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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第八話 少しの変化

昨夜、益田からの怒涛のメールラッシュという精神攻撃を「もう寝るから」の一言で辛くも耐え切った俺は

現在ガレージにて、トラオムスーツの整備点検を行っている。

パソコンのディスプレイに表示されたトラオムのスーツデータを確認しながら

もう一つ確認したい事があり。開いている小窓で、ちょっとした演算プログラムを試している。

そこには、昨日戦闘したマネキンモドキのデータと益田ことマギレーヴが放った

とんでも衝撃波のデータが表示されている。

俺の着ていたトラオムのスーツには映像の録画機能も付いているので、先ほどから

衝撃波を受けて吹き飛ぶマネキン達の吹き飛ぶ距離やその飛び方から

あの不可視の力がどのように暴れたのかを計算して、動きを視覚化していっている。

そうして見えてきたものに俺は感嘆の声を漏らす。


攻守に渡り磐石なのだ。益田のこの力は。

ステッキが光ってから、衝撃波が発生するまでわずか0.03秒。

テレビ等のプログレッシブ表示で言えば30pの1フレーム。

とてもじゃないが知覚出来ないような速さで力が発動している。

そして発動した力は、最初に益田を守るために周囲を高速で旋回する。

最初の飛び掛った3体のマネキンはこれで吹き飛ばれている。

益田の周囲を旋回するそれは、言わば音による強固なバリアーだ。

旋回しながら互いにぶつかり合い加速し力を更に増幅させている。

共鳴増幅ハウリングという現象があるが、まさにそれを行っているのだろう。

益田が発した音をマイク型のステッキが拾い。彼女の周囲に音の壁を生成。

更に音の壁が発生させる音波をステッキが拾いまた放出。

これを幾度と無く繰り返して、ある程度の力が蓄えられたら一転攻勢。

指向性を持った音激が鞭のように、矢のように、様々な形を取って敵に襲い掛かる。

音での攻撃であるため視認はほぼ不可能。立ち上がる砂埃等でうっすらと軌跡がたどれるくらいだ。



あれ? これ無敵じゃね?

音の壁が発生した時点で益田には指一本触れられない。

そこから見る事の出来ない強力な攻撃が襲う。正義の味方って、すごいな。

さすが、世界に選ばれたニューヒロインその力は伊達じゃない。

俺は、小窓を閉じるとトラオムスーツのデータと向き合う。

天才科学者である京極恭太郎が設計したそれはある意味で現在の人類到達点だろう。

軒並み表示されていくデータは、一個人が持って良い様なレベルをはるかに超える。

一国の軍隊とでもドンパチ出来そうな性能を持っている。

だが、先ほど見ていたマギレーヴの力は恐らくだがこれを超える。


トラオムとマギレーヴが戦闘したらどうなりますか?

トラオムが瞬殺されて終了です。


普通にこの解にたどり着ける。俺は、想像してしまった映像に軽く身震いする。

でも、本人があれだからなぁと思考に耽っていると携帯に着信が入る。

ディスプレイを確認してすぐに通話ボタンを押す。

表示された名前は益田だった。もしかして、親父達が動いたか・・・


『どうした? 何かあったか?』

『へっ? あっ、違いますよ京極君。昨日、言ったじゃないですかお金返しに伺いますって』

『んっ、あぁ、いや本当にいつでもいいぞ。何なら返さなくてもいいく『それはダメです』

『あぁ、そう・・・。んで、今日来るって事?』

『はい、実はもう着いてます』


何だろこれ。すごいデジャブを感じる。





軒先に帽子を被った益田が居た。声を掛ける前に足音で気づいたのかぺこりを頭を下げる。


「おはようございます。京極君。」「あぁ、おはよう益田。」


どうぞっと言われて差し出されたのは、ピンク色の便箋。

話の流れ的に昨日貸したお金が入っているのだろう。

おれは中身を確認することもしないで便箋をズボンのポケットにねじ込む。


「今日は、これからお出かけか?」

つばの広い白い帽子に、薄い水色のワンピース。

昨日は付けてなかったと思われるグロスも引いている。

見た感じ少し着飾っている感じがしたので、そう尋ねる。


「はい。これから蛍さんと待ち合わせなんです」

「そうか、つうか本当に熊寺と仲良いよな」


そういうと「えぇ、本当に良くしてくれます」と微笑んでから

「それでは」と頭を下げて立ち去っていった。

益田が去ってからガレージに戻る途中で、ふと俺のことを口止めしてない事に気づいたが

まぁ、さすがに仲が良いといってもヒーロー云々の話はしないだろうと放って置くことにした。

ぶっちゃけ、これが後に大問題に発展するのだが、この時の俺は知る良しもなかった。





ガレージに戻った俺は、夏休みの初日に考えていた武器の製造に取り掛かっていた。

格闘技だけでも親父達が作ったマネキンモドキは、簡単に倒せることは実証出来ていたが

あの二人の手ごまがまさかあれだけとはどう考えてもありえなかった。

なので俺は、戦闘スタイルの拡張をメインにいろいろ手を出すことにしたのだ。

親父が今までに作った発明品から俺のイメージに沿うものが無いかをチェックしていき。

使えそうな物は、片っ端からデータ化してプログラムに落としこんでいく。

そして、あぁでもない。こうでもない。といろいろ試しいくつかの試作品を組み上げていく。

出来た試作品は、まずパソコン上の演算システムで動かすことが可能かどうか

また正常に作動させる事が出来るとしてどの程度の性能かなどを、次々にチェックしていく。

それを何十回と繰り返し繰り返し作業していく。

ふと、パソコンの右下に表示される数字を確認する夕刻に差し掛かる時間をさしていた。

俺は、一旦作業を切り上げて食事を取るためにガレージを後にする。




居間で、テレビを眺めながらずるずると具なし素麺をすする。

何で夏になると無性に素麺が食いたくなるのだろうと、割とどうでもいい事を考えながら

黙々と素麺を消化していく。今度食べるときは、さすがにハムやきゅうりくらいは用意しようと

最後の一口を口に含むと、食器を持って流しに持っていく。

洗い物をしながら、テレビに目を向けると。ちょうど、『ニューヒーロー現る』のテロップと共に

キャスターが原稿を読み上げていく。俺は、洗い物の手を止めることなく流し聞きする。

キャスターが原稿を読み終えると、コメンテーターがニューヒーローに対してコメントをしていく。

キャスターも「なるほど」、「そうですね」などと相槌を打ちながら進行していく。

幼少期の頃は、このようなニュースが始まると、それこと胸をわくわくさせながら親父と一緒に

テレビ画面にかじりついていたが、今では自分の事が話題になっているにも関わらず。

まったく心が食いつかない。洗い物を終えて手を拭くと、リモコンに手を伸ばす。

ガレージに戻ってさっきの続きを行わなければと、リモコンを画面に向けた所で腕が止まる。

そこには望遠機能で撮ったのだろう映像で機械装甲戦士メタルジャケットヒーローと魔法少女が

光のカーテンの中で戦っている映像が流れていた。


「なんだ、結構さまになってるじゃないか」


俺は自然と緩んだ頬に気づくことなく。そのままテレビの画面をOFFにするのだった。


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