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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第十九話 信号機?

「くそ親父なんのつもりだ!」


俺は目の前の親父に声を張り上げる。

その言葉に親父は首を横に振るだけで答えない。

そして、親父は視線を益田の親父さんの方へと向ける。


「MM、いや益田君。今日まで付き合ってくれてありがとう。ドリーマードリーマーはここで御終いにしよう。」

「京極博士! 付き合ってもらったのは僕の方です。お手伝い出来るならさせて下さい。」


再度首を横に振る。否定。

最後に親父は益田の方へと視線を向ける。


「益田君の娘さん。私達の我侭につき合わせてしまってすまかった。謝るよ。」

「いや、そんな、こちらこそお父さんが迷惑おかけしました。」


おい待てやクソ親父。益田にはちゃんと謝罪して実の息子には謝罪なしか。

俺はバイザーを降ろすと戦闘モードに切り替える。

とりあえず。一発ぶん殴って大人しくさせてやると腰を落として拳を握る。

俺の体制を見て取って、親父は手を前に突き出す。


「まぁ、待て。決着は次回に付け様。トラオムも万全の状態じゃないだろう」


その言葉に舌打ちをする。バイザーの表示には、いくつかの注意勧告。

何だかんだで2回ほど戦闘行為を行なったのだ。まして、それなりにダメージは蓄積されている。

完全にイエローゾーンに入ったトラオムで戦って倒せるかと問われれば。

無理だろう。親父のジャケットがどれほどの性能かはわからない。

しかし、ニューバージョンのトラオムに組み込まれている数式は親父がこちらに寄越した情報だ。

だとしたら、あのスーツにも組み込まれていると思うのが当然。

なら、万全を期すに越したことはない。越したことはないのだが。


「うっせ! 知ったことか!」


感情はそんな理論を跳ね除ける。

スラスターを点火して、一気に懐に潜り込むと下方からあごを目掛けて拳を振りぬく。

ガチっと言う音が辺りに響く。

俺の放った拳は、上から押さえつけるように被された親父の手に止められる。


「いいか息子よ。ふつ・・、いや三日後に決着の舞台を整えよう。」

「ふざけんな! 今ここで決着付けてやるバカ親父」

「場所は決まり次第伝えるよ」


こちらの言葉などお構いなしに俺の拳を打ち払うと

後方へと大きく跳躍した親父は、いつもそうするように空間を揺らめかせて消えていったのだった。





「信也君、信也くーん」


俺を呼ぶ声にはっとする。

昨日の出来事を思い出していたら深い思考の渦に嵌っていたみたいだった。

俺は慌てて声の主を探す。そこにはしゃがみ込んで、目線を合わせている英雄ひでおの顔があった。


「悪い、考え事してたわ」

「信也君の得意技だもんね考えること」

「うっせ」


短く受け答えして周りを見渡す。

一面に広がる砂浜。そして地平線まで続く青い海。

現在、俺は熊寺とした約束を果たすため。近場の海水浴場に着ていた。

俺は隣でパタパタと顔を仰いでいる友人に今度は此方から声をかける。


「それにしても今日は遅刻しなかったんだな」

「毎回するわけじゃないからね」


そう返す友人の悪癖が「遅刻癖」なのだ。別に寝坊しまくるとかじゃない。

何故か、英雄は時間を決めた集まりのときに色々な事に巻き込まれるのだ。

迷子の子供、大きい荷物を抱えたお年寄り、自転車のチェーンが外れて立ち往生している主婦、

トラックの荷台から荷物が崩れて慌てて詰み直している運転手etc.

そういうのを放っておけないのが、俺の友人、市原いちはら英雄ひでおなのである。

まぁ、そのせいで遅刻が多い英雄であったが、俺達の入学式でも遅刻した。

そのおかげかどうかは知らないが、クラスで一番最初に顔を覚えられた人物だろう。

不名誉なあだ名『遅刻王ちこくキング』と呼ばれるようになってしまった分けだが。


俺達は現在借りてきたパラソルの下に入り。

真上から叩きつけられる直射日光を避けている。

それでも暑い。海パンとTシャツだけになっている俺と英雄は、額に汗を貼り付けて。

『彼女達』の到着を今か今かと待っていた。


「あいつら遅くないか?」

「女性陣はこんなもんじゃない?」

「あぁー、そういうもんか」


英雄の言葉に頷く。

なるほど、女の子と海に来たことが無いから俺は女性の仕度がどれだけ掛かるかわからない。

英雄が、そういうのならそうなのだろう。

視線を上げる。遠目に見える海水に使ってはしゃいでる連中がすごく羨ましい。

海水浴自体にはあまり乗り気ではなかったが、着いたら着いたでやはり冷たい海に浸かりたいと思ってしまう。

周りに視線を向けていると、大きな声と共に俺の前を風が横切る。


「へーい! お待たせしましたよぉヒーロー」


テンションが臨界点を突破していると見られるちみっこ不思議少女こと甲田が英雄に飛び掛っていた。

英雄が何か声にならない声で叫んで二人でじゃれあっているがこいつら本当に付き合ってないのかよ。


「お待たせー信也君。どうどう?私達の水着役得でしょう?」

「あははっ、お待たせしました。」


声のした方へと視線を向けると熊寺と益田がこちらに歩いてくるところだった。

役得かどうかは置いておくとして、とりあえず今日のことをクラスでばらされたら

間違いなく血の雨の中に沈む自信はある。


「・・・おぉ、似合ってると思うぞ」


水着の種類なぞあまり知らない俺にしてみれば、彼女達が着ている水着がどういった物かなんて

判るかけないので、テキトーに褒めてその場を濁す。それにしても。


「信号機だよな・・・」

「「えっ?」」


俺の言葉に疑問で返す。二人の女の子。

俺はそれぞれに視線を向けて言葉にする。


「赤・青・黄色だろ。」


熊寺・益田・後ろで今だワイワイやっている甲田の順番に指を差し終えると呟く。

それを見た目の前の二人の顔が微妙な表情を作る。


「いやー、信也君。もっと違う例えで言おうよー」

「京極君の感性は、たまによくわからなくなりますね。」


というお言葉を頂いた。

とりあえず、彼女達の水着姿に少しだけ見惚れた事はばれずにすんだようだと胸をなでおろすのであった。




全員がこの場を離れるわけには行かない。すると当然荷物番がいるわけで

そこはもう自然に人類の生み出した。万人に許された三択勝負の出番である。


「「「「「ジャンケーンッ ポン」」」」」


その場の五人が一斉に各々の命運を任せた手を見せる。

チョキが4人にパーが1人。5人のジャンケンが一回で勝負の決する確立って幾つだったっけ。

そんな思想に思いを馳せる俺を置き去りに、各々行動を開始する。


「ヒーロー、早く行きましょうぉー!」

「ちょっ、ちょっと待って。甲田さん、危ない、特に引っ張られてる僕が危ない!」


「とりあえず、おっきい浮き輪借りてプカプカ遊覧しようー」

「いいですね。最初はのんびり過ごしましょうか。」


あぁ、いいんだ。これが運命さ。とこの世の不条理を嘆くのだった。

俺は持ってきていたカバンを漁ると中から文庫本を取り出す。

日陰から出ないように寝転ぶとそれを掲げて読み始める。

しかし、頭には内容が一向に入ってこない。

文字を視線で追う作業を続けながら、俺は親父が消えた後の益田の親父さんこと

誠さんとのやり取りを思い出していた。





自宅の居間に、益田と益田の親父さんを通すとコーヒーを机に置いてから座る。


「すまないね。京極君。」

「気にしないで下さい。」


短いやり取り、お互いに聞きたいことは判っている。

俺は親父のことを、益田の親父さんは・・・


「ところで京極君。まず、どうしても聞きたいことがあるのだがいいかね?」


先手を取られる形になって少々驚いたが、俺は頷く。


「うん。あぁ、そうだ。私の事はまことと呼んでくれ益田さんが二人では言いにくいだろう。」

「わかりました。誠さん。」


俺の言葉に頷くと、誠さんは今度こそ質問を切り出す。


「美音とはどこまで進んだのかね?」

「はっ?」

「いや、娘は美少女だろう! そんな子が近くにずっと居たんだ。何も思わんわけはないよな男として。」

「はぁ? えっ?」

「とぼけなくてもいい。私は京極博士の息子である君になら喜んで・・・ぶはっ!」


誠さんが盛大に噴出しながらソファに沈む。

その横では、クッション片手に異質なオーラを立ち上がらせる益田。

その益田がこちらをギロリっと睨みつける。


「京極君、今あなたは何も聞いていませんし、お父さんも何も言っていません。いいですね?」


俺は両手を顔の位置まで持ってくるとコクンと頷く。

それを見た益田はニコリと微笑み。笑みとは裏腹なオーラを纏ったまま誠さんの襟を掴むと

バタンとドアを開けて廊下の方に出て行った。



「いやぁ、すまないね。京極君。」

「あぁ、いえ、大丈夫ですよ誠さん。」


白々しく同じセリフを言い直す誠さんの隣で、益田は涼しい顔でコーヒーに口を付ける。

俺はふと、からかい過ぎた事への仕返しが、イタズラ程度で済んでいたことに安堵していた。


「いやぁ、私も年かな、何を聞こうとしたかすっかり忘れてしまった!」


わははっと乾いた笑いを上げる誠さんに、俺も釣られて引きつった笑みを浮かべる。

二人してちらりと益田の方を見ると、「何か?」と言わんばかりの視線がこちらを向いていて

慌てて二人して向き直る。


「ゴホンっ、京極君。君の聞きたいことはわかっている。」


わざとらしく咳を挟むと誠さんが語り始める。

親父と一緒になって今回の騒動を計画した。

その始まりと最初の終着点を


ちなみに5人がジャンケンをした場合の手数の振り分けは243通り

一回で信也君が負ける確立はグー・チョキ・パーのそれぞれの負け筋があるので

3/243となります。以上、蛇足でした。

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