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第1話 『初めての戦闘』
俺は魔王城を抜け出し、森に足を踏み入れた。
空気は冷たく、湿った土の匂いが濃い。
「……ここ、やっぱりそうだな」
見覚えがある。いや、知っている。
ここは前世で散々潜ったゲーム序盤の狩場――『初心者の森』だ。
木の並びも、川の位置も、魔物の出現パターンも、画面越しに見た景色と一致している。
「ってことは……この先の茂みには、スライムが三体湧くはずだ」
息を潜めて待つ。――現れた。
青いゲル状の魔物が、ぬるりと這い出してきた。
(本当に……ゲームと同じだ)
俺は拾った木の枝を構え、奴らの弱点――“核”を狙って突き刺す。
一撃。スライムは泡となって消えた。
《スキル【酸弾】を奪取しました》
脳裏に文字が浮かぶ。
手をかざすと、透明な液体が弾丸となって飛び、木の幹を焼いた。
「……よし。これなら戦える」
前世で鍛え抜いた俺のゲーム知識はきっと確かな武器になるだろう。
俺はただひたすら生き残るため、修練を続けた。