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それぞれの路

作者: 山田助兵衛

 わたしは彼の者より生まれた。

 わたしは見る。彼の者の目となって。

 時には空を見上げ、時には大地を見下ろし、流れ行くままにうつろう様々なものを彼の者に伝えるのだ。

 ある日は夜空にいつもと違う軌跡を見つけ、眺める。 

 ほう━━彗星とは珍しい。たなびく髪のような仄かな光が美しい。

 またある日は建ち並ぶ家の窓から空を見上げる子供の姿が映る。

 きらきらと瞳を輝かせ、やけにはしゃいでいる。もっともあまりに窓を開けっぱなしにして母親に怒られてしまったようだが。

 ここでは……軍事演習だろうか。雨の中ご苦労なことだが、妙に装備が旧式なのが目に付くような……。それでも士気だけは高いようだが。

 そしてもうじきで海が見えるか、という辺りまで来たのだが……。

 どうにも目が霞む。ここいらが限界か。

 まあいい。短い旅ではあったがそれなりには楽しめた。何時かは分からないが再びこの地を訪れる機会もあるだろう。それまでは暫し(しば)の眠りに付くとするか。

 そして━━再度この世の景色を伝えるのだ。

 それでは、さらばだ彼の者(地球)よ。


「次のニュースです。昨日、北海道に上陸し、オホーツク海へと抜けていった台風5号は」

「━━今日未明に温帯低気圧へと変わりました」

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