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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第三話 初めての変身

駅前のファミレスについた俺たちは、テーブル席に案内された。

注文はもう済ましてあり。後は、料理が来るのを待つばかりである。

その間、彼女と取り留めのない会話で時間をつぶしている訳なのだが。

ほとんど彼女が喋る話題に相槌をうったり、ツッコミを入れたりと

こちらから話題を振る事はまずない。彼女との会話のやり取りを紙に書き出したら

9:1くらいのセリフ量になるのではないだろうか。


「あっ、そう言えば信也君。夏休み予定、何かいろいろ出来たって言ってたけど?」

「あぁ、それな。うん、まぁ、いろいろだよ。」


まさか、早朝流れた放送に出ていた悪の組織の親玉が父親みたいだから

その組織を壊滅させるために動かないと行けなくなったなんて言える訳がない。

俺は、テキトーにのらりくらりとはぐらかそうとするのだが何故か熊寺がそれを許さない。


「いいじゃん、日程だけでも教えてよ。じゃないと、計画練れないでしょー」

「おい待て。何で熊寺の計画に俺の日程が関わって来る。」

「いやね、この夏は海に行きたいよねーって、理沙りさちゃんと美音みおんちゃんと話してたんだけど

女の子ばっかで行くのもアレだし。男子も誘おうって話になってさー」

「絶対行かん。」

「ちょっと、そこは健全な男の子なら素直に了承する所じゃない。」

「じゃあ、残念だが俺は不健全な男の子だな。他を当たれ他を。」


そう言うと、熊寺は「むぅー」とうなって携帯を取り出し、ポチポチと操作をしだした。

そもそも、こいつの交友関係の広さなら他の男子をいくらでも誘えるだろう。

その中には喜んで付いていくやつも多数いるはずだ。

あと、会話に出てきた理沙ちゃんと美音ちゃんと言うのがぶっちゃけると誰かわからん。

たぶん、クラスメートだと思うのだが女子生徒の下の名前までいちいち把握なんかしてない。

俺は、手元に置いてあったジュースを飲み干すと、ドリンクバーのコーナーにおかわりを入れに行くため

立ち上がった。そこで、彼女の方を見ると空っぽのグラスが目に入る。


「熊寺、入れてきてやるよ。何がいい?」


彼女は、こちらを見上げると微笑みながら「オレンジジュースで」と返した来た。

それにうなずいてから彼女のグラスを手に取りその場を離れる。

ドリンクバーのコーナーで先に彼女の注文の品を注いだ俺は、何を飲もうか思案する。

結局、特に思いつかずに彼女と同じオレンジジュースをグラスに注ごうとしたところでふと手を止める。

これは何か嫌な予感がする。これ、あれだろ。同じ飲み物入れて戻ったら、あいつが何も考えないで

グラスを勝手に取っていき。あれ、それさっきまで俺が使ってたグラスじゃね?ってなって

俺だけ、何か意識しちゃって。今日眠れなくなるパターンだろ。

ふっ、残念ながらその手には乗らんよ。

俺は、そのまま手を横にスライドさせてアップルジュースをグラスに注いだ。



「お待ちどう様」

携帯をいじっていた彼女は「ありがとね」とお礼を言うと俺の手からグラスを取っていった。

あぁ、やっぱそうですよね。俺は心の中で先ほど行動が正解だったと自画自賛して席に座る。

ちょうど、料理が運ばれてきた所だったらしく俺の前には、湯気を立てるカルボナーラが鎮座していた。

彼女の前にもミートドリアが置かれているが手をつけた形跡はなかった。


「先に食っちまってよかったのに」

「あははっ、そんな事しませんよー」


それから、二人で頂きますと声に出してから食事の時間に突入した。





店を出た俺達を夏特有の暑さが襲う。日が落ちてると言っても暑いものは暑い。

まして、冷房が効いた店内から出たのだ。暑さの感じ方も3割増しと言った所だろう。


「ご馳走様でしたー、ほんとによかったの? 奢ってもらって?」

「まぁ、そこは男の見栄の問題だから。お前は、儲けたくらいに思ってればいいんじゃないか」

「おぉ、言うねぇ。あっ、もしかして信也君、バイトでも始めたの?」

「あ~、まぁ、そんな所だ」


つまり、お金に余裕がある=バイト始めた=夏休みの予定と言う方程式が出来たわけか。

勝手に勘違いしてくれるなら、その方が都合がいい。俺は、さっさと家に帰るために自転車に跨る。

寝る前に変身システムの性能をあらかたチェックしておきたいし。


「ほんじゃ、俺は帰るから。熊寺も気をつけて帰れよ。」


そう言って自転車を漕ぎ出そうとした瞬間。荷台に圧力がかかる。

後ろを振り向くと、熊寺が荷台を両手で掴んでいた。

危ねぇじゃねぇか、コノヤロー・・・


「ねぇ、信也君。日程決まったら連絡入れるからさ。バイトが入ってなかったら参加してよ」


それが海水浴の誘いだとすぐに思い当たった。どうして、そこまで俺を誘いたがりますかね。

まぁ、最初の提案から向こうが譲歩した形になるので、こちらも折れるのが筋か・・・

絶対行かないけどな。


「わかった。決まった日に予定が入って無かったら参加する」

「よしっ!」


俺の言葉に満足したのか、彼女は荷台を掴んでいた手を離すとガッツポーズをした。

あぁ、そういうの何かグッとくるな。と、内心を悟られない用に今度こそ別れを告げる。

そして、今度は何の抵抗もなくスムーズに自転車は走り出したのだった。





「よっし、やるか!」

家に戻ってさっそくガレージに入った俺は、携帯の変身システムを起動させる。

日常生活で勝手に作動しないよう、2つ付けているロックを順番に外していく。

すると、画面には『Standby』の文字が浮かび上がる。

あとは、俺がキーワードを喋れば音声認識でシステムが起動するはずだ。

深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

大丈夫、大丈夫だ。設計図通りに組み立てたし、インストールしたプログラムもエラーは出なかった。

待ってろよバカ親父。お前の作った組織なんて、すぐに壊滅させてやる。

俺は、最後にもう一度深く息を吸うと静かにキーワードを口に出す。


「TO WEAR JUSTICE(トゥ ウェア ジャスティス)」


画面の文字が『STARTING UP』の文字に切り替わる。

携帯を中心に光が爆発し一気に収束する。

光の粒子が、あらかじめ入力されていたプログラムに従い俺の体を包んでいく。



親父が設計したこの変身システムは、二次元上に製作した架空の物体を三次元上に引っ張り出すという。

相当、力技なシステムだ。質量、粒子、量子? 無いそれおいしいの?って事だ。

さすが天才はやることがぶっ飛んでる。ただ、何でも間でも製作して引っ張り出せるわけじゃない。

現状、プログラム上に製作可能な物は、無機物だけだ。

また、今回俺は親父が元々組んでいたプログラムを複写して製作の土台にしたわけだが。

そもそも一からプログラムを組もうと思ったら、俺みたいな凡人には一生掛かっても無理だろう。

物質の元素配列から始まり、製作する物の設計図、それを引っ張り出す為のエネルギー計算。

そんなもんやる位なら、三次元で作ってそのまま使った方がどう考えても賢い。

ただ、それでも。2次元という平面状に物を保管して持ち歩けるというのは画期的だ。

それこそ、変身システムなんて言わずに他のもに流用できそうなものなんだが。

親父はそれをせずにシステム自体がお蔵入りしていた。そこは少々不に落ちないところだ。



時間にして一秒にも満たないそのわずかな間に俺の姿は変貌を遂げていた。

赤と黒を基調としたカラーリング。

体に纏うシャープな機械装甲。

頭部についたヘッドギア。


京極信也が正義の味方としての第一歩を踏み出した瞬間だった。



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