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蒼葉アキルは惚気たい

 ———某日 夜 蒼葉邸 大広間


 蒼葉アキルは悩んでいた。

 深く深く、そして答えの出ない深淵を歩んでいた。

 その旅路の果てに気づく。

 この問題は私一人では解決できない、と。

 ならば———


「と、言うわけで私の悩みを聞いてもらうついでのパジャマパーティーを開催するわよ!」


 そうして殺し屋、シスター、()異星人、その他諸々(ディ)による秘密の夜会は開かれたのであった……




「で、悩みって何だよ?」


 ケイトがアキルに問う。

 アキルが他人に助けを求めるほどの悩みだ、余程の問題なんだろうとケイトは思考を巡らせていたが答えが出ない。

 邪神か? はたまたカルト教団か? それとも新たな敵か? 

 アキルと長い付き合いのケイトの問いに対して返されたのはあまりにも想定外の答えだった。


「……たいの……」


「ん?」


「クリスともっとイチャイチャしたいの!!!」


「「「はぁ?」」」


 その瞬間、その場にいたアキル以外のメンバーの心が一つになった。

 彼女達が出した結論、それは———


「スタブラやろーぜー!」


 そう言ってクレアはテレビとゲームの電源をつけて人気ゲーム、『大白熱スターダストブラザーズ』を起動し皆にコントローラーを配り始めた。


「ストップ! ねぇ! 待ってよ! アキルちゃん真剣に悩んでるんですけど! 酷くない?!」


 アキルは喚きながらクレアにしがみつく。


「離せよぉ! こちとら惚気話聞きにきたんじゃねぇんだよ! 第一ここの連中で恋愛経験ある奴のが少ねぇだろうが! 人選ミスだっつうの!」


 瞬間、クレアのその言葉に反論するものが現れる。


「失敬だなぁ、私はあるぞ? 恋愛経験。あとそこの自称吸血鬼もな」


 そう言ってどこからか取り出したワインを飲むのは異星人(エイリアン)、リリスだ。


「それに、どうやらここに集まった連中は多かれ少なかれ似たような経験持ちのようだがね?」


 その言葉を聞いたアキルはギラリと目を光らせた。


「へぇ、みんなあるんだ。じゃあ話せるわよね?」


 その言葉がその場にいる全員の背筋を凍らせる。

 アキルの表情はさっきまでのゆるいものから鋭い女帝の様なものへと変わっていた。


「まぁ、話さなくてもいいわ。とりあえず、私のサポートをしなさい? いいわね?」


 冷たい視線と言葉に貫かれる。

 結局、アキルの悩み相談はスタートすることとなったのだ。




「まぁ、クリスとイチャイチャしたいならすりゃあ良いんじゃねぇの?」


 ケイトがそう答える。

 確かに最善にしてもっともな答えだ、しかし……


「それができたら苦労しないわよ! 大体、その……イチャイチャするのがクリスは嫌だったら悲しいし……それに……」


「だぁ! めんどくせぇ! いっそ一発ヤッちまえよ! はい議題終わり!」


 クレアがそう言うとアキルは顔を真っ赤にしてはずかしそうに呟く。


「そう……言うのは、ちゃんと両親に挨拶とかしてからで……」


(((要らんとこで初心だなコイツ!)))


 皆の意見が再度一致した瞬間である。


「でしたら、普通にデートに誘うと言うのはどうでしょうか? アキルさんとクリスさんはお付き合いを始めてからもお互いお忙しい身ですが我々の方で仕事等を肩代わりすれば……」


 雪奈の説明中に横入りしてシェリーが呟く。


「えー、めんどくさーい!」


「せいやぁ!」


「ぐふぅ……」


 雪奈はシェリーの腹に高速の右ストレートを放ち沈黙させる。


「コホン、仕事を肩代わりすれば時間もできますでしょうしね!」


 雪奈はアキル以外の蒼葉邸のメンツに睨みを効かせながらそう答えた。


「でも、みんなに迷惑かけちゃうし……」


 アキルが言い切る前にリリスが語る。


「迷惑なんてかけてナンボだろうに、君は君なりに頑張ってきた、そして友人達は曲がりなりにも今の君の力になろうとしているんだ。断る方が失礼ではないかい?」


 その言葉を聞いてアキルは少し悩んだあと顔を上げる。


「じゃあ、私のわがまま聞いてもらってもいいかな?」


「「「勿論!」」」


 アキルの頼もしい友人達は迷いなく答える。

 その光景にアキルは笑顔を溢しながら夜は深まっていく。


「さて、私の悩み相談はこれでおしまい! パジャマパーティを楽しみましょー!」


 そう言って夜が明けるまで彼女達は友情を深め合ったのだった……




「あ! ちょっとハメ技ずるい! ゴリラで煽るな!」


「アキル弱すぎだろ」


「こりゃいいカモだわ」


「あはは……あ、ゲージ技当たっちゃった……」


「うわ〜ん! みんなして虐めるぅ!」


 ……友情は深まったのだ。


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