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藤吉郎になりて候う 〜異説太閤紀~  作者: 巻神様の下僕
第八章 家老になりて候う
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第百七十四話 木下家臣団にて候う

遅くなりました。

 さて長島城主になった俺だが一体何が出来るのか?


 城主は与えられた領地の運営と管理、治安維持をしなければならない。

 まぁ簡単に言えば『市長』や『町長』に任命されたと思って貰いたい。

 しかし戦国の市長は軍備も自前で整えないと行けない。


 今の俺は長島と河内、荒子、津島辺りまでを勢力下に置いている。


 これとは別に美濃南西部と繋がりを持っている俺はかなりの権限を与えられている。

 それに桑名の滝川左近は地形上、俺を頼りにするしかない。

 なんせ長島は尾張美濃伊勢三国の交通の要所なのだから。


 そんな土地を任された俺の織田家での立場は新参家老だ。


 今までの俺は評定では発言権の無い右筆だった。

 ただの記録係で国会で議事録作成をしている人達みたいな者だ。

 そんな書くだけの仕事をしていた人が今度は提案や質問したりする国会議員にジョブチェンジしたのだ!


 しかし評定は力関係が物を言う場所だ。


 あ、話がそれたな。

 これはまた今度話そう。

 今は城主の仕事だったな。


 でだ、城主になると色々としなければならない仕事がたくさん有る。

 それは一人では出来ないので部下を増やさないと行けない。

 これからは俺の大好きな書類書きの仕事も自らする必要はない。

 そんな仕事は部下に任せて城主は他の事をすれば良いのだ。


 ははは、いやー参ったな。(棒読み)

 俺は書類書きが大好きなのにそれが出来ないなんて残念だなー。(棒読み)

 いやー本当に残念だ。(棒読み)


 うし、これでブラックともおさらばだ!


 そして俺は城主として部下に仕事を割り振る。

 まずは木下家臣団の編成だ。


 木下なか 『木下家のドン』『奥の纏め役』


 木下とも 『実質木下家ナンバー2』『弥助の嫁』


 木下小一郎 『城主代理』『侍大将』


 木下弥助 『荷駄奉行』『足軽大将』


 斉藤道三 『相談役』『自称俺の後見人』


 今川長得 『相談役』『自称俺の正室』


 蜂須賀小六『家臣筆頭、諜報担当』『俺の嫁』『蜂須賀党当主』


 前田利久 『護衛』『俺のダチ』


 前野長康 『馬廻衆筆頭兼護衛』『蜂須賀党代理当主』


 竹中半兵衛 『小姓筆頭兼相談役』


 服部友貞 『水軍頭領兼服部水軍頭領』『服部党当主』


 九鬼嘉隆 『水軍奉行』『九鬼水軍陣代』


 鈴木佐大夫 『鉄砲奉行』『鉄砲開発主任』『雑賀衆鈴木家当主』


 鈴木一 『小姓兼鉄砲打ち』


 土橋守重 『客将兼小姓兼鉄砲打ち』


 増田長盛 『小姓兼右筆』


 今の所これが木下家臣団の主要メンバーだ。


 犬千代はまだ俺と婚姻していないので前田家預りで、寧々もまだ市姫の侍女の仕事をしている。


 そして朝日は正式に長姫の侍女になった。


 本当なら市姫の侍女になる予定だったのだが、長姫に侍女が居ないと色々不都合が有るので、今まで長姫の下で侍女見習いをしていた朝日に白羽の矢が立ったのだ。


 それから長姫はしばらく清洲城で生活する事になっている。

 これは市姫が決めた事なので俺は何も言えない。

 長姫は話し合いが終わると寧々と朝日を伴って清洲に旅立った。


「じゃあ行ってくるね。お兄ちゃん」


「ちゃんと長姫の言う事聞くんだぞ。後、分からない事が有ったら寧々に相談すること。それと体調には気を付けるだぞ。それから……」


 俺は朝日が旅立つ日に色々と注意するようにと話した。


「心配入りませんわ。わたくしが付いているのですから何も問題有りませんわ」


「そうです藤吉様。寧々にお任せくださいませ」


 うう、本当に大丈夫なのか?


「藤吉。朝日ももう子供じゃないんだよ。しっかり見送りな」


「そうそう。藤吉は朝日には甘すぎるのよ。朝日、しっかり働きなよ」


「はい!」


 朝日は笑顔で答えた。

 母様とも姉は朝日に厳しいな。


「朝日。着いたら兄者に文を書くんだ。それで兄者も安心するから」


「朝日はしっかりしてるから俺は心配してないぞ。あ、向こうで婿さん探ししてこいよ。帰って来くる時は婿さん連れて来いよ」


「な、なに、何言ってんだよ弥助さん。朝日にはまだ早いよ」


 朝日が婿?

 朝日が嫁入り?

 駄目だ、駄目だ。

 まだ早い、早すぎる。


「そうだねえ。朝日も大きくなったし。嫁入りも考えないとねえ」


「朝日。私が手伝いますよ」


「えー、朝日まだお嫁に行きたくないよ。小六姉や犬姉の白無垢姿を見てから嫁に行くよー」


「まぁ可愛いこと言ってくれるねえ」


「本当に可愛い妹」


 小六と犬千代が朝日を抱き締める。

 そうか、朝日は小六と犬千代が結婚したら嫁に行くのか。

 なら、口実もうけてさらに婚儀を延ばすか?


「では行きますわよ。藤吉。しっかり城主の仕事をなさいませ。わたくしは貴方を信じてますわよ」


「あ、ああ?」


 俺を信じてる?

 う~ん。

 ああ、城主として領地をしっかり治めろと言う事か。


「姫さん。藤吉の事はあたしに任せな。姫さんには姫さんの出来る事をしてきな」


「藤吉様の世話は私がしっかり行います。心配御座いません」


「ふ、わたくしが居ない間に藤吉のお情けにすがると良いですわ。おほほほ」


 長姫が小六と犬千代の二人と睨み合っている。

 止めようよ。

 朝日の晴れの日なんだぞ。


「じゃあ。行ってきまーす!」


 朝日は冬の晴れやかな日に旅立った。



 その数日後、俺に来客があった。


 客人は『佐治為景』

 知多半島に居る国人衆で俺の協力者だ。

 現在は知多半島最大の国人衆で織田家に臣従している。


「長島城主就任、祝着至極に御座いまする」


 為景はわざわざ城主就任を祝いに来てくれたのだ。

 為景を誘わなかったのは佐治家の立ち位置が微妙だったからだ。

 桑名攻めの功績で織田家での佐治家の立場は良くなった。

 その後織田家から佐治家に婚姻外交が仕掛けられたのだ。

 織田家にとって佐治家は貴重な水軍の持ち主、その佐治水軍を織田家で抱え込もうという考えだ。


 この話を俺は長島に着いてから知った。

 佐治家が織田家と繋がるのなら無理して呼ぶ必要もないだろうと道三が判断したので呼ばなかった。

 俺はちょっと惜しいと思ったがしょうがないと割り切った。

 俺には服部水軍と九鬼水軍が有るのだ。

 佐治水軍が無くても大丈夫だと思ったのだ。


 しかし、為景は俺の城主就任を祝いに来てくれた。

 こんなに嬉しい事はない。

 呼ばなかったのをちょっと後悔してしまった。


「わざわざのご来訪ありがとうございます。今は何かと忙しい時期。にも関わらず来て頂き、大変嬉しゅうございます」


「ははは、これはようござった。こう言う祝い事は早めに挨拶致さねばと思っておったところです。ははは」


 話は和やか雰囲気で行われた。

 しかし和やかだったのは最初だけで俺が織田家との婚儀に触れると為景は顔をしかめた。


「如何なさいました。為景殿?」


「う、うむ。そ、その大変申しずらいのですが」


 為景の額には汗が出ていた。

 この寒い時期に汗を掻いている。

 緊張している証拠だ。


「何か問題がおありですか?」


 俺が為景に話を促すと為景は両手を突いて頭を下げる。


「こ、この通りで御座る。我が佐治家をお救いくだされ!」


 また厄介事か?


 たまにはゆっくりさせて欲しいもんだ。


お読み頂きありがとうございます。


誤字、脱字、感想等有りましたらよろしくお願いいたします。


応援よろしくお願いします。

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