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混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ  作者: ラット
シスターズIII七大罪の魔王編
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覚醒

 戦いの決着がつき、静葉は檻から解放された。

 静葉はマモンを無視してすぐさまクレアの元に向かう。


「クレア!!!」


 静葉はクレアに近づき、自らのシスター服を破り腹部の穴を塞ごうとする。

 しかし、傷はあまりにも大きく血が溢れ出す。


「シズ……ハ、無駄だ、とにかく……逃げ……ろ」


 血を吐き出しながらクレアは朧げに話す。


「喋らないで! 嫌だ! クレアを置いて逃げるなんて絶対嫌だ!」


 静葉は泣きながら止血を続ける。

 その光景を見ながらマモンは葉巻を吸っていた。


「……はぁ、俺は残念だよクレア。昔の……魔王(オレ)達を倒したお前はもういないんだな」


「黙れ! お前は私が殺す! 必ず殺してやる!」


 静葉は涙を流しながら怒りの形相でマモンを睨む。


「景品如きがオレを倒す? 笑わせんな、お前は弱くなったクレアより弱い。だから何も救えないし、この後オレに殺される。せいぜいクレアとの最後の会話をしてろ。一度オレを倒したクレアに対する敬意だ、それくらいは待ってやる」


 そう言って、マモンはつまらなそうに葉巻を吸う。


「……ッ!」


 静葉は何も言い返せない。

 マモンが言ったことは事実だ。

 静葉が弱いからクレアは死にかけている。

 静葉に力がないからだ。

 静葉が弱いからこの前の邪神決戦の時にクレアは傷ついた。

 静葉に力がないからだ。

 静葉が弱いから先祖の魂を弄ばれた。

 静葉に力がないからだ。

 力がなければ何も守れない。

 そして静葉()には力がない。

 だから何も救えない。

 なら……どうなってしまっても構わない。

 神がいると言うなら力をよこせ。

 誰にも負けない力を……

 静葉は求めた、限りない力を、全てを救う力を、()()()()()()()()()()()


「私は! もう何も失いたくない!!!」


 瞬間、周囲が無限の光に包まれる。


「なっ……」


 マモンがあまりの光に目を瞑る。


慈悲(ケセド)起動。傷を癒せ」


 光の中で静葉の声が響く。


勝利(ネツァク)起動。我が敵を滅ぼせ」


 その一言と共にマモンが極光に包まれる。

 マモンは何かを言おうとしているが全てがかき消される。


「シズハ?」


 光が収まると同時にクレアが静葉の方を見る。

 静葉の背後には3つの光輪が三角形状に浮かび、その周囲を様々な色の10の光の珠が浮遊していた。


「……ごめんなさい、ごめんなさい! お腹しか治せなかった!」


 静葉はクレアの方を向く。

 その両目からは涙を流していた。


「治せなかったって……いや、そもそもその()()は……」


 クレアが考え込んでいると極光に包まれていたマモンが解放される。

 その身体はボロボロになって焼き崩れていた。


「チクショウ……サタンの野郎、何が『簡単な仕事』だ……化け物じゃねぇか」


 だが、マモンは笑っていた。

 まるで新しいおもちゃを与えられた子供の様に。


「おい、景品! 見直したぜ! さぁ、第二ラウンドと……」


 マモンが言い切る前に肉でできた巨大な門が現れ、その中から無数の手が現れマモンを掴む。


「サタン! 邪魔するんじゃねぇ!」


『悪いね、今君がやられたら困るんだマモン』


 虚空から声が響く。

 その声が消えると共にマモンは肉の門に取り込まれ、消えた。


「……」


 静葉は何も言わずにその光景を見ていた。

 そして、マモンが消えたことで黄金の闘技場は消え、元の教会に戻る。

 同時に静葉は倒れた。


「危ねぇ!」


 倒れた静葉の下敷きになる形でクレアが静葉をキャッチする。


「怪我は……してねぇな。さて、コレからどうしたもんかな」


 クレアは残った右手で頭を掻く。

 この先のことに対する不安と怒りから。

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