相棒故に
「意味わからないです!何で私がクレアと戦わなきゃ……」
「喋ってる暇あるのかよ!」
また一発、シズハの顔面に拳をめり込ませる!
シズハは痛がるが、戦おうとはしない。
「……ッ!『峻
「遅ぇよ!」
今度は腹に渾身の一発を放つ!
流石のシズハもかなりきた様で、腹を抱えうずくまる。
「やめてよ……クレア、痛いよ……」
「やめねぇ、立てや。言っただろボコボコになるまでぶん殴るって」
「はぁ、はぁ、何で……私はクレアのためにやってるのに……何で!」
シズハが立ち上がりアタシの顔面をぶん殴る。
結構気合いの入ったパンチだ、だけど……
「いつアタシがそんなこと頼んだ!」
殴られた衝撃で仰け反った体を思いっきり前に倒してシズハを頭突く!
「うるさい!私はクレアの為にやってるんだ!」
シズハは勢いよくアッパーを放ち、アタシの顎に直撃して体が浮き上がる。
「それはテメェが勝手にやってるだけだろスカポンタン!」
アタシは浮き上がった拍子に両手を合わせてハンマーの様にシズハの頭に振り下ろした。
「痛ぅ……なんで!なんで!分かってくれないの!」
シズハが右ストレートを放つが甘い。
アタシはそれを避けて全力の左ストレートでシズハの顔面をぶん殴った!
「あぅ……」
シズハは後方に吹っ飛び転げ回る。
暫くの間、シズハはそのまま動かないでいた。
アタシは片方の鼻の穴を押さえ勢いよく鼻血を吹き出し、口の中に溜まった血を吐き捨てる。
「どうして……どうして……」
シズハは同じ言葉を繰り返す。
そして、ゆっくりと立ち上がる。
顔は傷だらけで唇と鼻、瞼からは血が流れ出ていた。
「どうしてだぁ?んな事、決まってんだろ!アタシはお前にこんな間違いをして欲しくねぇからだ!」
アタシはシズハの瞳を見て言い放つ。
「私が間違ってる?……そんなわけない!私はッ」
「うるせぇ!何で相談してくれなかったんだよ!何で一人で抱えちまったんだよ!アタシらは相棒だろ!辛いことも悲しいことも分かち合う!それが相棒だ!なのに、お前はアタシを信じてくれなかった!アタシはそんなに頼りなかったのかよ!シズハ!!!」
アタシは心のうちを曝け出す。
ずっと、思っていたのに言えなかったこと。
自分でほざいといて何だが、アタシもできてねぇじゃねぇか……
「……」
「……」
暫しの間、静寂が訪れる。
その間も世界は逆行し続ける。
「あぁ、あぁ!!!うるさい!うるさい!うるさい!私は成し遂げるんだ!完全な世界を……クレアのための世界を作るんだ!それの何がいけないの?!」
シズハは心の底から叫ぶ。
なるほど、それがお前の真意ならアタシも応えるのが道理だ。
「気持ちは嬉しいぜ、シズハ。だけど……だけど、アタシは今の世界に絶望も失望もしてねぇ!確かに苦しいこともあった!痛みを伴う悲しみもあった!だけど!それでも!アタシはこのままでいい!お前が……シズハが隣にいればそれでいいんだよ!!!」
その言葉を聞いてシズハは瞳を閉じて震える。
暫くして、シズハの口から言葉が紡がれる。
「なんですか……クレアも相棒について高説垂れる割には全然できてないじゃないですか……」
瞳から涙を流しながらシズハは語る。
「……確かにアタシもできてなかった。自分でほざいといて酷い奴だ」
あぁ、シズハの言う通りだ。
アタシもできてなかった。
だからこんな大きな亀裂ができちまった。
「でも、もう無理です。私にはもう時間逆行を止められない。結局は始点に戻って……」
「お前が人柱になるしかないってか?は!ふざけた話だな!シズハ知ってるだろ?アタシは……」
盛大な啖呵を切る。
確かにできないかもしれない。
無駄かもしれない。
でも、そんな理由でシズハと離れるなんて神が許そうとアタシが許さねぇ!!!
「バッドな話が大嫌いなんだよ!」




