何でも屋の店主、前払いされる
借金の返金催促状が積まれたテーブルを挟んだ店主と黒スーツの少女
その周りは数人の黒スーツの男達。
「………んで、こんな借金だらけの何でも屋に何か御用で?」
店主は訝しげながら目的を尋ねる。
そんな態度を向けられても尚表情を崩さない少女は口を開く。
「実は、仕事を頼もうかと思いまして。」
「仕事、ねぇ……。主にペット探しが収入源なんだが?そういった類かい?」
皮肉を込めて少女の反応を伺う。
しかし少女は気にした様子でもなく話を続ける。
「いえ、そういうのでは無いですね。」
「じゃあなんだ?」
「レジェンドモンスターズと言うのを聞いたことがありますか?」
店主はその名前を耳にしていた。
最近になって開始されたゲームだ。
「聞いたことがあるがそれが?」
「そのゲームをプレイしていただき、報告書をまとめて欲しいのです。」
「……そのゲームの関係者か?」
「ええ。」
隠そうともしない少女。
「解せないな。あんたらの社員を使えば良いだろ。」
「そうもいかないんです。」
「……何故?て聞いても答えちゃくれないんだろうな。」
「その通りですね。」
店主は内心舌打ちをした。
経験上、厄介な仕事だと。
「そんな苦虫を潰した顔をしないでください。貴方にとっても悪い話じゃありません。」
「上手い話には碌な事が無いもんでな。」
「まぁまぁ、騙されたと思って。」
「……はぁ。それで?何を書けば良いんだ?」
「貴方が体験した日常・現象などで結構です。月に1度こちらの住所に届けてください。」
「報酬は?」
「そうですね……、今の状況だとゆっくりできないみたいですから前払いでお支払しましょう。」
「は?」
店主は呆けた。
あの言葉の通り、報酬は前払いされていた。
借金が帳消しになり、口座には200万円振り込まれていた。
「……んでこれが、VRMMOをプレイする為の装置か……。」
ダンボールに入ったヘッドマスク
これを付ける事によってゲームの世界に入れるらしい。
「そういや取扱い説明書を貰ってたな。」
少女からもらった説明書を見て、店主は固まった。
・基本的には他のVRMMOと変わらないが変更・追加がある。
・このゲームは年齢制限用のイベントがある。
・このゲームは地球と同じ時間で進む。
以下長い説明が続く
「どんなシステム追加してんだよ……。」
年齢制限用のイベントと言う辺り、多分そういう系なのだろう。
普通の男なら喜びそうだが、少なくとも罠な気がしてきた。
「これ犯罪者を炙り出すために作られたんじゃねーだろうなぁ……。」
店主は葛藤をしたが前払いをされてしまったので他に選択肢は無かった。




