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混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ  作者: ラット
ブロウクン・ナイトメア編
52/86

真なる機神覚醒

 7週間後

 ———地下超巨大施設『ノア』第十層 高次元万能設計機『アイン・ソフ・オウル』地下ドックにて


「で、全員集めて何事よ? と言うか、あの()()の塊何?」


 アキルは皆の眼前にいるリリスとグレン、死にかけのシェリーに問う


「なぜ? 決まっているだろう! 対邪神決戦兵器『アナンタ』が完成した! そのお披露目式さ! モヤは言わば隠すための認識変換(にんしきへんかん)さ!」


 リリスは力説する。


「はぁ……さらっと認識変換とか言われたけど、なんか突っ込むのもめんどくさいからさっさと初めてちょうだいな」


 アキルは興味なさげに返す。


「言われなくとも見せてやるさ……グレン、ライトアップを!」


「応よ!」


 二人の声に反応して『ダアト』を介して機体が下から照らされる。


「サァ! 見るがいい! これが新たな『アナンタ』、『()()()()()()()()()()』だぁぁぁぁぁぁあ!」


 そう言ってリリスが指を鳴らすと一瞬にしてモヤが晴れる。

 そこから姿を現したのは初日に見たマネキンの様な機体でなかった。

 ———それはどう見ても正統派巨大ロボットだった。

 無骨ながら巨大な全体像は筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の男を連想させる雄々しさを放っていた。

 しかし両前腕部(りょうぜんわんぶ)両脛(りょうすね)に当たる部分は先が絞まった円筒状の如何にも機械チックな見た目だ。

 更に両肩に付けられたアーマーは伸ばした三角形を上から緩やかにカーブさせたもののフチに大量の棘がついた様なものになっていた。

 手足はさまざまなロボットを参考にしたのか、the()・ロボットと言う感じだ。

 しかし手は鋭くまるで肉食獣を連想させる。

 何より頭部はドクロの様な形状をしているがほとんどの穴は埋められた簡素なもので目立った部位は口と三角形状に少し長く伸びた後頭部位だ、異質なのは瞳がたった一つ、顔の中心にある真紅のモノアイだけだと言う事だ。

 そして全体は黒一色だがほんの一部だが各部に赤と金による色彩が加わりよりその威厳を強めていた。

 身体中に走る回路の様なラインは赤色に、円筒状の絞まった部分は金に、その他彫りの部分には金が塗られより引き締まったイメージを持たせる。

 ———コレこそが我々が辿り着いた究極の到達点、人類を「永劫夢幻(えいごうむげん)」に守護する様にと願われ生み出された黒鉄(くろがね)の巨神、宇宙の叡智(えいち)と魔術、魔法、そして人類の叡智の結晶、星守(ほしも)りの機神『アナンタ・シェーシャ』、人類を(まも)る究極のロボットである。


「か、かっけぇ!!!」


 いの一番にそう雄叫びを上げたのはクリスだった、それに続く様に『教会』の男性陣とケイトとクレアが目を煌めかせる。


「こりゃ最高だわ! 正直最初のやつ見た時は半ば絶望してたけど、撤回! 最高! グレン、アンタ最高よ!」


「「「コレはカッコいいに決まってる! と言うかめっちゃカッコいい!」」」


 男の浪漫(ロマン)に惹かれたものたちはそれぞれ叫ぶ。


「ふふ、それだけじゃないぞ? なんと操縦はダイレクトモーション操縦、しかも技は叫んで発動するタイプだ! 何より素体(そたい)()()()()()()()()を使ってる……つまり、『アナンタ』の正当進化体なのさ!」


 そのリリスの一言にクリスたち+ケイト&クレアは熱狂し叫ぶ。

 それを側から見てる女性陣はドン引きしていた。


「更に! 見たまえ! 搭乗者二人用のアーマースーツだ! 軽量化に加え防御性能も一流、生半可な一撃じゃ傷すら付かないだろう!」


 そう言ってリリスがスポットライトを当てた先には黒い板金鎧(プレートアーマー)じみたスーツと近未来的なヘルメットがあった。


「ちょっと動きにくそうじゃない?」


 アキルが呟く。


「安心したまえ! 装着した時点で君達の体に合わせたサイズに自動変形する機能付きだ! ヘルメットは搭乗者同士の通信にも使える優れものだぞ!」


 リリスの説明に歓声が上がる。


「それだけじゃねぇ! 今まで使っていた生命・(ソウル・)循環(サーキュレーション)システムの発展系、生命(ソウル)オーバードライブシステムにより搭乗者の負担を少なくしつつ性能アップ! 更に新しく積んだ感情(エモーショナル)オーバードライブシステムにより、勇気や熱意といった感情を増大しパワーに変えられる! 更に二種のシステムにはリミットオーバーシステムって上位版があるんだが……こいつは使わないに越した事はねぇから説明はスルーな」


 グレン発言に男性陣+ケイト&クレアは勝鬨(かちどき)にも似た叫びをあげ、熱狂していた。


「……なんて言うか、男の子って()()()()()好きよね……」


 アキルが呟く。


「何を言ってるんだ? アキル、今回の技名担当はお前だぞ?」


 リリスがさらっと答える。


「なん……だと……?」


 クリスが膝から崩れ落ちる。


「クリスには悪いが、君には戦闘に集中して欲しいからな。と言う事で、アキル。君にはコレから技名を考えてもらう」


 リリスが淡々と答える。


「は?」


 アキルの脳は理解を拒むが関係ない。


「ほれ、技の仕様書だ。君が付けた名前がそのまま音声認識システムに適応されるからな?」


 リリスがアキルの肩にポン、と手を置く。


「え? こんなに⁈」


 アキルは仰天する。

 何せびっしりと効果やらどんな技かが事細かに書かれた仕様書が10枚以上あるのだから。


「お嬢様ッ! あとは託しました! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」


 クリスはアキルの手を握り純粋な瞳でアキルを見つめた。

 この時点でアキルから逃げの選択肢が消えた。


「や、やってやろうじゃない!」


 アキルはこう告げるしか選択肢がなかった。幸いアキルの仕事は終わってる。

 後はいかにカッコいい名をつけるかだけだ。


「さて、『アナンタ・シェーシャ』の発表は終わりだ。次は君達だ、()()()


 その言葉を聞いた目に深いクマを作った光美達は皆の前に立った。


「えぇ、始めましょう私達の叡智(結界術)の境地の話を!」


 そう言って光美は語り始めた、一体結界製造の過程で何があったのか、なぜ自分含む結界班がこんなにボロボロになっているのか、なぜ今の今まで結界班がほとんど成果を外に出してこなかったのかその顛末(てんまつ)を……

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