↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

エピローグ

わぁ!ログ行きだ!原型なし!昔の自分、ユルシテww


願わくば、その思いを




昼下がりの太陽が燦々と照り付け、木々の隙間から溢れる。瞼を捉えた。

薫風が木々を縫って草木を撫でる。髪を揺らした。

優しい小鳥の囀りに呼応するように、小さく呻く。

瞼を擦り、徐に目を開ける。手で支えながらフラフラと体を起こし、微睡から覚めたばかりの頭を回す。幹に寄りかかり眠っていたようで、体の節々が錆びついたように凝り固まっていた。どうやら木の背を借りていたようで、その頑丈なベッドを見やる。視界に収まらないほどの巨体だ。永い刻を生きてきたのだろうか。

少しずつ意識が鮮明になっていった頃、幹に手をつきながらやっと重い腰をあげる。巌のようなその外皮に触れながら、少しずつ周囲を把握し始める。

ふと地面と目が合うと、何やら金属片らしきものが落ちていた。丁度、私が寝ていた時に添えられていたように。

あげたばかりの腰を再び下ろし、手に取ってみる。無惨な姿になってはいるが、おそらく剣だろう。

柄に巻かれていたであろう皮は腐食し、その刀身は鍔に程近いところから崩れていた。その状態から相当に古いものだと予測がつくが、しかし刀身は輝きを保っていた。

大切にされていたのだろうか、手に持つと不思議と暖かさが伝わってくる。

そっとしておこうか迷ったが、私は倹約家だったようであるし借りて行くことにした。


30分ほど、寝覚めの散歩がてら大樹の周りを一周したが、深い森に囲まれたこの場所に続く道なんてなかったし、人家なんてなおさらである。


自然100%の大森林


どうしたものか、頼れるものは己の身一つだけ。こういう場合、どうするのが正解か全くわからないが、とりあえず火を起こそう。

そこらへんの棒とそこらへんの蔦を拝借し、棒と蔦を組み合わせて弓切り式の完成。

頭には十分働いてもらったので今度は体の番だ。

しばらく無心で続けると、ようやく煙が上り始め、苦節3時間(当社比)でついに火種ができた。急いで草葉の塊に放り込み、息を吹き込む。無事発火した。

バンザイ。


焼くものも特に見つからなかったので一旦放置しておく。さっき見つけた果物のようなモノを運頼みで頬張る。

…渋い。それはもうとてつもなく渋い。

口の中がもさもさしたまま、今日は1日を終えた。



おはよう大樹。

火を焚いていたからか、動物さんと挨拶するという場面は避けられた。

そこらの草を敷いただけのベッドだったが、存外悪くなかった。レビューは星四つ。

もっとも、記憶にあるベッドは大樹とこの草の塊しかないのだが。

今日は一日散策しよう。地図士の一人でもいれば地図がつけれたのだが生憎私一人。大人しく木やら何やらに目印を付けながら進むことにする。

何も考えずに森を突き進んでいたが、大樹と距離が開いていくうちに少し不安になってしまった。あれだけ主張の激しいやつでも、生い茂った木々の隙間からは見えようもない。


地に根を這わせ、青々と繁く木々の中、獣の道を進んで行く。下に視線を下せば、列を成した蟻達が、青葉をせっせと運んでいるのが目に入った。

耳をすまさずとも、どこからともなく鳥の囀りが聞こえてくる。

所々に生えている名前も知らない綺麗な花を匂いながら、漫ろ歩いていた。

何か特別な思い入れがあるわけでも無いのにあまりにも美しいと、自然が私にそう思わせるのはきっとそれが最上の景色だからだ。

と、せせらぎを跨ぐ倒木の上をT字で渡っている私は思うのだった。

川に掛かった橋を渡らないのは無作法というもの。しっかりと楽しみました。

見たこと、聞いたこと、触ったことのないものを感じつつ時も忘れ見惚れ歩いていると、知らぬ間に開けた場所に出ていた。

そこには、大き…くはないが、泉があった。辺は動物やらに踏み固められ、草もなく歩きやすくなっていた。

泉は、驚くほど端正な円で出来ていて明らかに人工的だったがかえって神秘的に見えていた。


————————————

シャンデール王国辺境、要塞都市ウェンディ

————————————

…

「失礼します。副団長殿、ご報告が」


「どうした、浮かない顔をして。らしくないではないか」


普段朗らかに笑っている男が曇っているのを見るのは、あまり好かん。

一体何があったのか。


「それが…ウェンディ郊外南西部にてこちらに向かう竜の姿が確認されました」


「…?、続けろ」


「は。確認されたのは丁度30分前。全長およそ五メートルと小型。色は白に黒のライン。双角。現在は本国の王立学院研究室に投影、分析させています。どうしましょう…」


ふざけているとしか思えんが、この男がホラを吹くとは思えない。竜の目撃情報など数年に一度国外に出る旅人からぐらいなものだというのに、ましてや都心に舵を切っているだと?

そもそも、盟約によって互いに不可侵の筈だろう。

初代国王の遺産である結界の刻石がある限り侵入は不可能のはずだが、竜などという人智を超えた存在は何をしでかすかわからない…


「副団長殿、たった今研究室との会合の末、本国から<雷撃>による撃墜が行われるとのこと

です」


「我々は初代国王に頼りきりだな」



初代国王の卓越した技術力により王城に備えられた雷撃が動くのは、実に400年ぶり。

かくして、青空に円環が展開され空に稲妻が走る

…家出をした16歳の幼竜に向けて。


——

「勢い余って家出しちゃった…でもあれはパパが悪い。あとうちの習わしとかも悪い。私は悪くない」


知らない奴と結婚なんてバカみたい。

姉さんもう結婚してるんだから、私が独身でもいいじゃない。

とにかく家から離れたくて適当に翔んで来たけど、どうしよう…

家の方角、わからないんだよなぁ


…なんだろう、あれ。

何か光って



…?

熱い…。熱い…熱い。熱い熱い熱い!

何が起きたの?

でも、何かが私の羽を、貫いた…?

傷口から血が溢れ出してる…!

頭、回らな 落ちるっ!

せめて水場に…



- - -

轟音を立て、巨大な水柱を作り、真円に近い形をした穴を浮かび上がらせる。


————————————

透明で、そこに生えたコケ?藻?まで鮮明に確認できる。

どれ、一口味見を。

手で器をつくり、掬い上げる。下手くそすぎて殆どこぼれ落ちてしまった。

う〜ん。水の味!

中身のない食レポをしていると、泉が怒ったのか、その内容物を噴き上げ、撒き散らす。


「おぼぼっぼぼ!げほっげほっ…さっきより濃厚な水の味…」


かたや一大事、

かたや変わらぬ中身のなさであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。