残された俺たちの戦い1
本日は三話更新、8時と15時に追加します。
「残ったのは俺だけか…」
魔獣たちに安心安全快適に輸送されていくテオドールとミーシャを見送った俺は、今しか言えないセリフを呟いてみた。本当に今しか言えないセリフだ。
「お前ら遅かったじゃねえか」
「待ちきれずに勝手に始めてしまおうかと思ったぞ」
「1時間後に出発する、飯とトイレは今のうちにすませておけ」
レオと俺はガチムチおっさんの群れに囲まれた。
「やっぱり俺たちも行かなきゃダメ?」
後ろにはガチムチおっさんの群れ、視界の上に広がる山の中腹には見るからにヤバイ魔素が広がり…むさ苦しい上に命の危機を感じる。行きたくない。
故郷の村に帰りたい。ルーシェに会いたい。
「武者震いか、災害級魔獣は初めてか?楽しいぞ~もちろん行きたいだろう!」
「行かなきゃダメに決まっているだろう」
「いい機会だ、大物の魔獣退治を経験しておけ」
全員とてもいい笑顔なのが逆に怖い
「災害級魔獣って、一人前の冒険者になって十年経験積まないと闘わせないって」
レオがせめてもの抵抗を試みている。いいぞ、もっとやれ!
「ギルド長が若者に経験を積ませる事は大切だからと特別に許可してくれたんだ」
「お前ら良かったな。運が良いぞ!」
若者の浅知恵が百戦錬磨のおっさんに敵うわけがわけがなかった。
「アレク、騎士団長からの手紙だ」
王都からきた冒険者が俺に手紙を差し出した。
”ここで逃げる男なんぞに愛娘をやる気は無い。”
手紙を手に固まる俺の後ろで、おっさん達がニヤニヤしながら口々に言う。
「大変だな~アレク、ここはしっかり男を見せるとこだ」
「大丈夫だ、ルーシェちゃんがお前の帰りを待ってる」
「ルーシェちゃんなら心配ない、メイアとレイラがガッチリガードしてる」
親父が俺の背中をバンバン叩き…痛い。
「それで俺たちはいったい何をすれば良いんですか」
「お前ら二人にはおとり役をやってもらう」親父が爽やかな顔で答えた。
おっさん達が作る原材料不明のスープを食べ、休憩できるのは今のうちと焚火の周りでゴロリと寝転ぶ。木々の緑の間から垣間見える青い空が希望の象徴のようだ。
「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」
「アレク、ダメ!それ言っちゃいかんセリフ!」




