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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第十七話 それは一つのお約束

「その姿は見かけ倒しじゃなかったようだね」


KKの言葉に少々カチンとくる。武装面をいろいろ工面したのは俺だが。

元を正せばトラオムがパワーアップ出来たの親父のおかげと言うのが気に入らない。

まぁいい。とっ捕まえて、ボコボコにしてやるから覚悟しやがれ。


『京極君、絶対今悪い顔してるでしょ。』


俺の心を読んだようなタイミングでいつの間にか隣に来ていたレーヴからテレパシーがはいる。

あれ、バイザー下ろしてるのに顔がわかるってすごくね?

これもレーヴの魔法の一つなのか。と割とどうでもいいことを考えていると

今度は、MMが口を開く。


「しかし、秒殺とは、さすがにマネキンソルジャーが可哀想だよ。」


マネキンモドキの正式名称はマネキンソルジャーだったのか良いですね見たままで覚えやすくて。


「だから、ここは悪役のお約束と行こうじゃないか!」


MMがそう言うと、彼の前の空間にノイズが走り。

先ほど俺が倒したと思われるマネキンソルジャーの残骸が現れる。

MMが「そおれ」とパンッパパンッと手を打ち鳴らす。

それを合図にマネキンソルジャーの残骸が宙に浮くと

一つ、また一つと一点を中心にしてどんどん重なり合って行く。

俺は、その光景を眺めながら。MMが何をしようとしているかを確信した。


『まぁ、お約束っちゃ、お約束だな。』

『あの、京極君。さすがにこれは・・・』


黒い影が俺たち二人に覆いかぶさる。バイザーに表示される数字は5mの表示。

なるほど、お約束である。お約束ではあるが、実際に目の前でされるとちょっと引くなこれ。

俺の心の声など知らないとばかりに、悪役二人は高らかに声を張り上げる。


「「さぁ、Gマネキンソルジャー。ヒーロー共を踏み潰してしまえ。」」


倒した敵が巨大化する。なるほど、お約束である。





『くそっ、何なんだコイツ!』

『京極君、どうしましょう!』


俺たちは現在巨大化したマネキン兵に苦戦を強いられていた。

理由は簡単で、こちらの攻撃がまったく効果がないのだ。

いや、もしかしたら少しずつでも効いているかもしれないが、倒せそうかと聞かれれば首を横に振る。


『益田、とりあえずもう一度だ!』『はい!』


彼女に合図を出して巨大な図体に向かって跳躍する。

それに反応して巨大なマネキンが腕を振り下ろす。


「させません!」


レーヴの音激の矢が放たれ。

俺に向かって振り下ろそうとした腕の軌道が変わり、俺の横をその暴力的な質量が通過していく。

フリーとなった俺は全力でマネキンの胸元に拳を打ち付ける。

ゴッと鈍い音はするものの、マネキンは微動だにしない。

ここまでは織り込み済みだとばかりに、俺は拳と足でのラッシュを叩き込んでいく。

しかし、効いているのかいないのか判断出来ないうちに、レーヴに弾かれたのとは違う腕がこちらに伸びる。

直後に轟音。これをすかさずレーヴの音激が打ち落とす。

俺は、最後に大きく蹴りを放ってマネキンから距離をとる。

俺が離れると体勢を立て直したマネキンが一歩こちらに歩を進める。

俺は苦い表情を作ると両手を開いたり閉じたりと繰り返す。

先ほどから何回かあの巨大マネキンを殴ったが、殴った反動だけでこっちが参りそうだった。

まるで、素手でトラックのタイヤを殴ったような感触とでも言うだろうか。

一言で言えば硬いのだ。

しかも、鉄を殴ったような感触では無かった事から、ゴムのような柔軟性があるのだと思われる。

だから、タイヤを連想したのだ。幾重にも折り重なった柔軟性のある物質。

それは衝撃を吸収又は拡散させてる事で、打撃防御特化の装甲という意味合いを持つ。

それがあの巨大なマネキンの全身を覆っている。

先ほどから、レーヴも果敢に音激による攻撃を繰り返しているが、ダメージになっているか微妙な所だ。

たまに、タイミングよく打ち込めばバランスを崩すぐらい事は出来るが

消滅される程の欠損を与えれるかと言われればやはり首を横に振る。

現状手詰まり感が出てきたところだ。

ちらりと親父達の方へと視線を向ける。


「いいぞー、カッコイイぞー」


盛大にはしゃぐKKとその横でハンディカメラを片手にガッツポーズを取るMM。

クソが絶対にその仮面にいいモノを叩き込んでやる。


『益田、イメージしろ! お前の攻撃は音なんだ。攻撃する時の形状は変えれるはず。

 切断する物をイメージしろ、ナイフでもカッターでもいい。あれを切り刻むイメージで攻撃するんだ!』

『わ、わかりました。』


俺の指示によりレーヴが音激を放つ。

炸裂。しかし、巨体は止まらない。俺は舌打ちをして愚痴る。出来ちゃいないのだ。

性能が上がっているトラオムのセンサーで、レーヴの放つ音激の視認化は出来るように成っている。

先ほど、放たれたレーヴの音激は矢や鞭といった形状は取っていないものの。

刃と言うにはとても拙い形状を持っていた。

単純に益田のイメージ力が足りないのか、レーヴの変身システムに意図的に細工がしてあって

音激のレパートリーに刃のイメージが乗らないようにされているかだ。

前者ならこのまま繰り返せば時間が掛かるが、何とかなるが。

もし後者ならお手上げだ。

レーヴがステッキを振って再度音激による攻撃を慣行。

爆発。だめだ、形状がさっきよりひどい。

レーヴの攻撃を意に返さず。巨大なマネキンが腕を振り上げてレーヴに向かって叩きつける。

しかし、その攻撃はレーヴには届かない。音の壁に阻まれる。

音の壁とマネキンの腕が接触し続け、辺りに不協和音を奏でる。

それはまるで、ガラスを指で引っかいた様なあれである。


『頭が変になっちゃいます!』

『俺もだよバカヤロー!』


俺は、即座に巨体の後ろに回りこみアンカーを射出してヤツの首に巻きつける。

アンカーがうまく固定された事を確認して力いっぱい引っ張るとマネキンの体が後ろに傾く。


「レーヴ! 何でもいいから叩き込めー!」


テレパシーで呼びかけるほどの余裕が無くなって叫ぶ俺に

もはや返事をする元気も無いのか無言でステッキを振るレーヴ。

しかし、ちゃんと音激の鞭は発生したようでマネキンのその巨体を地面に叩きつける事に成功した。

俺はすかさず倒れ込んだマネキンの頭部へと駆ける。

あと一つ試してない事を実行するためにだ。


マネキンの頭部に掴み掛かると、武装を展開。

<マギインパクト最大出力!!>

両手から放たれる極低周の超音波を全力でぶつける。

この超音波は、物質の分子にその振動を加える事で分子結合を破壊。

その結果、結合を解かれた物質は実質原型を留める事が出来なくなり分子のチリになる。


だが、もちろん欠点もある。

俺のプログラミング技術では、この超音波に指向性を持たせれる距離がかなり短く。

結果として、このように装置を組み込んだ手の平が直接相手に触れていなければいけない。

また、分解される物質が極端に大きい場合。

物質の内部までその振動を届けるのに時間が掛かるのだ。


届け届け届け届け!

出力を限界まで出した超音波をマネキンの頭部に流し込む。

これがダメなら打つ手なしだと目の前の事に集中したのが仇になった。

気が付いたのは視界に影が入ってからだった。センサーのアラートはすでに鳴っていたのだ。


「ぐっ!」


マネキンの頭部にしがみ付いていた俺は、攻撃に集中しすぎてアラートが鳴ったにも関わらず。

離脱が遅れたため、ついにマネキンの手に捕まってしまった。

戦闘モードをオートにしていたなら、ジャケットが勝手に離脱してくれただろうが

セミオートにしていたのが仇にあった結果だった。

ミシミシと嫌な音が響き、バイザーにはいくつもの表示が繰り返し映し出される。

バージョンアップ前のトラオムなら、すでに圧解している数値で締め上げられる。


「ふざけんなっ! パワーアップしたバッカで負けれるかよ!」


ギチギチと、両腕を押し広げる。その時、ちょうどトラオムの手の平が人間でいう

指の部分に接触しているのを見た俺はマギインパクを再度放った。

ジュッと何かが焼けるような音がすると、俺が掴んでいたマネキンの指が融解。

それと同時に拘束が緩んだのを見逃さず瞬時にスラスターを吹かせて腕から脱出する。

久々の地面にほっと一息して巨体を見つめる。


「分解仕切れずに融解止まりか・・・」


本来ならチリにまで分解するのだが、物質の深くまで超音波が届かないと融解するのに留まるのだ。

効果があるのはわかったが、とてもじゃないけどトラオムの武装でマネキンの全身をチリにするのは

ほぼ不可能な状態だった。レーヴへと視線を向ける。

レーヴの方は、先ほどの不協和音からある程度回復したのか頭を振ってこちらを見つめていた。


『大丈夫か益田。』

『京極君もね。うぅ、最悪です。何か、嫌いな曲をまじかで何時間も無理やり聞かされたみたいです。』


益田の言葉にはっとする。

条件はすべて揃っていた。

俺は、脳内で組みあがった勝利の方程式を解くため。

益田へと指示を出す。



『益田、喜べ。勝てるぞ。』

『えっ? 名案が浮かんだんですか?』

『あぁ、どこにも穴がない完璧な方法だ。』

『おぉ、そっそれで。どんな方法なんです?』

『益田、お前今から歌え。』

「へっ、ええぇぇぇぇぇぇぇ!!」



テレパシーでは無い、レーヴの絶叫が響き渡ったのだった。




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