10の光の先に
———『嫉妬』自滅から3週間後 丘の上の教会にて
「なぁ、シズハ、流石に無理しすぎじゃないか? 少し休めよ」
クレアは私にそう語りかける。
実際、リバイアサンが自滅してから私は狂ったように自らの奇蹟……全てのセフィラを極めるべく修行に明け暮れた。
結果として『慈悲』『峻厳』『勝利』『栄光』は完全にコントロールできるようになった……様に感じる。
と言うのも、一体どこまで行けば極めた事になるのかが不明だからだ。
しかし、4つのセフィラは感覚的だが、完全に私に溶け込んだように感じる。
対して残る6つは未だ外部にいるような感覚だ。
おそらく、この全てが溶け込んで初めて『知識』に辿り着けるんだと思う。
だが、クレアが言うように少々無理をし過ぎている。
『慈悲』で定期的に回復しながら修行を続けたがそろそろ限界だ。
「そうですね、少し休むことにします」
「その方がいいぜ、シズハ。無理のし過ぎは良くねぇ。それにお前はたった3週間でそこまで成長できたんだ! 残りだって問題なくいけるさ!」
クレアがバシバシと私の背を叩く。
嫌な気分じゃない、それにクレアの言う通り既に4つのセフィラは極められた。
後6つ……後6つで私は『知識』に、最強の力に辿り着ける。
それまでならどんな苦痛も耐えられる。
◇◆◇
———地獄 『憤怒』の間にて
「マモン、ベルゼブル、アスモデウス、リバイアサン、君達のお陰で計画は順調に進んでいるよ。後はベルフェゴールとルシファーの働き次第だ」
そう言いながら玉座に腰掛け一人語るのは『憤怒』の魔王サタンだ。
「彼女の成長スピードは想像以上だ。これなら計画もだいぶ早くに終わる」
瞳を閉じてサタンは思いを馳せる。
「後は彼女の最後の選択までに僕が仕事を終わらすだけだね。さて、閻魔くんが敷いた法を取り除くのは一苦労だ。もう一つやることがあるって言うのに」
そう言ってサタンは瞳を開き玉座から立った。
◇◆◇
———現世 丘の上の教会 2階寝室にて
夢を見た。
クレアが死ぬ夢を見た。
私は倒れたクレアにすぐに近づいて抱き抱えたけど何も答えてくれない。
温かい血とは真逆に身体はどんどん冷たくなっていく。
吐き気がするほどリアルな夢。
失いたくないものを失う夢。
けれど、これは夢だと何故か確信できた。
だからこそ不快でたまらない。
私はもう何も失わない。
大切な人を……クレアを失わない!
その為に私は『知識』に至り奇蹟の真の力を解放しなければならない!
残る6つ、『王冠』『知恵』『理解』『美』『基礎』『王国』!
この6つさえも私は完全にコントロールしなければならない……いいや、する!
私は私の正義を全うするための力が欲しい!
だからこそ……だからこそ答えろ! 我が奇蹟! 10の光よ!
強く強く願ったその瞬間、悪夢は光に包まれ私の体が光に溶け、交わった。




