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13話 忘れられない言葉

 冬の間、王宮の医務室では、日課が増えていた。

「オデットを正室にする」「認めん」と言う、医者伯爵家の親子喧嘩(おやこげんか)が。

 オデットの姉であるアンジェリークは体が弱く、医務室の常連である。

 親子喧嘩を発見するたびに、「妹が結婚できるようになる、来年までには決定してください」と言って、傍観を決め込んだ。


 最近では、分家王族の親子喧嘩は、春の国の大問題と見なされていた。

 未婚の王子たちの中で一番年長である、ローエングリン王子の婚約者問題は、他の王子たちにも影響を及ぼす。

 最も婚約者決定を急ぐはずの王太子が、「年上を差し置いて、自分の婚約者は決められない」と、まだ婚約者を選ばない宣言を出したから。


 とうとう、王族の重鎮である先代国王が、仲裁に入ると言いだした。

 ローエングリン王子と面会した、数日後のことである。

 初代仲人王子が縁談をまとめるのならば、どんな問題も解決できると、王宮の役人や使用人たちは、諸手(もろて)で先代国王の判断を喜ぶ。

 ……一部の者を除いては。西の公爵派を除いては。


 国王は、自分の代理として弟の宰相へ、父親に同行するように命じる。

 先代国王親子は、親戚の分家王族親子を防音のきいた、王宮の会議室へ呼び出した。

 医者伯爵親子は、いつもの親子喧嘩を繰り広げはじめた。喧嘩内容は、王族の集まりらしく踏み込んだものだったけれど。


「父上、オデット王女を自分(ぼく)の正室として、認めてください。

二つもの塩の採掘権を持つ血筋は、春の国の王家に絶対に必要です!」

「一の姫ならば、すぐに認めて、婚礼も挙げさせよう。だが、ニの姫はならぬ。

何度も言うが、ニの姫は人柱の花嫁候補。正室にすれば、一の姫を人柱の花嫁として、雪の国に差し出さなくてはならなくなる。

春の国として、一番避けねばならない事態だ!」

「無理です。アンジェリーク王女を、自分の花嫁にするわけにはいきません。

父上は、自分に『雪の国の傀儡(くぐつ)の国王になれ』と言う、おつもりですか?

レオやライなら、アンジェリーク王女と対等に渡り合えますが、自分は絶対に負けます。

傀儡の国王を作らないことが、春の国にとって、一番大切なことですよね」


 政治にうとい、ローエングリン王子が、珍しい発言をした。

 驚いた父親は、言葉が続かない。宰相も、目を丸くして見てくる。


 傀儡(くぐつ)発言は、先代国王の入れ知恵だ。

 アンジェリークを花嫁にすれば、ローエングリン王子は、雪の国の操り人形にされる。

 雪の国の力とアンジェリークの外交手腕が合わされば、春の国の王太子を変えることも可能になるだろう。

 レオ少年を排除し、ローエングリン王子を王太子にするくらい、やり遂げてしまうだろう。

 先代国王が恐れている事態の一つだった。


 先日、個人面談をしたときに、詳しく説明されたローエングリン王子は、深く納得してしまう。

 政治に向かない性格なのは、己が一番よく分かっていた。


「……傀儡になれとは、言わない。

だが、お前が(めと)らないのなら、一の姫は誰の花嫁にするべきと思うのだ?」

「アンジェリーク王女は、レオの花嫁にするべきです。それが丸くおさまります」

「……確かに、それが一番だが、レオナール王子は花嫁にするのを拒否している」

「たぶん、本当に拒否しているのでは無いと思うから。

心底嫌なら、側に置かないだろうし、本音なんて言わないだろうし」


 レオ少年の理想の花嫁の原点は、アンジェリークと初めて出会ったときの、人生で最高の幸せを感じた時間だ。

 ローエングリン王子は、それを知ったから、利用することにした。

 獅子のような少年は、アンジェリークのような反抗的な花嫁ではなく、従順な花嫁を求めている。

 そちらの事実は伏せて、父親に訴えた。


 オデットを花嫁にするためならば、使えるものは、全部使う。年下の親友でも、口実に使う。

 したたかな王族の血は、ローエングリン王子も受け継いでいるから。


「……ローエングリン。お前の主張は弱い。相手を納得させるには、物足りない。

先代国王様や宰相様が同席しておられるのだ。もう少し考えてから発言しなさい」

「わしは、親子喧嘩の仲裁に来ただけじゃ。国王の代理で来ておらんよ」


 医者伯爵家の当主は、おじである先代国王を見やる。

 親子の話し合いに、飄々としたおじが、仲裁に入ると言った理由がつかめない。

 先日、ローエングリン王子と個人面談をしたから、それが絡んでいるとは思うが。


 頭は良いが、政治にうといローエングリン王子。

 王族の中で、最も王位継承権が低い王子。

 国王経験者は、利用価値がない王子に、何の価値を見いだしたのやら。


「えっと……レオが本当に花嫁にするつもりがないなら、自分(ぼく)の見合い相手に、オデット王女ではなく、アンジェリーク王女を推薦しているはずです。

身体の弱い王女は、医者伯爵家の花嫁にした方が、長生きできると普通なら考えますよ」

「……他には考えられないのか?」

「えっと……あ! レオは、お似合いの相手をくっつけるのが得意です。

オデット王女は医者になって、大切な人を救いたいと、言いました。大切な人は、アンジェリーク王女だと。

だから、レオやライは、うちにオデット王女を任せるつもりになったのでしょう」


 父親は、息子の発言に、期待していた。

 たが、期待外れだった。近くまで行くのに、確信にたどり着けない。


「……やれやれ、そこまで考えられるのに、気がつかぬか。ほとほと、国王に向かぬ男よな。

やはり、アンジェリーク王女は、ローエングリンの妃にできぬよ。わしの個人的な意見じゃが」


 先代仲人王子は、(あきら)めのため息をはく。

 (おい)っ子の医者伯爵当主へ、獅子のような王者の眼差しを向けた。


「……おじ上、申し訳ありません。幼い頃、もう少し政治に興味を持たせるべきでした」

「良い、気にするな。

幼子(おさなご)時分(じぶん)に興味を持っておれば、今頃、生きておらんだろうて。

新興分家王族に必要なのは、医学の知識のみ。じゃから、西の公爵も邪魔者と思わず、放置しておったようだしのう」


 医者伯爵当主と初代仲人王子の発言が、室内に響く。

 政治にうといローエングリン王子は、二人の会話を不思議な面持ちで聞いていた。


「……邪魔者? 西の公爵にとって?」


 オウム返しで、ぽつりと呟く、ローエングリン王子。

 権力争いから、最も遠いところに生きていた分家王族の王子。だが今は、権力争いの真っ只中にいた。


「……よいか、ローエングリン。単刀直入に言えば、わしはアンジェリーク王女の暗殺を警戒しておる。

去年、王宮に出てきたとたん、血を吐いたからのう」

「……大おじ上、あれはストレスが原因で、胃潰瘍が悪化して血を吐いただけでしたよ? 病気は、きちんと治療すれば、治ります。

医者伯爵家が、責任を持って診察し、治癒に導いております」

「確か……二度目に血を吐いたのは、西の公爵の娘が面会して帰宅した直後。

血を吐く瞬間を見たのは、見舞いに行ったレオナールだったはず」


 父親のやりたいことを察した宰相は、先代国王の言葉を引き継ぐ。


 ローエングリン王子は、二の句が出てこない。

 医者伯爵家が隠してきた真実が、暴かれようとしていると感じた。

 沈黙した王子に変わって、医者伯爵の当主が口を開く。


「医者として、きちんと説明したと思いますが。

アンジェリーク王女は、精神的負荷がかかり、血を吐いただけです。

苦手な相手と面会したことによる、ストレスが引き金となって。

一度起これば、完治するまで二度目、三度目も起こり得ます」

「……一度目が偶然でも、二度目が偶然とは限らんのう。

むしろ、偶然があるから、二回目以降を他者が引き起こしても、周囲は不思議に思わなぬよな。

故意に起こさせないようにするのが、王宮医師である医者伯爵家の使命じゃろうに。どういうことじゃ?」


 先代国王は、王者の眼差しで、医者伯爵親子を見詰めた。

 追及の手を緩めるつもりはない。真実を吐かせる。

 意図を察した宰相は、父親である先代国王に加勢した。


「オデットをローエングリンの見合い相手に相談してきてたとき、レオナールも、ラインハルトも『毒薬の対処法を知っている者が身近に増えるのは、心強いと思う』と言っていた。

身近と言うのは、『アンジェリーク王女の身近に』と言う意味だろう。

体の弱い王女は、簡単に命を落とすと、二人は判断したようだ」

「目の前で、血を吐くのを見れば、暗殺を危惧(きぐ)するのも当然よのう」


 本家王族たちの言葉。

 ローエングリン王子は生唾を飲み込み、医者伯爵家の当主は、無表情になった。


「真実を伏せた理由の一つ目は、西の公爵に敵と見なされ、医者伯爵家をつぶされないようにするためじゃな?

あの家は、邪魔者は消して当然と思うておる。真実をあらわにすれば、そなたたちが暗殺されて、今頃、この世におらんかったじゃろうな」

「二つ目は、アンジェリーク王女の毒殺未遂を、雪の国に知られないため。

我が国に、戦争を仕掛ける口実を与える訳には、いかぬと考えて。違うか?」

「毒殺実行は、西の公爵の姫の独断じゃろうな。

一度血を吐いて倒れた身ならば、再び血を吐いて死んでも、不信に思われぬと考えたのであろう」


 先代国王と宰相の話す言葉に、ローエングリン王子は、軽く目を閉じる。


 暴かれた真実。

 去年の春、アンジェリークが、二度目に血を吐いた原因は、毒物を飲まされたから。

 身体の弱い娘は、毒物に敏感に反応して、しばらく昏睡状態に陥った。

 診察した医者伯爵親子は、その事実を伏せ、吐血によって貧血が強くなり、昏睡になったと本人や国王たちに報告する。


 けれども、血を吐いた現場に居合わせたのは、王太子のレオ少年だ。

 幼い頃から命を狙われる立場の王子は、真っ先に暗殺の可能性を考える。

 本家王族たちは医者伯爵の報告をおかしいと思い、真実を突き止める機会を待っていたのだろう。


「あの頭の足らぬ姫は、雪の天使の血筋を知らぬようじゃった。

知っておれば、アンジェリーク王女本人を前にして、あのように愚弄(ぐろう)するまいて」

「おじ上は、西の公爵は、娘に教えていなかったとお考えですか?

西の姫は、自分の変わりに雪の国の王女を王妃にされたら困ると考えて、毒殺しようとしたと思っていたのですが」

「教えておったら、西の姫の振る舞いは違ったであろうよ。影で(あざけ)ろうと、雪の国の王女の前では、取り繕ったはず。

まあ、西の公爵は、祖先の残虐王からして、雪の天使が嫌いな家系じゃからのう」

「雪の国を甘く見すぎです。四年前に、北地方への軍事侵攻を許して、懲りたはずでは?」

「懲りたから、西の公爵は、慌てて娘を切り捨てたのじゃろう。王位継承権を捨てさせ、西国に追放したからのう」


 ローエングリン王子は、先代国王と宰相、医者伯爵当主の会話を、目を閉じて聞いていた。

 職業病で、なんとなく分析していた。


『三人とも、雪の国の軍事力を恐れているみたい。戦争すれば、確実に負けるから。

それから、西の公爵家は、暗殺を実行するのが、当然と判断しているのかな。

西の姫君ならば、やりかねないと……あの子、化け物だもん。暗殺実行くらいするだろうね』


 ローエングリン王子の脳裏に、嫌な思い出がよみがえった。

 六年前、西の公爵令嬢とお見合いした場面が。


 忘れられない言葉。一生許せない言葉。


────良かったですわね。邪魔者のお兄様が居なくなって。あなたが当主を継げるんですもの。

新興分家王族に過ぎない、下等な血筋ですけど。

そんな下等な血筋からのお見合いを受けることにした、慈悲深いわたくしと、わたくしのお父様に、一生感謝することですわね────


 西の公爵家の一人娘は、 無邪気に言った。

 ローエングリン王子の兄を邪魔者扱いし、医者伯爵家を下等な血筋と侮辱した。


 十才の子供に、難しい言葉なんて、理解できるわけない。

 公爵令嬢の台詞は、父親が常に言っていたものを真似しただけ。

 選民意識の塊である、公爵当主の言葉を。


 十二才のローエングリン王子には、異様に映る。

 歪んだ思想の父親から、歪んだ教育を受けた娘は、歪んだ感情を持って成長していた。


 相容れない存在。


 ローエングリン王子は、逃げだした。

 人の皮をかぶった化け物から、逃げだした。

 帰宅した王子は泣きながら、両親に公爵令嬢の言葉を伝え、化け物と訴える。


 そして、医者伯爵家は、西の公爵とは、表面的な付き合いしかしなくなった。


 目を閉じていたローエングリン王子の思考は、西の公爵からアンジェリークへ向かいだす。


『……あ、だから、レオにあんなこと言ったんだ。

そっか、そっか、だから、オデットを外にね』


 ぐちゃぐちゃだったローエングリン王子の思考回路が、一つにまとまったてきた。自分なりに理解できた。

 頭の中で結論が出たところで、まぶたを開ける。

 大人たちが注目していた。父親からの質問に目をぱちくり。


「ローエングリン、聞いていたのか?」

「えっと……なに、父上?」

「……何を考えていた? 大事な話をしているときに!」

「あ……えっと……ごめんなさい」


 ローエングリン王子は、床を見つめて、父親への言い訳を考えてみた。

 下手に取り繕うより、素直に話した方が良い気がする。

 おずおずと視線を、前方の父親に戻した。


「えっとね、父上。レオとアンジェリーク王女の内緒話を思い出してたんだ」

「内緒話?」

「うん。レオの前の婚約者候補、西の公爵の姫君の話題だよ。

アンジェリーク王女は『女の子の神経は図太くて、敵を蹴落とすために、暗殺くらいする』って、レオに言ってた。

たぶん……自分が暗殺されかけたって、知ってるんだよ」

「……我が家が伏せておいても、一の姫ならば気付くだろうな。あの頭の回転の早い王女は」

「それから、オデットは人柱の花嫁として雪の国に行かせるって、念押ししてたよ。 雪の国との戦争になったら、どうするんだって。

オデットの暗殺を避けるため、早く安全な雪の国へ行かせたかったんだと思う」


 去年、オデットと一緒に盗み聞きした、内緒話。

 オデットには黙っているように言ったが、ローエングリン王子は言い訳をして、簡単に父親に漏らしている。

 恋人には、絶対に見せられない姿だと、自覚していた。


 親子の会話に割り込んできたのは、宰相だった。


「ローエングリン、一つ聞きたい。偶然聞こえた内緒話とは、レオナールの側室相談のときか?」

「はい。レオが人払いした庭の奥で、人生相談をしていました」


 人生相談の辺りで、宰相は微妙な表情をする。

 まったく事情を知らない先代国王も、会話に参加してきた。


「ふむ……わしは、初耳じゃが。他に、何か言っておったか?」

「えっと、……自分(ぼく)の見合い相手に、十才以下の幼子(おさなご)を差し向けようとしている貴族が居るって。

……レオが言ってたけど、本当ですか?」

「レオナールは、アンジェリーク王女に、そんなことまで言うておるのか!?

春の国の内情を、他国の王女に伝えるとは……雪の国に筒抜けじゃぞ!」

「本当なんですね……自分は(たち)の悪い冗談だと思ってたけど。オデットの言うとおり、婚約発表しといて良かった」


 頭を抱えた先代国王とは反対に、ローエングリン王子は安堵する。

 父親の耳は、王子の言葉尻をとらえるた。


「ローエングリン、もしかしてあの婚約発表は、二の姫の発案なのか?」

「はい、父上。あれは、オデットの意志です。

自分(ぼく)幼子(おさなご)との見合いを阻止するために、一番最良の策だと自信満々でした。

大おじ上の反応を見ていると、オデットの言うとおりにしていて正解だったようですね」

「ふむ……そなたが婚約発表した直後から、新たな見合い申し込みは受付ないように、レオナールが手を回しておるよ」

「レオは、絶対に味方になってくれると思いました。さすが、二代目仲人王子♪」

「うむ、うむ。わしの後継ぎじゃからな。それくらいの仕事、出来て当然じゃよ」


 ローエングリン王子は、王家の微笑みを浮かべる。年下の親友を褒め称えた。

 孫が誉められて、先代国王も気分を良くし、仲人王子の心得なるものを語りだす。


 楽しそうな二人の近くで、宰相は医者伯爵当主に耳打ちした。

 年下のいとこの言葉に、医者伯爵当主は、気難しい顔をする。


「なあ、なあ。そろそろ正室として認めてやったら、どうだ?

人柱の花嫁が嫁いだ先で、どんな扱いを受けるか、私の妻を見て知ってるだろう?」

「……宰相をしている君から、そんな言葉がでるとは、思わなかった。人柱の花嫁問題で、一番悩んでいるのに」

「おっとりしたローエングリンには、王家の権力目的ではなく、医者伯爵の医学目的の妻を迎える方が幸せだと思う。

純粋に医者になりたがる娘なんて、あなたの妻以外、私は見たことないよ」


 医者伯爵当主の花嫁は、変わり者で有名な貴族令嬢だった。

 医者に弟子入りすると言って、家出したこともある、南地方の田舎貴族の娘。

 両親が南の地方の総元締め、南の侯爵家に相談した結果、仲人王子の先代国王によって、医者伯爵当主と見合い結婚したのだ。


「オデット王女をアンジェリーク王女の主治医として春の国に留めておけば、アンジェリーク王女を人柱の花嫁にしない言い訳の一つにできるだろう」

「……君は何を考えている?」

「息子の幸せ」

「ラインハルトの?」

「息子は、クレアに恋してるようでね。

将来の王妃筆頭候補を花嫁にするなら、変わりの王妃候補が必要なんだ」


 (ひょう)々といってのける、(ひょう)のようなライ少年の父親。

 医者伯爵当主は、気難しい顔のままいとこを眺めた。


「母上は親戚であるクレアを王妃にしたがってるけど、父上はアンジェリーク王女を王妃にしたいのが本音。

クレアは治世(ちせい)なら、素晴らしい王妃になれるだろうけれど、乱世(らんせい)の王妃にはなれない。

アンジェリーク王女は、治世でも、乱世でも、王妃になれる存在だ」

「……いつ雪の国の侵攻を受けるか分からない、乱世の現在では、切り札にできる王妃がほしいと?」

「ものわかりのいい親友を持って、私は幸せだよ♪」

「……自分は、悪巧みの得意な親友を持って、とても不幸だ」


 飄々とした、王家の微笑みを浮かべる宰相。気を許した親友には、本来の自分を見せる。

 年下のいとこを睨み付けながら、医者伯爵当主は、深いため息をはいた。

・クレア

名前の元ネタは、ドイツのピアニストであり、作曲家である、「クララ・シューマン」より。

クレアは、クララの異形体の一つ。

当時のヨーロッパでは、最高峰のピアニストだった 。

夫は、ドイツのロマン派の作曲家ロベルト・シューマン。



今回は名前だけ登場した、クレア侯爵令嬢。

「王太子の秘書は胃痛持ち」では、しっかり出番がある登場人物の一人です。

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