思い出しました
揺れる感覚で目が覚めると同時に、全身の痛みに襲われた。
痛みで気が遠くなる中、誰かの声が聞こえた。
次に目が覚めた時にはベッドの中だった
起き上がると即座に激しい痛みが走る。
「無理しちゃだめだよ~、折れてるんだから」という声に見上げると若い女性に見下ろされていた。
村長の家にお世話になっていたらしい。
村長と最初にあった女性…奥さんのレイラさんに話を聞く。
朝、村の前で倒れているところを発見され、村長の家に運び込まれたという。
身体を清める布を、レイラ…村長の奥さんが持ってきて身体を拭くのを手伝ってくれた。利き腕を骨折していて副え木と包帯で巻かれている。他は打ち身だけで目立つ大きなけがは無かった。
部屋の隅にぼろぼろになった鎧が置かれていて、兜と剣は無かった。
てゆーかこれ、イベントじゃないか。
崖から落ちたショックで、私は自分の前世を思い出した。
前世でパッケージの可愛いキャラクターに惹かれてたまたま手にしたRPG、決してメジャーではなかったがネット上で論議をかもした問題作でもある。
その理由は「登場人物が死にすぎる!」
魔王を倒す旅に出る勇者とその仲間たち。
仲間は…
”あなたの事は私が守ってあげる”
僧侶のミーシャ、可愛くって健気でいい子なんだよね。転職で賢者になったら、すべての白呪文を使いこなす。最後の戦いで勇者をかばって攻撃の直撃を受けて死んでしまう。
”死にたくなければ俺の前に立つんじゃねえ”
黒魔導士のテオドールは転職で道士になって、攻撃呪文で敵を一掃する使える子になる。最後の戦いで力を使い果たして死んでしまう。
”俺は大自然の申し子だ。よろしくな”
盗賊のレオは、転職で魔獣使い、船乗り、軽業師等が選べる。可愛い見た目なのにかなり使い勝手が良い。最後の戦いの前に襲い掛かってきた大量の雑魚敵をひとりで引き受けて、仲間を先に進ませる。
”私にかまうな!早く逃げろ”
女剣士のルーシェ、序盤でしか活躍しない。
武器の特性上1度に一人しか戦えないから段々使えなくなる。
しかも転職できない。しようとしても転職先が無い。
中盤のイベントで魔物に襲われた時に自らおとりとなり、仲間を逃がす。
どうやら私は、その女剣士に転生してしまったらしい。
何がどうしてこうなったのか…生きてる。
それよりも気付くならもっと早く気付きたかった!
「私にかまうな!早く逃げろ」というゲームでは唯一のセリフ、言いたかった!