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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第十二話 これからの事

大声で叫んだ俺に彼女はびくりと身体を硬直させたが、それも一瞬でクスクス笑い出す。

俺はため息を吐いて彼女に視線を向ける。


「あぁ、やられたな。確かにその考えは無かった」

「ですよね。私も昨日思いついた時は、まさかとは思ったんですよ」

「でも、本当に良く思いついたなこんなこと。」

「だって、私が世界に選ばれたニューヒロインなんてありえないですよ」


未だにクスクス笑っている彼女にもっと自信を持っても良いんじゃないかと

思わないでも無かったが、そういうのが彼女らしいと思うのも事実だった。

さて、大前提が変わってしまったので、一気に氷解してしまったこともあるが

新たに出てきた疑問もある事だし、それならどんどん解決してしまおう。


「さて、んじゃ。益田の持ってる変身アイテムは親父さんが作った物って事か?」

「そうだと思います。もしくは、京極博士に協力して頂いて製作したのかも知れません。」


まぁ、製作に親父が関わってる可能性はあるか。

だとしても、何て悪の組織だ。正義の味方を自分たちで作るとは。

やっぱり、天才科学者バカおやじのすることはぶっ飛んでるな。


「じゃあ、変身シークエンスや強制転移って操作されてるのか?」

「そこまでは判らないですけど、そういう事なら辻褄が合いますよね。」


確かに、そうなのだ。親父達がどこに居ようが関係ない。呼んでいるのが親父達なのだから

そりゃ、知らない土地でも行けるだろう。昨日、益田が変身出来なかった事も

親父達が操作してたんなら当たり前だ。なるほど、俺が一人で行くハメになるはずだ。

そうなると、昨日はまんまと親父のシナリオに嵌まった事になるな。

あぁ、やっぱあの仮面に一発拳を叩き込みたい。


「京極君、何か悪い顔してますよ・・・」

「大丈夫だ、前に心に誓った事を再確認しただけだから」


それに対して、あははと乾いた笑い声で答えると彼女は続ける。


「それで、お父さん達の『夢』に関してなんですけど。」

「そうだな、こればっかりは憶測を出ないが、ある程度なら推測できるぞ。」

「あっ、いや、あの。たぶん、私のお父さんの方は、確実だと・・・」


俺は少し驚いた表情で彼女を見る。クソ親父の方は、正義の味方と戦う事だと

最初の内は思っていたが、前提が崩れて方向性が微妙にずれたから

ちょっとわからなくなっていたが、彼女の方は心当たりがあるらしい。

彼女は、笑わないで下さいね。と前置きをすると語りだした。


「私、ちっちゃい頃は、魔法少女とかスーパーヒロインとか大好きで

よくそういう番組を見たり、当時いたヒロインを真似てみたりとか色々してたんです。

後、歌うのも好きで。あっ、カラオケに行くのとか今も好きなんですよ。

それで、その、昔は頻繁に魔法少女になりたいとお父さんに言ってたんです。

私が言うのも変なんですけど、お父さん親ばかな所あるし。

たぶん、娘の夢は私の夢だ。みたいな感じで・・・」


後半になるにつれどんどん声量が落ちていって、しまいには俯いてしまった。

そんな彼女に言う言葉は決まっている。


「いい親父さんじゃないか」


その言葉に彼女は顔を上げる。


「俺のクソ親父の百倍は父親してると思うぞ。」

「いえ、そんな・・・。ありがとう御座います。」


お礼を言うほどじゃない。俺は100%心からそう思った。

こっちのクソ親父と比べたら、いや比べるのが失礼なくらいの父親っぷりだ。

娘の夢を叶えるために悪の組織を演じるとかカッコイイじゃないか。

それに引き換え、クソ親父は全力で自己満足に走ってそうだ。



「さて、益田。ぶっちゃけるとクソ親父の事は問いたださないとわからない。」


彼女は黙って俺の言葉を聞いている。


「でも、それには親父達を負かさないといけない。」


彼女はゆっくり頷く。


「今まで、のらりくらりしてきた親父達をとっ捕まえる作戦を考えたい。」


俺はソファから立ち上がると、彼女に手を差し出す。


「益田、協力してくれるか?」

「もちろんですよ、京極君」


彼女は笑顔で俺の差し出した手を握るのだった。

ここに改めて、正義の味方・・・

いや、偽者イレギュラーヒーローコンビが完成した瞬間だった。





「わぁ、すごいですねぇ」


俺たちは、親父達を出し抜くための作戦を立てるためガレージの方へ移動していた。

いや、別にあのまま居間で話しても良かったんだが、こういうのって雰囲気大事だよな。

ほら、ここで話し合いするとか、秘密基地で作戦練るヒーローみたいでさ。

いや、無いか・・・


「何か秘密基地みたいでいいですね。」

「益田、お前は良くわかってる。」


彼女の肩に手を置いて空いてる手で親指を立てる。

彼女は、えっ何か褒められたんだけどって顔をしていたが

いいんだ益田、お前は今のお前のままで居ればいいと心の中で完結させる。


俺はパソコンを起動させると益田に手招きする。

作業台に乗っている物を眺めていた彼女は、それを見て此方に近寄る。


「おぉ、トラオムだ。パソコンの中にトラオムがいます!しかも、何か進化してます!」


パソコンの画面には、早朝まで俺が弄くり回して完成させた新フォーム姿のトラオムが映っている。

ずいっと画面を覗き込む益田を横目で見ながら、俺はふとある考えが脳裏をよぎる。

もしかして、さっきの話の幼少期がうんぬんって、まだ続いているんじゃないのかと。

何故なら、画面を見る益田の目がすごい輝いてるからだ。


何なんだろうなこの気持ちは、夏休みに入ってまだ2週間も経ってない。

そんな短い期間で、ただのクラスメートだった女の子の事をここまで知る事になるとは

世の中何が起こるかわからないな。


「むっ、京極君。もしかして、私の事を子供っぽいとか思っていませんか?」

「えっ、いや。そんな事は思ってないけど?」

「本当ですか? 何かこっち向いて笑ってたから。」


言われて顔に手を当てる。そうか、笑っていたのか。

そうだな、こういう感情に素直になるのも悪くない。

俺は間違いなく楽しいのだろう。この、益田という少女と一緒に過ごすのが。


「むぅ、絶対私見て笑ってますよね!」

「いやいや、そういうのを自意識過剰っていうんだぞ。」


彼女の発言の揚げ足を取りながら、堪え切れくなって笑い出し。

それを見て彼女がまた怒り、俺がからかうという行動がしばらく続くのだった。




結論。

女の子をからかい過ぎるのは良くない事です。

皆さん肝に銘じておきましょう。

つまり、やり過ぎた。あまりにイジリ過ぎたのだろう完全にへそを曲げた彼女が目の前にいた。


「いや、悪かったよ。本当にごめん。」

「しりませーん」


俺が謝れば棒読みのセリフが返ってくる。かれこれ何回目かのやり取りである。

しまったなぁと、心の中で愚痴る。余りにも予想したような反応が返ってくるので

ついつい気分が高揚してやり過ぎてしまった。今回は完全に俺が悪い。

どうした物かとチラリと視線を彼女から外すとちょうど昼食を食べるのに最適な時間になっていた。

これは幸いと、彼女に声をかける。


「な、なぁ、益田。は、腹減らないか? 奢るからさ、飯食いに行かないか?」


その言葉に俺に視線を向け、続けて時計に目を向けると。

彼女はコクンっと頷くのだった。




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