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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第十六話 お披露目ニューバージョン

作戦決行日<予定>の今日。

天気は快晴。朝のテレビではこの夏一番の暑さになるという予報が出ていた。

現在の時刻昼の一時を回ったところ。

俺と益田は、もはや秘密基地とかしたガレージで今か今かとその時を待っていた。


「ねぇ、京極君。今日で決着付けれるかな?」

「さぁな、ただ付けときたいな。親父達に振り回されるのは、もうゴメンだ。」

「あははっ、そうか。うん、そうですね。」


まただ、と俺は心の中でそう呟く。

今日は、益田の変身後の強制転移で二人一緒に親父達の所に飛ぶという計画を立てていた。

そのために申し訳なかったが、益田には朝から家に来てもらっていたのだ。

しかし、どうも益田の様子がおかしい気がする。

何が変かと聞かれれば、わかりませんとしか答えれないのだが

こう、微妙な違和感を朝から俺は感じ続けている。

最初の内は俺の勘違いだと思ったのだが、それが昼を回った現在でも感じると言うのは

やはり、何かしらあるのだろう。

俺は、意を決して益田に疑問をぶつける事にしたのだった。


「なぁ、何か朝から様子がおかしいけど。何か心配事か? もしくは言っておきたい事があるとか?」


その一言に、大げさなぐらい益田の表情が強張る。


「い、いやー。あるような。ないような。」


彼女の表情と態度に、ため息意を吐いた俺は益田の方に向き直って聞く体制に入る。

俺のその態度を横目で見ていた彼女は、何かを決意したように小さくと気合を入れると

俺の方へと、向き直る。そして、彼女は何度も口を開けては閉じるという作業を繰り返した。

それでも、俺は彼女が言葉をはっするまで黙って聞く体勢を維持する。

彼女は最後に深呼呼吸をすると、ついにその言葉を言ったのだっだ。


「あのっ! ですね。 あの、今度は遊びにここに来てもいいでしょうか?」

「・・・えっ?」

「いや、あの、その、お父さん達の事が終わったら、何だかここには来ては行けない様な気がして。」


あぁ、そういう事かと、彼女が不安に思う事なんて無いのにと。

言い切った彼女は、俺が返事を返さないでいる事にだんだんと視線が下を向いていく。

俺はそんな彼女へと言葉を返す。


「そうだな、こんな所で良ければいつでも来ればいい。」


その言葉に彼女の顔が上がる。


「本当ですか? 私、遠慮しませんよ。毎日来ちゃいますよ?」

「いや、流石にそれは相手するのめんどくさいわ」

「まぁ、毎日は流石に冗談ですけど。 本当に?」

「しつこいな。俺だって友達を家に呼ぶくらいの事はするさ。」


俺の言葉に、彼女は何がつぼに入ったのか当然笑い出した。

何これコワイ。


「ふふっ、あははっ、そうですよね。友達を家に呼ぶのは普通ですよね。」


未だに笑い続ける彼女に呆れた表情の俺。

俺が、いいかげん彼女の笑い声を止めようと動いたその時。

彼女のポケットから光が溢れる。

その光を見つめ、彼女は笑うのを止めるとこちらに視線をよこす。

それに頷く事で返した俺は、自分の携帯をすばやく取り出しと変身システムを起動させる。


「それじゃあ、行きましょうか。」

「そうだな。」


お互いの言葉が合図になったかのように、彼女は光に包まれる。

そして光のが収束すると、そこには見慣れた黒いサマードレスを着たマギレーヴが立っていた。

彼女の変身を見届けて俺も携帯にキーワードを吹き込み。

改良を加えたトラオムの機械装甲メタルジャケットを身に纏う。


「新しいジャケット、前のより一回り大きくなりました?」

「あぁ、装甲が厚くなったのと、武装面でいじったらこうなった。」


俺が着ている新しい機械装甲メタルジャケットは、前回まで着ていたヤツよりも若干大きくなっている。

特に腕部分に関しては、ちょっとしたギミックを加えているため。

前回のジャケットよりも2割ほど太くなっている。


「あっ、来ました!」


彼女が手に持ったマイク型のステッキが眩く光る。

俺はそれを確認すると、彼女の肩に手を乗せる。

そして、次の瞬間。俺たち二人はその場から掻き消えた。





少しの浮遊感の後、足が地面に付く感覚が戻ってくる。

初めて味わう感覚とそのでたらめさにバイザーの下で呆れる。

こんなすごいシステムを世の中に発信しない親父達の考えが判らない。

物を一瞬で違う場所に転送するシステムなんて、それこそ引き手数多の大発明だろうに。

彼女の肩から手を離した俺の眼下には、それこそ見慣れた二人組み。

俺たちが立っているのは土山で、周りを見渡せばどこかの埋立地か工事現場だろう事がわかる程度。

見渡す限りに人が居ない所をみると、今日は作業自体が休みなのだろう。

思い返せば親父達との戦闘は、いつも他の誰かの迷惑になりそうに無い場所が選ばれいた。

さすがに、自分達の自己満足に赤の他人は巻き込めなかったのだろう。

だったら、その気遣いを自分達の子供にも少しくらい分けてくれよと思いながら

俺は隣の彼女に一度だけ頷いて、天高く飛び上がり仮面の男達の前に躍り出るのであった。



「待たせたな!」「待たせたわね!」

「正義のヒーロー! トラオム!」

「同じく! 正義のヒロイン! マギレーヴ!」

「「夢叶えに只今参上!!」」


二人そろって口上をあげ。親父達の前に現れた俺たちを

待ってましたとばかりに出迎えるいい年したおっさん二人。


「おぉー、機械装甲メタルジャケットが変わってるじゃないかトラオム君!」

「いい、すごくいいよ。何か敵に負けた後にパワーアップして復活するお約束のアレだね。」


KKとMMが好き勝手喋りだし盛り上がるのをバイザー越しに見ながら

俺はテレパシーで繋がっているレーヴに言葉を送信する。


『すまん、益田。今から突っ込んであの二人をボコボコにしても良いだろうか?』

『だ、だめですよ。無傷で拘束する作戦立てたじゃないですか!』


いや、だってさ。前回、こっちをボコボコにしといて、『お約束』で片付けられたら

そりゃあ、誰だって腹が立つだろう。現に俺の怒りのボルテージは上がりっぱなしである。

そんな俺の心情を無視して、好き放題語り続けていた親父達だが。

満足したのか二人の語り合いを止めて、MMの方が懐からソフトボールくらいの球体を取り出しと

それを空中に放り投げる。いつかの様に、はるか上空で止まったそれが回転を始め光のカーテンを発生させる。



「さぁ、準備は整った。偽者イレギュラーヒーローよ。生まれ変わった力見せてもらおう!」


KKの叫びが終わると、いつものマネキン共が計10体ほど現れる。

そして、KKが腕を突き出す動作に呼応して、マネキン共が此方に向かって走り出した。


『益田、こいつらは俺一人で片付けたい。』

『えっ? でも、二人でやったほうが早く済むと思いますよ。』

『そうなんだけど、新しいジャケットの性能もちゃんと把握したいからさ。』

『むぅ、わかりました。頑張ってください。』

『ありがとう。』


テレパシーでの通信を終えると同時に駆け出す。

<システムをセミオートにチャンジ。それに合わせてカウントを開始しろ。>

俺の言葉にジャケットが反応し、バイザーにはOKの文字が表示される。

新しいこのジャケットには武装をいくつか載せてある。

そのため、全部オートで任せるのはちょっと心配だった俺はシステムを完全なオートから指示出しが

可能なセミオートへと切り替える。

10体の戦闘で突っ込んで来た最初の1体に対して、振りかぶられた攻撃を潜り込む事で避けると

その胴体に拳を叩き込み空中へと吹き飛ばす。

そこへ間髪いれずに左右からの挟撃を仕掛けてきた2体のマネキンの攻撃は身体を回転させながら

しゃがみ込み空振りさせる。そして回転した勢いを使い右から来た方に足払いをかけ

更にそのままでは止まらず一気に立ち上がると足払いに使った足を左側にいたマネキンの

側頭部目掛けて振りぬく。直撃。しかし、まだ止まらない。蹴り抜いた足を今度は足払いでダウンしている

マネキンに向かって一気に踏み抜く。

上空に殴り飛ばれたヤツは、空中で、側頭部を蹴り抜かれたヤツはその場で1回転して崩れ落ち、

踏み抜かれたヤツは身体をくの字に折り曲げると、それぞれがノイズを残して消滅する。

俺はちらりとバイザーに刻まれたカウントを確認そこには[06,35]の数字。

1体に付き約3秒。OK、文字通り秒殺してやると言わんばかりに俺は残り7体のマネキンに踊りかかった。



一番近くに居たやつに対して、拳を振りかぶる。

マネキンの方も負けじと同じように腕を振る。

激突。マネキンの腕が消し飛びノイズを吐いて消滅する。<残り6体>

センサーに反応。反応は下から。

土を掘り進んで来たのか、地面から上半身を出したマネキンに両足を拘束される。

それを狙っていたのか右前方から腕を振りかぶるマネキンが視界に入る。

そいつの攻撃を難なく掴むと、上へと振り投げる。

俺は脚を拘束するマネキンの頭部へとがっちりと組んだ両腕を振り下ろす。

ガンっと鈍い音と共に頭部を陥没させたマネキンが消滅。<残り5体>

拘束が解けた事で自由になった足で跳躍。

先ほど放り投げたマネキンに追いつくと身体を捻る事で威力を上げた蹴りを叩き込む。

哀れ地面に戻ることなくその場でマネキンが消滅する<残り4体>

空中で姿勢を整えながら眼下のマネキン共の位置を把握。

一番近場に居るやつに向かって、姿勢を整えると今回搭載した武装の一つを使用。

<スラスター点火>

直後、トラオムの足裏からボッという音が炸裂。

まるで空気の壁を蹴ったかのように、空中から急加速して狙いを定めた1体に拳をぶつける。

反応すらさせずに、胴体を突き破った拳を引き抜く。<残り3体>

センサーに反応。今度は真後ろ。

その場で後ろ宙返りの体勢に入りサッカーでいうオーバーヘッドキックを反応があった場所へと叩き込む。

ちょうどマネキンの頭部に当たり消滅<残り2体>

着地を決めたところで残りの2体が俺を迂回してレーヴに向かう姿が映る。

最初の時と違い。助ける必要もない事はわかっていたが、有言実行。

武装の二つ目を使用。

<アンカー射出>

伸ばした両腕のアーマー部の射出口からワイヤーが放たれて2体のマネキンを捕らえる。

射出口から伸びるワイヤーを掴み、右、左の順番で思い切り引っ張る。

こっちへと引っ張り込まれたマネキンの1体目の首を掴むと左足を大きく上げる。

そこへ2体目のマネキンが引き寄せられるように戻ってきた所に踵を振り下ろす。<残り1体>

武装の三つ目を使用。

空いている手の平を掴んでいるマネキンの腹部に添える。

<マギインパクト>

手の平から指向性を持たせた極低周の超音波をマネキンの体内に掃射。

<分子のチリになれ>

俺の言葉に反応するようにさらさらと砂の様に崩れるマネキン。

俺はバイザーのカウントを確認。


『少し時間が掛かったな。まぁ、性能テストは十分出来た。』

『いやいや、京極君。すごすぎですよ、秒殺ですから、秒殺。』


彼女の言葉にバイザーの下の表情が緩むのがわかる。

表示されたカウントは、[51,23]

1分以内での完全決着だった。




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