復讐の女騎士編①
夢を見ていた。
住んでいた村が、燃えていく夢だった。
近所のおじさんが、迫り来る火に焼かれて悲鳴を上げながら燃えていった。
よく夕飯の余り物をくれた隣の家のおばさんが、逃げ惑う人々に踏みつぶされて気絶していく。
建物に火が回り、人々が阿鼻叫喚の悲鳴を上げながら逃げ惑う。そんな中、当時14歳だった私は一人外を歩いていた。こんな時にどこかに出掛けてしまったお爺ちゃんを探す為だ。既に一帯は火の海である為か、吸う空気は熱く肌にチリチリと焼き付けてくるような痛みが私を襲う。
お爺ちゃんが出て行った時のことを思い出す。アイツが現れた時、お爺ちゃんは真っ先に飛び出していった。まだ自分にもやれることがあるんじゃないか、と息巻いて。
私のお爺ちゃんは元々大きな国の兵士だったらしい。ドラゴンを倒した時に貰った勲章を見せながら、いつも私に楽しそうに話してくれた。
そんなお爺ちゃんの事が、私は大好きだった。
「お爺ちゃん、どこなの…」
村と言っても、合併と吸収を繰り返していたので領土や人員はかなり大きい。その上逃げ惑う人々。これではお爺ちゃんを探すのは一苦労だ。
「居るなら返事をして! お爺ちゃん!」
私は叫ぶが、その声に答える者はいない。まさかもう………
その時、誰かにぶつかられて私は地面に倒れる。私にぶつかった相手は舌打ちしながらどこかへ走っていってしまった。私はすぐに立ち上がる。膝を擦り剥いて痛いが、今はそれを気にしている場合ではない。
「お爺ちゃん、居るなら返事をして! 返事をしてよぉ……」
言葉がだんだん尻すぼみになっていく。私は自分の目に浮かんできた涙を手で拭うと、お爺ちゃんの姿を探す為に燃えていない建物の間を走ってお爺ちゃんを探す。
あまり火が燃え移っていない建物の間を抜け、やや広い空間に出る。そこに、誰かが倒れていた。一目で分かる、お爺ちゃんだ。
「お爺ちゃ…」
助け出そうと私は身を乗り出す。しかし寸前で踏みとどまる。
お爺ちゃんの上に、誰かが立っていた。いや、立っていたとかそう言う話ではない。誰かがお爺ちゃんの体を踏みつけていたのだ。
その男を見た私は瞠目する。その男は、全ての元凶だった。
真っ黒な血が付いたコートに、ギラギラと光る鋭い目。コートの端から映る手足や頬には生々しい血が滴り、その男の印象をより悪くしていた。
『黒百鬼の死神』。数え切れない程の人間、魔族を殺して快楽のままに国を滅ぼした、最低最悪の男。
その男がこの村に入って来たのは、つい数時間前の事だった。
奴を捕らえようと取り囲んだ自警団を皆殺しにし、村を守ろうと次々に挑んだ大人達を片っ端から殺害していった。
気が付けば村に火を点け、私の村を半壊に陥らせていた。
そんな男が、お爺ちゃんを踏みつけている。私は知らず知らずのうちに自分の体を抱きしめていた。
その時、『黒百鬼の死神』がこちらを向いた。一瞬目が合った気がした私は慌てて建物の陰に隠れ、顔を半分だけ出して様子を窺う。
「ク、ハハハ」
どこか不気味な笑い声が聞こえ、私は身震いした。『黒百鬼の死神』は足を振り上げると、お爺ちゃんの体を何度も、何度も踏みつけ始めた。
「オイオイ、その程度かよ! ざまあねぇなあ! もっと俺を楽しませろよ!」
ケラケラ、と笑いながら放たれるその言葉に、私は戦慄する。人を人とも思っていないようなセリフ。同じ人間とは思えないーーーーいや、そもそも同じ生物とすら思いたくない。
「チッ、つまんねえなぁ」
何回踏んだだろうか、『黒百鬼の死神』は退屈そうにお爺ちゃんの背中から足を放した。
「お前、つまらねぇよ。龍を討った兵士っつーから少しは期待したんだが、この程度なのかよ。期待外れもいい所だな」
お爺ちゃんを踏みつけていた右足が、思い切り引かれるのを私は見た。
「あばよ、退屈な老人」
「やめーーーー」
私の制止も届かず、アイツの蹴りがお爺ちゃんの脇腹に突き刺さる。お爺ちゃんの体は大きく飛ぶと、燃え盛る炎の直前で地面に落下した。ドサッ、と言う音が近くに居た私の耳に聞こえてくる。
「あーらら。ホールインワンとはならなかったか。こりゃ失敗したなぁ。もっと脚力を鍛えておくべきだったかねぇ」
外道発言を吐き、何がおかしいのか腹を抱えて笑いながら『黒百鬼の死神』が去って行く。その気配が完全になくなった事を確認すると、私はお爺ちゃんに駆け寄った。ボロボロの体を抱き起こし、声を掛ける。
「お爺ちゃん! ねえお爺ちゃんってば!」
しかし返事はない。私はお爺ちゃんの首筋に触れて、そして戦慄する。
「嘘ーーー」
私のお爺ちゃんは、既に冷たくなっていた。私の頬を涙が零れ落ち、お爺ちゃんの顔に落ちていく。
「う、うう……」
亡骸を掴む手が強くなっていく。私の周りの建物にも火が回り始め、退路が徐々になくなっていくがそんな事は気にしていられない。
「うあああああああ!」
私はお爺ちゃんの亡骸を抱えたまま、しばらく泣き続けていた。
その時から、私は決意した。
必ず強くなって、お爺ちゃんの仇を討とうと。あの『黒百鬼の死神』を殺して、その亡骸をお爺ちゃんの墓石に祭ってやろうと。
そこで、私は目覚めた。起き上がって窓を確認すると、まだ日が昇っていない。
「…久しぶりに、嫌な夢を見たわね」
つい、思っていた事が口から漏れ出る。あの夢を見たのは何か月ぶりだろう。時々こうして、過去の嫌な思い出が夢に出て来てしまう。
まあ、私の復讐心を鈍らせないと言う意味ではとてもいいのだが。
手早く着替えを済ませると、私は部屋の隅にあるお爺ちゃんのペンダントを身に付けた。お爺ちゃんの形見だ。勲章は村と一緒に燃えてしまったが、お爺ちゃんが出掛ける際に持ち歩いていたペンダントだけはどうにか回収できたのだ。私は壁に立てかけてあった剣を取ると、腰に装着する。
居間に行くと、一緒に住んでいるおばさんが既に起きていた。いつもこの時間には起きていなかったので少し驚く。
「あら、ラヴァちゃんおはよう。いつも早いわね」
「おはようございますスズキさん。今日は早いですね」
私が言うと、おばさんはホホホと笑う。
「何だか今日は早くに目が覚めちゃってね。二度寝するのもアレだし、たまには早く起きてみようと思ってね」
村を焼かれ、住む場所を失った私は、近隣の街に住んでいるおばさんに引き取られた。おばさんは「自分の家のようにくつろいでいいのよ」と言ってくれたが、それでは申し訳ないので家事や雑用は全て私にやらせてもらっている。
「それじゃあ、行ってきます」
「あら、朝の練習? 偉いわねえ」
「ええ、日課なので」
引き取られてから、私は朝昼晩の特訓を欠かさない。朝は軽い素振りとジョギング、昼から夜に掛けては街の兵士の人達に稽古を付けてもらっている。兵士の人曰く、この街はそれほど事件が起こる訳ではないので稽古を付けるだけの余裕はあるとの事だ。
家を飛び出し、私は軽く走り出す。日々の努力は裏切らない、と言う言葉は本当のようで、しばらく走ってもほとんど息切れしない。
同じところを五十周は走っただろうか。少し息が切れてきたので、私は少し速度を緩める。
「ふう……」
兵士長の話によると、私の実力は兵士の中でもかなり強いらしい。もう兵士全員で掛かっても勝てるかどうか分からないのだとか。実感が沸かない為に何も言えないが、その言葉に甘んじて努力を怠ってはいけないとは思っている。
昨日の自分よりも強くなる。でなければ、あの男を倒せない。
その時、視界の端で何やら不思議な物を見た。そちらに顔を向けてみると、一人の女の子が複数の男たちに連れられて路地裏に入っていくのが見えた。女の子の表情を見るに、どう考えてもいい雰囲気ではない。
普段から兵士たちにはお世話になっている身である為、私も自分に出来る限りの治安維持活動をやろうと決めていた。私は駆け足で路地裏へ向かう。路地裏の入り口には二人の男が立っており、見張りの役目を務めていた。見張りの男たちは私をギロリと睨みつけてくる。
「何だ、姉ちゃん。ここは立ち入り禁止だぞ」
男たちは厳つい顔をしており、かなり威圧感がある。しかし私は怯まない。
「何やら怪しい雰囲気だったから、様子を見に来ただけよ。で、何をしているのかしら?」
「あ? 何だっていいだろうが。どっかに行ってろよ」
男が顔を近づけてくる。それでも私が引かずに睨み返していると、奥から声が聞こえてきた。
「おい、いいじゃねえか。触らせろよ」
「嫌、辞めて下さい!」
その言葉を聞くや否や、私は考えるよりも先に駆け出していた。見張りの二人の間に入り込むようにして駆け抜け、女の子の両手を掴んで下種な顔を浮かべている男の顔面を殴り飛ばす。
「ぐあっ!」
私の体重を乗せた拳は男の頬に突き刺さり、その身体を地面へと叩き付ける。そこに気てようやく取り巻き達も私が居る事に気付いたのか、一斉に私を囲んでくる。
私は背中に女の子を庇い、腰を落とした。こんな多人数で一人を襲う事しか出来ない卑怯者に剣を抜いてはむしろ恥だ。徒手空拳で戦う事を強く決めた直後、取り巻きの一人が殴りかかってくる。
「うらあっ!」
突き出された拳を受け止め、顎に掌底を叩き込む。続けざまに突っ込んできた二人を、首への手刀で意識を刈り取る。まさに一撃。瞬く間に、私の足元に三人の体が転がった
「何だこの女、強え!」
取り巻きの一人がそんな事を言いながら、懐からナイフを取り出した。私は舌打ちする。私一人ならともかく、女の子を庇った状態でナイフの対処が出来るかと言われると少し自信がない。9割方安全であるが、100%安全ではないのだ。私は先制攻撃をするべく、素早く足を動かした。
次の瞬間、私はナイフを持った男の目の前に居た。
「…え?」
呆気ない声を上げるもつかの間、私の一本背負いが決まる。男はナイフを持ったまま路上に叩き付けられ、後頭部を打って意識を失った。
縮地。先日フラッ、とこの街に現れた武術家の人から教わった技の一つだ。初めてこの技を習った時、私はこれを高速移動の一種かと思ったがどうやらそうではないらしい。
目線や歩幅、体重移動などを行う事で、相手に悟られないように間合いを詰める。
これが縮地と呼ばれる技であるらしい。
今取り巻きの男に使ったのもこの技だ。移動した事すら気づかれないように動き、同じく習った『ジュード―』と言う異国の体術で倒した。何度も繰り返し練習した技なので、練習通り滑らかに動く事が出来た。
それはそうと、私があまりにも素早く敵を倒したせいで敵はたじたじになっている。私が一歩踏み出すと、彼らはビクッ! と震えた。
「どうしたの? 掛かって来ないの?」
その時、後ろから気配を感じる。振り向きざま肘を繰り出し、背後から奇襲を繰り出そうとしていた男を昏倒させた。
「不意打ちをしようとしても無駄よ。私、奇襲には強い方なの」
私の隙のなさに、男たちの半分は膝を震わせている。あと少し脅してやれば、蜘蛛の子を散らすように逃げていくだろう。
「さあ、次は誰がーーーー」
「お、おい!」
横から突然掛けられた声の方を向く。するとそこには、女の子の首にナイフを突きつけた男の姿があった。男の顔には見覚えがある、私がさっき殴り飛ばした男だ。
しまった、ナイフを持った相手を警戒し過ぎて肝心の女の子を疎かにしてしまった。普段一人でいる弊害だろうか。
「コ、コイツの命が惜しければなーーーー」
よくある台詞を吐く男。小物臭いことこの上ない。もう少し言葉を捻れなかったんだろうか。
私は足元をチラッ、と確認する。この距離ならギリギリ縮地が使える範囲内だ。ならば気づかれないように距離を詰め、手に持ったナイフを取り上げる事くらい造作もないだろう。
私は女の子をチラリ、と見る。私の視線に、女の子は不安そうな目を返してきた。
「大丈夫よ、すぐに助けてあげるからね」
私は声色と目で安心させるように言う。女の子はやや涙目でコクリ、と頷いた。
男のナイフの位置を確認する。男が私の接近に反応してナイフを動かすとして、その時間は概ね一秒程度。それだけの時間があれば、確実にナイフを取り上げることが出来るはずだ。
「ま、まずはその腰の剣をだなーーーー」
男が何かを言っているが、私の耳には届かない。腰を僅かに落とし、いつでも接近できる態勢を取った。失敗すれば人の命が失われてしまう。いつも以上に慎重に決めなければならない。
私が何もしない事に焦れたのか、男がナイフの角度を僅かにずらす。
「何やってんだ! 人質を殺されたいのか⁉」
----今!!
私が動き出そうとしたその時、横から私にじりじりと近づいていた取り巻きが物凄い勢いで上空に吹き飛ばされた。何が起こったか首を傾けていると、怯えた目の取り巻き達と目が合った。どうやら彼らの増援ではないらしい。
「な、何だ⁉」
男も何が起きたのか理解できないのか、ナイフを持ったまま混乱している。だがそれは私も同じだ。突然の第三勢力に、動揺を禁じ得ない。
「よぉお嬢さん。何かお困りかい?」
その言葉に、私は路地の入口を見た。見張りと思わしき男が二人倒れており、その間に腕を組んだ男が堂々と仁王立ちしている。半袖短パンで両手両足に包帯を巻いたその姿は、私の目にとても異質に映った。
包帯を巻いた男は、自身満々な表情で言い放つ。
「何か困ってるなら、俺が協力するぜ?」
……。
その言葉に、私は不信感よりも呆れを感じた。誰が見ても明らかにひどい状況だと言うのに、この男は何を言っているのだろう。
「は、はい。実は今困ってて……」
……この子もこの子で、何を言っているのだろう。
緊張が一転、呆れに変わってしまった。一体どこの世界に「困ってるか」と聞かれて「困っている」と答える人間が居るのだろう。まあ命の危機に晒されていると言うのに困っているか聞かれれば反射的にそう答えてしまうのも無理もないが。
「よっし分かった、待ってろ嬢ちゃん。すぐに助けてやっからな」
包帯を巻いた男が腕組みを解く。それを見て、ここまでしばらく無視され続けてきた男が、ついに激怒してナイフを握る手に力を込めた。
「お、おい、なに俺を無視して喋ってんだ! この人質が見えーーーー」
轟! と風が唸る。
それが男が吹き飛ばされた音だと気づくのに、数秒間を要した。
「え?」
いつの間にか、男が壁にめり込んでいる。いや、男だけではない。私を囲んで抵抗できないように捕まえてやろうとひそかに動いていた取り巻き達も、全員纏めて近くの壁にめり込んでいた。
男たちが壁に頭や足を埋め込まれている。その光景は、もはや一種のギャグですらあった。
私は自分の目を疑った。私の動体視力はある程度定評があるが、今の攻撃は全く視認できなかった。助け出された女の子も困惑している。
「よっし。これで問題は解決したな!」
全員があまりの出来事に動揺する中、包帯を巻いた男の陽気な声だけが響き渡る。その言葉で、女の子が我に返った。
「あ、ありがとうございます! おかげでーーーー」
「礼なんか要らねえよ。そんな事よりさっさと行け。いつまでもここに留まってると危ないぜ?」
「は、はい!」
女の子がそそくさと路地裏から走り去っていく。その後ろ姿が消えていくのを確認すると、私は立ち去ろうとする男に向き直った。
「ねえ、ちょっと」
「ん? ああ、そう言えば困ってる奴がもう一人居たな。大丈夫だったか?」
軽々しく声を掛けてくる男を、私は睨みつける。
「余計なお世話よ。今の場面だって、貴方が助けに入らなくても問題はなかったわ」
そう、全く問題はなかった。あの間合いならほぼ確実に女の子を助けながら相手を倒せた。私の言葉に、包帯を巻いた男はあっけらかんと笑う。
「ん? そうか。まあいいじゃねえか、助かったんだし」
……事実であるだけに、なにも言えない。
「貴方、名前は?」
「新宮和孝だが。ああ、ちなみに勇者じゃないぜ?」
…自己紹介の後に、何やら訳の分からない紹介まで入れてきた。と言うか、何だろうその変な名前は。よく意味が分からなかったが、気を取り直して質問する。
「貴方がよく分からない人間である事は分かったわ。でも、どうしてあの子を助けたの? 見捨てても良かったのに」
そこに関しては本当に疑問だ。別にあの子を助けなければならないと言う義務は存在しない。私の場合は普段から兵士の皆さんにお世話になっているので、ちょっとした治安維持活動はやろうと言う独善的な感情による物だ。だがこの男は違う。
この男は、恐らくこの街の人間じゃない。どこからか来た流れ者だ。そんな男が見ず知らずの人を助けるとはとても思えなかったのだ。
私の質問に、新宮は首を捻る。
「ん? だって困ってる人を見つけたら助けるだろ?」
何の悪意もなくは言い切る新宮に、私は二の句が継げなくなる。まさかこれ程までに大馬鹿者が居るとは思いもよらなかった。
この弱肉強食の世界でそんな事を言っている奴は簡単に死んでいく。たった今女の子を助けようとした私が言える事ではないが、無条件で人を助けようとするのはリスクが高すぎる行為だ。
まあいい。そんなお人よしの大馬鹿者なら、遠慮なく利用させてもらうとしよう。
「ねえ、ちょっと困ってる事があるんだけど」
「ん? どうしたんだ?」
新宮が食いついてくる。私は腰の剣を手で軽く叩いた。
「ちょっと今、力が伸び悩んでいて困っているの。良かったら少し私と手合わせしてもらえないかしら」
嘘ではない。最近、実力の伸び悩みを感じている。毎日毎日訓練の内容を厳しくしてはいるのだが、それにも限界が来ているのだ。
「貴方、かなり強いわよね? ちょっと私と手合わせしてもらっていいかしら」
先ほど放たれた不可視の攻撃。あの一撃で確信した。
この男は、私よりも強いと。
「困っている人を見ると放っておけないんでしょう? なら、私の挑戦を受けてもらえるわよね?」
全ては『黒百鬼の死神』を倒すため。私はただひたすらに強くなる。
「ん?」
しかし、新宮の反応は意外な物だった。怪訝そうな顔をして、私の顔をまじまじと見つめてくる。
「んんん?」
「な、何よ」
不思議そうな顔に、私は自分が何か失敗を犯したのではないかと不安になる。私は何か失言をした? いや、何もしていないはずだ。なのに何故こんな表情なのだろう。
私が不安になりながらも新宮の視線に耐えていると、新宮が口を開いた。
「……いや、お前俺より強いだろ」
「え?」
「つーか、俺なんかじゃ相手にならない程強いわ。そもそも女と戦いたくないし。そんじゃあな!」
「え、ちょっと!」
言うが早いか、新宮の姿が消える。残された私は、呆然と新宮の消えた空間を見ていた。
「何なのよ、あの男……」
登場人物が増えすぎている気がしますが、後悔はしていません。
この章終わったら一回登場人物まとめよう…
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