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第2話 『ある少女との出会い」

森の奥へ進んだある日。

俺は新しい獲物を狙い、獣型の魔物へ向かって酸弾を放った。

だが、獲物のすぐ近くに――小柄な少女がいた。

「きゃあっ!」

魔物が牙を剥き、少女に飛びかかる。

俺の酸弾はそれを撃ち抜き、魔物は倒れた。

「……あ?」

助けるつもりはなかった。ただ狩りをしていただけだ。

だが結果的に、少女を救った形になってしまった。

金色の髪、澄んだ青い瞳。

泥だらけになりながら、彼女は俺を見上げ、混乱したように震えていた。

「……ま、魔王様……?」

そう。人間から見れば、俺は紛れもなく“悪”だ。

恐怖と少しの感謝、そして疑念が入り混じった表情。

俺は心の中で苦く笑った。


少女は慎重に言葉を紡いだ。

「わ、私は……アイリス・フィオレンティーナ。村から来た者です」

――アイリス。

その名を聞いた瞬間、背筋に冷たいものが走った。

知っている。この名を。

ゲームの中で、勇者パーティーの仲間になる少女。

優秀な回復魔法と精神的支柱として、多くのプレイヤーに愛されたキャラクター。

(……本来なら、勇者と出会うはずの彼女が……今、俺の目の前にいるのか)

これは偶然か、それとも必然か。

だが一つだけ確かなことがある。

――勇者に出会う前に、俺が手を伸ばせるチャンス。

俺は口角を上げ、少女に告げた。

「勘がいいな、アイリス。だが安心しろ。俺は今すぐお前をどうこうするつもりはない」

少女は戸惑いながらも、目を逸らさずに俺を見つめていた。

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