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混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ  作者: ラット
幕間IV紅い獣の誕生
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厄災の地

 ———3年後 某国外れの戦場 通称:厄災の地


「全隊員整列! 諸君らは選りすぐりのエリート部隊だ! そんな諸君らがこの地に派遣された理由! それはこの地に潜む悪魔……7歳の少女の捕獲又は殺害! これを命題


 人数15人、装備はフル、殺せる。

 脚に力を込める。

 筋肉は肥大化しパンパンに膨れ上がった脚の力を、解放する。

 一人目は勢いのまま首を折る。

 残った雑兵は関節部の柔い部分を狙いたい。

 いや、ここに死体(良い武器)がある。

 重さは大体90キロ以上くらいか、なら充分! 

 腕に力を込めて武器を思いっきり叩きつける。

 グシャ、と湿った破砕音が聞こえた、まず二人目。

 今死んだ奴も拾い、二つの武器で逃げる雑兵を一番弱そうな奴以外殺し尽くす。

 そうして残った一人は手を挙げ降伏する。

 アタシはその両腕を折り、逃げようとしたソイツの足を死体から奪った銃で撃ち抜く。


「逃げるな、喚くな、アタシの問いに答えろ」


「あ、悪魔め……」


 ルールを破ったバツに指を一本折る。

 兵士は芋虫のように這いずりながら叫び声を上げる、うるさい。


「もう一度言う。逃げるな、喚くな、アタシの問いに答えろ」


「わ、分かった分かったから命だけは……」


 怯えた顔で兵士は懇願する。


「戦争はどうなった?」


「お……終わった。我が国の勝利で……」


 その言葉を聞いて胸が苦しくなる。

 もうコイツらに復讐する手段は無くなった。

 アタシの反逆は無意味だった。

 パパとママの死は無駄だったと決まってしまった。


「そうかなら、死


 瞬間、兵士の眉間を弾丸が貫く。

 アタシは即座に弾丸が放たれた方向を向き、密林に逃げ込もうとするが……


「ストップ! まぁ、まて、話をしよう」


 初老の男がスナイパーライフルを担ぎながらこちらに近づいてくる。

 敵意は感じられないが何かしらアタシを害しようとしたら殺せるように準備する。


「はぁ、噂に聞いた戦場の紅い悪魔がまさかこんなガキだとはなぁ……とは言え一部始終見ちまったからには嘘だとは言えねぇな、にしても常識離れすぎるなこりゃ」


 男は死体達を見ながらそう呟いてアタシの前に座り込んだ。


「さて、まずは自己紹介からだ。俺はメイナード、いわゆる殺し屋だ。嬢ちゃん名前は?」


「無い」


「無いって……と言うかいい加減警戒するのやめないか? 俺一人だし、多分俺の方がお嬢ちゃんより遥かに弱いぜ?」


 そう言ってメイナードは懐から水筒を出し水を飲み始める。


「……殺し屋が殺す以外で何の用だ」


「単刀直入に言おう、お前復讐したいか?」


 思わずその言葉に反応する。

 復讐したいか? だと、したいに決まってる! 

 けど、もうその手段は……


「復讐したいらしいな、なら簡単だ。殺し屋になれ俺が技術を教えてやる。お前さんは技術不足だ、だが磨けば光る原石だ。そうして完成したらお前の復讐したい相手を殺すといい」


 メイナードはそう言って私に手を差し伸べる。

 この男を信用していいのかはわからない。

 けど、復讐の為ならなんだってやる。

 そうアタシは決めたのだから。


「分かった、よろしくメイナード」


「早速呼び捨てかよ……にしても名前がないのは不便だな……」


「なら、ケイト……ケイト・リードと呼んで」


「なるほど偽名か、まぁ、この業界じゃ偽名ばっかだし問題ないかよろしくなケイト」


 こうして、アタシとメナードの奇妙な暮らしが始まった。




 ———3ヶ月後 メイナードの拠点にて


「いやぁ、呑み込み早えな、普通なら数年かかるんだが……」


 メイナードが言葉をこぼす横でアタシは銃の組み立てのタイムアタックを行っていた。

 バラバラになった銃の部品を即座に組み立て使用可能にする技だ。


「そんなんじゃ、殺す時間が足りない」


 口を動かしながら組み立てと解体を繰り返す。


「足りないってお前誰殺すんだよ?」


 メイナードがアタシに問う。


「国の大統領、ついでにあった奴片っ端から全員」


 その言葉を聞いてメイナードは呆れ返る。

 確かに普通じゃできない。

 だからこそもっと、もっと狂う必要がある。

 アタシはもう()()には戻れない。

 なら、特大の悪になってやる。

 誰もが恐れる厄災になってやる。

 そうすれば———


「できた。100セット終わり、風呂入ってくる」


 そう言ってアタシはその場を後にした。


「マジかよ……1時間でやりやがった……ありゃとんでもねぇ化け物だな」




 簡素な風呂場でシャワーを浴びる。

 体にこびりついた血は落ちたが、金色だった髪だけは三年間で真っ赤に染まり色が抜けなくなっていた。

 けど、それでいいアタシに……紅い悪魔にはお似合いだ。

 もう人を殺すことに躊躇いはない。

 あと少し、あと少しでアタシの復讐は終わる。

 そうすれば……アタシはどうすれば良い? 

 先のことなんて考えてなかった、考える余裕なんて無かった。

 アタシはこの先どう生きるの? 

 ……考えることを放棄する。

 大雑把なプランは考えてある。

 メイナードのツテを使って殺し屋として生きていく、と言うかそれ以外の選択肢はない。

 ……パパとママが知ったらどんな顔をするだろう。

 …………やめよう、考えたところで意味はないんだから。

 シャワーを止めて風呂場から出てタオルで体を拭く。

 復讐の結構は3ヶ月後の建国記念日、そこでアタシは奴らを殺し尽くす。

 そうして、ようやくアタシの人生が始まる。

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