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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第一話 まずは下準備

現在、俺は親父の書斎を家宅捜査中である。


親父は、天才科学者と呼ばれるような人だ。家に居るときは普通だし。

普通って言うか、ちょっと前までは正義の味方のニュースや特番ばっか見ているような

子供みたいな大人だけど。それでも、親父が開発してきた物がこの世の役に立っている。

海水を燃料にして動くエンジンや、風力水力発電気の出力の向上、汚染水を飲料水にする浄化機など。

世界を何度もひっくり返してきた天才なのだ。

そんな天才が長年追いかけていたのが『悪の組織』の立ち上げとは、何とも言えない事だ。

電波ジャックからの宣戦布告。あの時、演説していた仮面の男。

あれは、間違いなく親父だと断言できる。仮面で顔を隠そうと、機械で声を誤魔化そうと。

俺は、親父を見間違えない。いや、正確には白衣袖から覗いていたあのリング。

仕事場には付けて行ってない。プライベートの時にしか付けないと言っていた。

プラチナに二つの石がはめ込まれたあのリングは、世界に1つしかないと親父自身が言っていた。

俺の誕生石と俺を生んですぐに亡くなった母親の誕生石を埋め込んだリング。

母親が生きていたら、あのバカ親父の愚行を止めれたのだろうか。

なぁんて、バカか俺は、そんなの判るわけないし、考えるだけ無駄だ無駄。


俺は、その思考中にも手を動かして書斎にあるファイルを片っ端から読んでいく。

正義の味方LOVEの親父の夢が何故悪の組織を作る事に繋がるのかは正直わからない。

だけど、現実問題親父は悪の組織を立ち上げてこの世界に宣戦布告した。

もし、このままどこからか現れる正義の味方と衝突したらどうなる・・・


「この世に悪が栄えた試し無し・・・」


親父は負けて、正義の味方が勝つのだろう。その結果どうなるかはわからない。

悪の組織と言われる連中が、負けた後の事は詳細を知るすべがないのだ。

まぁ、組織の壊滅って言うくらいだから想像は難しくない。

それに、もし内のバカ親父が勝ったら勝ったで何かすごくメンドクサイ事になりそうだし。

だから、俺はこの書斎でそのどっちの未来も否定することの出来る物を探している。

正義の味方大好き親父が絶対に構想し実現しようとしたものがあるはずだと。


「あった・・・」

そして俺は、数十冊目のファイルでお目当てのものを見つけた。

そこに書かれている物。それこそは、正義の味方の必需品『変身アイテム』である。

世の中の戦うヒーロー&ヒロインが必ず使用するアイテムである。

それは、ベルトだったりブレスレットであったり、剣だったり杖だったり。

決め台詞を叫びながら、アイテムを掲げながら、戦闘装束に身を包む。

正義の味方はこれが無くては始まらない。そして、親父なら実戦投入できるレベルの物を

設計しているはずだと言う俺の目論見は的中した。俺は、製作に必要な物をすべてメモに書き写していく。

親父の組織を正義の味方に壊滅されるのはNG

天才の親父が何かの手違いで正義の味方を倒すのもNG

だったら、することは決まっている。


「待ってろよバカ親父。俺があんたの組織を壊滅させてやる!」


俺は、書き写したメモをバッグに入れると玄関を飛び出したのだった。





「えっと、後はスライドトランスがいるのか」


俺は自宅から自転車で30分ほどの場所にあるホームセンターに来ていた。

県下最大級をうたっているだけあって品揃えは一級品である。

俺はカートに乗せたカゴに必要な物をどんどん入れていく。

普通ならこんな散財出来ないが、今の俺には親父という資金源がある。

つうか、まさか親父を倒すために親父が用意した金を使う事になるとは。

これは所謂、因果応報というヤツなのだろうか。

俺が、次に必要な部品を探していると見知った人が棚の整理をしていた。

これ幸いと俺はその人物の所まで早足で近寄る。



「黒田さん、置いてある場所教えてほしい物があるんですけど」


「はいっ、何をお探しです? って、信也君じゃないか。京極さんまた何か始めたの?」


立ち上がった男性は、にこりと微笑むとカゴに目を向けてふむと手をアゴに添えて思案顔だ。

度々、親父が何か実験機を作るときにはこの場所によく来ていたので俺とも親父とも顔見知りの一人だ。

黒田さんにメモを見せながら、まだカゴに入ってない機器や部品を伝えていく。


「じゃあ、この部品から行こうか」


黒田さんに引率されながら、俺は目的の物を次々にカゴに入れていく。

途中、すでにカゴに入れてあった物についても「いや、大きさの指定だけならこっちの方が出力がでるはず」

などと助言をもらってより質のいいものと交換などしてもらい。

やはりこういうのは、プロに任せた方が良いなと思いながら黒田さんの後を付いて行く。

俺はふと気になって黒田さんに質問する。


「黒田さん、朝のテレビって見ました? 新しい組織の宣戦布告」


「んっ? あぁ、見たよ。前の居なくなったばっかりだからやけに早いなって思ったけど」


その後、朝の電波ジャックについての話題で話ながらすべての部品の調達が終わり。

黒田さんにお礼を言ってから会計を済ませてお店を後にしたのだった。





自宅に向かっている間、俺は黒田さんとの会話の内容を思い出していた。


「前は、別次元だったっけ? 今回は服装が私たちの世界のそれだったよね」

「後は、あれだ。世界征服とか技術とかの奪取って言うよりも、正義の味方と戦う為に来たって感じ?」


俺は、宣告の内容自体は聞き流していたから、他人目線でのあの放送がどう映っていたかと言うのは

かなり有意義な情報だった。それと、親父と顔見知りの黒田さんでもさすがに仮面を被って

声を変えての放送だったから、あれが親父だとは思ってない。

というか、そもそも世界の発展に尽力していた人物が悪の組織を作るなんて誰も想像できないか

それにしても・・・


「正義の味方と戦うためって・・・」


もしかしたら、黒田さんだけがそう感じただけかもしれない。

でも、世間一般的な思考であの放送を見た人達のほとんどが同じ意見なら。

もしかして、親父の考え付いた正義の味方の観察方法って言うのは『チリンッチリンッ』

と、考え事をしながら自転車を漕いでいた俺の後ろから他の自転車のベルの音。

俺は思考しながら運転していて、知らずに蛇行運転でもしてしまったのかと思い。

道の脇に自転車を付けて、後ろの人物をやり過ごす事にした。

ところが、後ろにいた人物はそのまま俺の横で自転車を止めると軽く手をあげ挨拶してきた。


「やっ、昨日ぶりだね。信也君」

「なんだ、熊寺くまでらか蛇行運転でもして後ろに迷惑掛けたと思っちまった」

「いや、蛇行運転はしてたよ。どうせ、また思考の渦に埋没してたんだろう」

「うっせっ、考えるって事は、人に許された特権なんだよ」

「その言葉は耳にタコだよー。苗字が一緒だからって、天才を模範しなくてもよくない?」


彼女の言葉に次の言葉が一瞬詰まる。俺は、天才科学者の息子とだという事実を誰にも話していない。

小中学校で、それが何を意味するかを理解したからだ。

だから、俺は高校ではそんな失態を起こさないために、小中の同級生が誰も受けないであろう高校を

選んで受験したのだ。その目論見は見事成功し、現在の高校では俺の親父の事は誰にもばれていない。


「なにさ、急に黙っちゃって。あれ、もしかして信也君って実は本当に天才の息子だったり?」

「んなわけねぇ」


俺はため息を吐きながらそれだけ言うと、足に力を加えて自転車を発進させる。

すると、すぐに隣に熊寺が並んで並走する。


「信也君さ、昨日聞いたとき夏休みの予定無いって言ってたよね」

「それだけど、むっちゃ予定できたんだよなぁー」


俺の言葉に、彼女は予想外といった感じで驚いていた。

つまり、高校に入ってから知り合った人から見ても俺に予定があるのが以外と言う事ですか、そうですか。


「えっ、ちょっ、信也君。その予定を詳しくっ!」


ちょうど、彼女がその言葉を言ったタイミングで分岐点が来たため俺は右の道に曲がる。

彼女の目的地は、こちらでは無かったのか十字路で自転車を止めるとこちらに向かって大声を上げる。


「後で、連絡入れるからー、ちゃんと教えなさいよー!」


近所迷惑だろバカヤロー。俺は、昨日ぶりにあったクラスメートの女の子に悪態を付きながら。

自宅への道を急ぐのであった。


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