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親父が悪の組織を作りました。  作者: のいざ たつや
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第九話 悲劇は突然やってくる

夏休みに突入にして10日たった。ここまで、トラオムとして戦った回数4回。

決まって二日おきにドリーマードリーマーは電波ジャックを行なって犯行声明を発信している。

正直に言おう。マンネリ気味である。いざ、戦地に赴いても戦うのは毎度御馴染みマネキンモドキ共。

そして、それを蹴散らすと決まって親父達はそそくさと徹底する。

と、言うより。親父達は本気で観察モードに入っている。

二度目の戦闘のときから益田の親父さんであるMMは、片手にハンディカメラを装備していたし

三度目の戦闘の時には、KKが高速で動き回りカシャカシャと写真を撮るドローンを空中に浮かべていた。

四度目の時には、初めて室内。と言っても廃校となった学校での戦闘だったが

俺の方には、KK。益田の方には、MMが張り付いて。教室から教室に移りながら戦闘する所も

ばっちりと映像と写真を収めているようだった。

もう、悪の組織が正義の味方の追っかけをしているような状態である。

最近では、特に被害が出ないならもう無視してていいんじゃないだろうかと思い始めたが

それをさせない為か、毎回犯行声明の度に時限式の爆弾が登場するのである。

さすが天才と呼ばれるバカな事はある。そこらへんは抜かりないのだろう。

被害がでる『かも』ってだけで、こちらは向かわなければならない。

たとえ、それが嘘であったとしてもだ。

三度目の出撃のときに、益田にそれとなく「試しに作動させてみないか?」と言ったら

むちゃくちゃ怒られた。まぁ、当たり前なんだけどな。

しかし、こうも完全観戦モードに入られるとドリームドリームを壊滅させようと思ったら骨が折れる。

こちらとしては、さっさと決着を付けて普通の生活に戻りたいのだが・・・



そんな思考を巡らせていると見ていたテレビが砂嵐に襲われる。

俺は内心来たかと身構えてその時を待つ。

テレビに映るのは見慣れた二人組み。いつもの様にKKが喋りだす。


『あー、あー。諸君御機嫌よう。そして、宿敵トラオムとマギレーヴ。

今回は少し我々も本気を出すことにした。いつもと同じと思わんことだ。

では、また後程会おう。待っているぞ、正義の味方。』


そして画面が切り替わり少々お待ち下さいのテロップが流れる。

あれ?と俺は首を傾げる。今回は爆弾が持ち出されなかったのだ。

これ、行かなくてもよくね?と考えていると携帯が着信を鳴らす。

このタイミングは一人しかいないと俺はすぐに通話をONにする。


『京極君! どうしよう!』

俺がぬるい思考に浸かっているのに対して、益田の方はひどく慌てている。

『おい、落ち着け。何焦ってんだ?』

まず、益田を落ち着かせるために言葉を掛ける。

しかし、益田から返ってきた言葉は俺を驚愕させるには十分な破壊力を有していた。


『ストラップが全然反応しないんです! 私、変身出来なくなっちゃいましたぁ・・・』





現在俺は一人でドリーマードリーマーと対峙している。


「おやおや~、今日はずいぶんと遅かったねぇ。それに、お一人かねトラオム君。」


こちらを煽るように喋るKKの言葉に俺は言葉を返さない。

益田と電話でのやり取りを終えて一時間後。俺は変身した状態で駆け回り。

ようやくドリーマードリーマーの二人を見つけたのだ。

画面の映像では二人がどこにいるかわからなかったし、今回に限ればマギレーヴの索敵も使えい。

その為、足を使って探し回るはめになったのだ。いつも以上に時間が掛かったのは仕方ないだろう。

俺は一歩を踏み出して二人を指差す。


「さっさと始めようぜ。こっちは今日予定がつっかえてんだ。」

いつも通りマネキン共を倒したら、無力感に苛まれているであろう正義味方を助けに行かなくちゃ行けない。

その為に速攻で片を付けてやる。

俺は、いつでも飛び出せるように両足に力を込める。

しかし、いつまで経ってもKKもMMもマネキン共を召喚しない。

何だ、何かいつもと違う。

俺が不穏な空気を感じているとKKがチッチッと指を振る。


「そう焦るな、偽者イレギュラー


バイザーの下で俺の顔が驚きに染まる。今、何て言った。

親父は、俺に何て言った・・・


「いやねー、正直驚いたのだよ。あの日、我々が来ると思っていないものが来たのだから。」

「我々は、最初から知っていた。あの日来るのは魔法少女のヒロインだと。」

「でもねー、蓋を開けたら君が来た。立派な口上とジャケットを纏ってだ。」

「君はいったい何者だ?」


俺が偽者イレギュラーだから何だって言うんだ。

あと、俺が何者かだって? バカ親父を止めるために正義の味方をしてるバカ息子だよ!

俺は脚に溜め込んだ力を爆発させて突進する。

KKとの距離を一気にゼロにした俺はオラトムの出せる出力を最大限まで上げて拳を振りぬく。



「言ったろぉ、偽者イレギュラー。焦るなと。」


突き出した拳はとても優しくKKに受け止められる。

それと同時に、突き出していた右腕の機械装甲メタルジャケットが弾け飛ぶ。

さらに腹部へと重たい衝撃が重なり俺は大きく後方へ吹き飛ばされる。

装甲が無い右から落ちるとまずいと、瞬時に身体を捻り左側から地面に落ちる。

何とか立ち上がるが、衝撃を受けた腹部の機械装甲メタルジャケットも大きく損傷していた。

何をされたかまったくわからなかった。奇跡的に怪我はないが、戦闘続行は無理そうだ。

俺は、エラーが表示されまくるバイザー越しに二人を睨む。

そこでアゴに手を当ててこちらを向いているKKと目が合ったような気がした。



その刹那、突然視界が光に包まれる。

光が晴れたその場所には、いつも隣に立っていた魔法少女の姿があった。

彼女は、こちらに視線を向けると悲痛な表情を作る。

そして、こちらに背を向けるとステッキを二人に向ける。


「絶対、許さない・・・」

後ろにいた俺に微かに聞こえるかどうかの声量だった。

その言葉の瞬間。膨大なエネルギーが彼女と俺の周りを駆け巡る。

何者も犯すことの出来ない不可侵の壁を生成した彼女は、前方に向けステッキを振る。

俺たちの周りを旋回していた内の幾つかは、彼女の指示に従うようにKK達の方へと

その暴力的な力をぶつける為に疾走し、次の瞬間には轟音が鳴り響く。

先ほどまでKK達がいた場所に盛大な土煙が上がる。

しかし、彼女の攻撃は終わらない。オーケストラの指揮者のようにステッキを振る、振る、振る。

何発もの音激が叩き込まれ幾度となく轟音が辺りに鳴り響く。

俺は叫びながら彼女の肩を強く掴む。


「もういい、レーヴ。一旦落ち着け。」

肩を掴まれた事でステッキを振る腕を止めた彼女はこちらに振り向く。

そこには、今にも泣き出しそうな表情をした彼女の顔。その表情を見て胸が締め付けられた気がした。


「俺は大丈夫だ。そんな顔するなよ。」と気休めになればと声を掛ければ

彼女は俺に抱きついて、ついには泣き出してしまった。

俺は、そんな彼女の頭に手を置くと前方を睨みつける。

煙が晴れた場所には仮面の二人組み。所々、コゲた白衣を叩きながらこちらに背に向ける。


「我々は満足したので、今日は帰るよ」


そういい残して、KKとMMがいつもの様に消えた。

残ったのは、未だに泣き続ける正義の味方とそれを撫でる偽者イレギュラー味方ヒーローだけだった。




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