『憤怒』サタン
———ベルフェゴール消滅後すぐ 丘の上の教会にて
「……」
アタシの元に『教会』から連絡が届く。
信じたくない連絡、嘘であって欲しい連絡が。
「ふぅ、ただいま! クレ
「馬鹿野郎!!!」
アタシは笑顔で帰ってきたシズハを思いっきりぶん殴る。
シズハは後ろに吹っ飛んだ後、少し転げ回って止まった。
そのままアタシはシズハの元に向かい首元を掴み上げる。
「テメェ、自分が何したか分かってんのか?!」
アタシはシズハに怒声を浴びせる。
シズハは特に表情を変えることもなく答えた。
「魔王を倒しました。町が一つ駄目になりましたが仕方ないことでしょう?」
シズハはそう答える。
アタシはもう一発シズハを全力でぶん殴った。
「はぁ……はぁ……シズハ、テメェどうしちまったんだよ!!!」
「……痛いなぁ、私はどうもしてませんよ?」
「どうもしてないわけ無いだろ!!! 何でこんな酷いことをした!!! 何で無関係の人間を大勢死なした!!! なんで
「別にいいじゃないですか」
アタシの言葉をぶった斬ってシズハはそう告げた。
「どうせいつか死ぬ命なんです。それが早くなっただけでは?」
あぁ、やめろ、やめてくれ!
そんなこと言わないでくれ!
アタシの知ってるシズハは誰よりも優しい奴だ!
それが、こんなの……
「それに、どうせ全部やり直すんですから!」
シズハは吐き気がするほどの笑顔でそう告げる。
全部やり直す?
そんなことは———
「不可能だとでも?」
まるでアタシの心を見透かす様にシズハが答える。
「できますよ。ええ、私なら。その為の奇蹟なのですから」
あぁ、あぁ! 嘘だ! その選択だけは駄目だ!
考える間もなくアタシはシズハの元に走る。
その時だった、空がひび割れた。
「やあやあ久しぶりだね! クレア! どうだい? 僕からのプレゼントは気に入って貰えたかな?」
悪辣な声が天から響く。
聞き間違えるはずがないアイツの声。
「『憤怒』ッ!!!」
天を見上げるとそこには人の姿のサタンと真体……本来の姿に戻った6体の魔王達がいた。
「いやぁ、契約のデメリット消すのは大変だったよ。まぁ、おかげでもう一つの目的もほぼ達成できたし良いけどね!」
サタンはケラケラと嘲笑いながら語る。
「テメェがシズハに何かしたのか!」
「まぁ、ある意味そうだね。何、ちょっと彼女の望みを叶える手段を『知識』に仕込んだだけだよ? この結果に至ったのは他でもない彼女の意思によるものだ」
サタンは悪辣な笑みを浮かべ言葉を紡ぐ。
……シズハが選んだ結果だと?
何故、こんな選択をシズハが……
「はぁ、邪魔なんですよ魔王ども。私はクレアと話してるんです。消えてください、今すぐ」
「ふざけるなよ小娘! 貴様はこの私が殺す!」
「あー、ルシファーさんでしたっけ? そう言うのいいんで大人しくしといてください」
「ならば死ね!」
アタシが考えてる少しの間にルシファーがシズハに襲いかかる。
ここからじゃ間に合わない!
「『拒絶』」
「ぬう!」
シズハに近づいたルシファーが逆に吹っ飛ばされる。
それに、『拒絶』は『生命の樹』の奇蹟じゃない!
「シズハ、止めろ! それ以上は駄目だ!」
「安心してください、クレア。私が星を創りなおす神になって見せますから!」
狂気に満ちた笑みでシズハは語る。
「『生命の樹』起動、反転。無限の光は無限へ還り無限は無へと還る」
シズハが言葉を紡ぐ。
あぁ、駄目だ!
止めなくちゃ……
「『邪悪の樹』」
瞬間、世界は赤く染まった。




