残された俺たちの戦い2
1時間後、山の麓から飛竜に乗り飛び立った俺たちは、さほど時間をかけずに山の中腹の目的地から少し離れた場所に乗り上げた。
徒歩で山を登ることに比べれば、比較にならないほど楽だが…
食後の飛竜の揺れはつらい。急激な飛竜の上昇により急激に薄くなる空気になれる迄が辛い。
飛竜から降りるなり、雪交じりの岩場にへたり込む俺とレオを見て親父たちがニヤニヤ笑う。
「少し休憩したら出発するぞ」
「飴でも食え。食わないと力が出ないぞ」
俺たちが弱いのか、それとも親父たちが強すぎるのか。
急激な環境の変化に、休んで体を適応させる事を再優先とする。
これから俺たちが災害級魔獣と呼んでいるアレとの闘いだ。
フカフカの毛皮を持ち、3つの頭を持ち、小さい羽があり短距離なら飛べる。
鋭い牙と鋭い爪をもち、さらに消化液交じりの毒を吐き攻撃するという特性を持つ。
本来は山の高地に生息しているのだが、たまに数が増えすぎると群れを分けて下の方に降りてくる事がある。
山の中腹まで降りてくれば、そこは彼らにとって狩りが容易な弱い獣しかいないパラダイス。
群れを形成するのは一匹の雄に数匹の雌。
安全で栄養状態が良くなると、メスはどんどん子を産みすぐに群れが大きくなる。
更に彼らは群れを分け山を降りる。
山の麓近くに降りてくると今度は人の村を襲うようになる。
襲われた村は一晩で消え、人の肉の味を覚えた奴らは好んで人を襲うようになる。
山の中腹に群れが下りたのを確認したのが今年の夏。
まだ被害は出ていないが、増えるのはあっという間であり、被害が出てからでは遅い。
「いいか、奴らの弱点は頭だ。頭を狙って攻撃しろ」と親父たちが作戦を確認する声が聞こえる。
奴らの弱点は頭、3つの頭を同時に攻撃する事が出来れば倒すことができる。
だが1つでも残っていれば、直ぐに残り2つの頭が再生するのだ。
アレクとレオの役目はおとりとして奴らの目を集める事。
その後の事は思い出したくない。
ひたすら3つ頭の魔獣に襲われ続けた。
勇者の剣の加護により致命傷となる毒液とかみつきは辛うじてかわしたが…
一生分の猫パンチをあびた。見た目は猫パンチだが、鋭い爪に皮膚が確実にえぐられていく。
「親父…最後の方、わざと外しただろ」
戦いが終わった後に、俺を助け起こした親父に文句を言ったら、親父は黙ってニヤリと笑った。




