるかな…」


度々「ザニア」という名前を耳にするが、実際に見たことは1度もない。

草屋さんとはかなり親しく、また彼の上司…といった位置の人のようだった。


「独歩、今日は寝た方がいい。

魔脈線が20本もあるといえど、あれほどの魔法を何度も使用すればさすがに魔力の消費は大きいだろう。

すこし目がうつろに見えるぞ」


「うん」


8時30分ほどであったが、確かに少し疲れを感じるのもあって今日はいつもより早く眠ることにした。


寝室のドアを閉める時、少しだけ草屋さんの声が漏れて聞こえてきた。


「ザニアさん、"例の子"についてご相談がー…」


ーーーーー


「ちょっとォ、タニアスくんさぁ

草原が半分以上消し飛んだり、いきなり湖ができたり…

あの子滅茶苦茶だよ、なんなんだよもう」


「肩組もうとしないでくださいよ…てか仕事してくださいって」


「いいじゃん、ちょっと息抜きってなもんだよ。

そうだ、話のついでに…

あの子、草原を半分以上も消し飛ばしたならレベルも多少上がってると思うんだけど」


「そんなに気になるなら、先輩が直接見に行けばいいじゃないですか」


「ザニアさん、あなたが」

続くかもしれないし続かないかもしれない

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