冬
冬、雪がしんしんと降る日々が続いている。
初めて見る大量の雪に唖然としていたら、村長とレイラさんがやってきた。
ふたりに手伝って貰い雪かきをする。
革袋にキレイな雪を入れて、地下室に入れておく。
ふたりは、この後お母さんの様子も見に行くからと、お茶も飲まずに行ってしまった。
冬の太陽は貴重だ。
私も、日が昇ってる日中の時間のうちに仕事を片付けてしまわなければ。
冬は暖かいスープや煮込み料理が美味しい。
外に出たくない日には、刺繍仕事がはかどる。
白い布に春の意匠で刺しゅうをするお仕事。
春になり、仕入れをする商人が来た時に売る予定である。
気分転換に端切れを使って自分用のグッズも作る。
パッチワークキルトのティーコゼー。
作り方は分からないけどなんとなくこんな感じかなぁ…という感じで。
慣れたら、パッチワークキルトでベッドカバーを作りたいなぁ…と壮大な野望を立てている。
手がかじかんで針を持ちたくない時は、毛糸のパンツ作り。
洗濯を考えると、あと1枚あれば余裕ができるのだ。
春になりギルドに入り、村を出る事が出来たら、どうしよう。
もう村の外へ出る事は一生無理と諦めていたけど、子どもでも安全に村を出る方法があるらしい。
王都に戻り自衛団に舞い戻る事は出来るのだろうか。
家に帰る事は出来るのだろうか。
パキっと薪が割れる音で我に返る。
考え込んでいるうちに時間がたってしまったようだ。外がもう暗い。
火を絶やさない程度に火種を残して、寝ることにする。
人肌で温まるまでの布団が冷たい。余り毛糸を集めて毛布的な何かを作れないかな~と思いながら少しずつ人肌で温まっていく布団で眠る。
「雪がしんしんってなあに?」とレイラさんに聞かれて上手く答えられなかった。