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ダリアンとバル・バトスとハルファス

〈大災害〉から10日前後-とあるフィールドダンジョンにて


【ハルファス】「……特技の再選択ミスったかなあ……」


すーはー、とその見た目にそぐわないアルトの声で呼吸を整えるエルフの少女。

あまり実戦経験が無く、また事前に選択したスキルは目の前の敵には効き辛いときた。

レベルの低さも相まって、かなり緊張している様だ。


【バル・バトス】「能力はわかったが、HPまではわからんのか?」


そうダリアンに聞いて来たのはヒューマンの、長身の男。

その名前の通り、某RPGの「ぶるああああああああああああああああ!」その者である。

しかもその声までそっくりな上、本名は……まぁ、その事はいずれ語ろう。


【ダリアン】「流石にそこまで覚えてないわよ」


モンスター図鑑(初級)で自前の記憶に間違いが無い事を確認しながら、黒髪の法儀族の少女が答える。


【バル。バトス】「仕方がねえ。動かなくなるまで殴り続けるまでだ」

【ダリアン】「ハルも、そこまで緊張しなくても大丈夫よ」

【ハルファス】「いや身長と体格はそのまんまでも性別違うから細かいところで動作がですね」


そう、彼女(彼?)は女性キャラでログイン中に〈大災害〉にあってしまった男性である。

彼女は現実での体と今の体との差を埋めるために、〈大災害〉後は殆ど〈アキバの街〉で馴らしをしていた。

その為に今日の今日まで実戦を行わず、最後の締めとして相棒のバルと知り合いのダリアンを連れてこのフィールドダンジョンに来たのだが……


【ダリアン】「今更それを言っても仕方がないでしょう?とりあえず一番後ろのは止めるから、二体はお願いね」

【バル・バトス】「そういえばお前カマ野郎だったな・・・つい忘れてた。可愛いのに(血涙)」


今まで時間はあったのだから、と切り捨てる知り合いと、女声のと見た目でつい性別を忘れてしまう相棒。

何故こんな人選をしたのかは、彼女にしかわからない。


【バル・バトス】「ぶるあああああ!《アンカーハウル》!」


とは言え、敵は既に目の前にいる。いつまでも遊んでいるわけにはいかない。

例えそれが、ハルファス以外の二人にとって本来なら格下であってもだ。


【ダリアン】「しっかりしなさいよ、戦士職……《アストラルヒュプノ》!」


そう、前に出ながら唱える。

相手が〈人食い草〉という低Lvのモブ3体、しかも自分以外にもバル・バトスというベテランの高火力守護戦士が居る……

後になって思うと、そう油断していたのかもしれない。


とは言え奥に居る〈人食い草〉には[放心]/[重篤]のバットステータスを与えることは成功した。

それを見て――


【ハルファス】「お命頂戴……ってこれじゃ暗殺者か」


そう言いながら、《エンドオブアクト》で先頭の〈人食い草〉を力任せに切り刻む。

その姿は、確かに〈盗剣士〉というより〈暗殺者〉の様に力強く見えた。



どすん、とその腹に《蔓の鞭》が叩き込まれる。


残った1体が近づいていたようだ。

そして



【ダリアン】「ぐっ!ごほっ!ごほっ!!」


いつの間にか[放心]/[重篤]から解放された1体が、長い蔓で後方に居たダリアンの腹を叩く。

戦士職と比べれば共に紙装甲と言われるが、そこは前衛職と後衛職。

師範システムでレベルが下がっていることもあり、そのダメージはダリアンの方が大きい。


【バル・バトス】「ちいいっ! 待たせたなぁっ! てめぇら俺無視して攻撃してるんじゃねえぞ!」


そう言いながらダリアンに並んだ守護戦士は、その手の弓を引き――


【バル・バトス】「くらえぇーい! ロングメガバスタアアアアア!」


《オンスロート》に《ヘイトリッドチャージ》を乗せた矢は、ハルファスに攻撃した〈人食い草〉を消し飛ばした。


【バル・バトス】「アンカーハウル! ぶるあああああああああああああ!」


恐らく遠すぎた故に効きが甘かったであろう《アンカーハウル》を再び使い、敵の攻撃に備える。

だが、これ以上の攻撃は無かった。


【ダリアン】「ぅ……《アストラルヒュプノ》」

【ハルファス】「無駄とは知りつつ物は試し、ってね。《ブラッディピアッシング》」


再び[放心]にさせられた〈人食い草〉は、こうして根本から順に切り刻まれていった。


【バル・バトス】「見事なもんじゃねえか、ハル。俺様の奥義起動も必要ないくらい、かんっぺきだな」

【ハルファス】「正直もうすっからかんもいいところだけどね」


最悪の場合に備え、次の手を考えていたバル・バトスに、ハルファスはそう答える。


【ダリアン】「ごほっ!……あぁ、痛かった」


一人HPがレッドゾーンに突入していたダリアンも、直に調子を戻す。

この辺りに、〈冒険者〉の体の丈夫さが伺える。


【バル・バトス】「しかし、これで今後の課題がわかったな。早さが必要だ。敵よりはやく動けないと最初に俺以外のやつらが攻撃くらっちまう」

【ダリアン】「ふぅ……そうね、まぁ今回は私たちが先に動いてしまったというのもあるんだけど……」


今までハルファスと行動を共にしていたバル・バトスと、久しぶりにベテランと共に戦った故に油断したダリアンはそう言い合った。


【バル・バトス】「しかし、モブだったからか、案外脆いな」

【ダリアン】「脆かったかも知れないけど、痛かったんだからね?」

【バル・バトス】「だぁから、次はそうならないようにスキルを伸ばそうと言ってるんじゃねえか。それに、やっぱり敵の攻撃は半端ねえなあ。素直にアイアンバウンスも伸ばしとくべきだったか・・・」

【ダリアン】「まぁ、開墾が実装されたならLvキャップも外れただろうしね……ハル?大丈夫?さっきからしゃべらないけど」


そう言って先ほどから考え事をして喋らないハルファスを見る。


【ハル】「……あ。ごめん。ちょっと色々反芻というか反省というか……。BS付与は複数持っておいたほうがいいし、離脱手段もあるに越したことはないし……というか死ぬ。下手に前線に出ると死ぬ」

【ダリアン】「そう……まぁ、反省は家でやりましょう。果物位は出すから」

【ハルファス】「ありがとうございます姐さん」

【ダリアン】「姐さんはやめて」

【ハルファス】「あ、ごめんなさい」


そう言ってしゅんとなる(見た目は)美少女。


【ダリアン】「バルも行きましょう……そういえばレラージェは紹介してたかしら?」


しかしその様子も気にすることなく。


【バル・バトス】「いや、まだ会ってねえな。紹介してくれ」

【ハルファス】「おなじくー」

【ダリアン】「それじゃぁ一緒に紹介するわ」


そう言って三人は歩き始めた。

〈アキバの街〉に秩序が生まれるのは、まだ先の話である。

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