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完成?生死をかけたクライアント説明会!

「な……なんだ、これは……!」


 ゲートを潜り抜けた先、ノア最新部のラボにて待ち受けていた物にリリスは唖然とする。

 リリスの視界に映った()()は黒鉄の魔神でも鋼鉄の狩人でも鋼鉄の巨神でもない。

 細く痩せこけた様な長身のマネキン人形然とした見窄らしい見た目の鉄人形がそこにあった。

 全身に継ぎ目こそあるが、それ以外で目立つ要素はほとんど何もないのっぺらぼうの様な頭部に唯一ある牙を備えた口の様なパーツくらいで、それ以外は最低限人型であるのに必要な要素しかない。



「こんな……」


 リリスの肩が震え、声に怒気がこもる。

 赤い瞳はより深く濃くなり、リリスの周囲の空間が微かに歪み始める。


「こんな適当な仕事をしてタダで済むと思っているのか? グレン?」


 リリスは引き攣った様な笑顔でその幼い容姿からは考えられない程の禍々しい殺気をグレンに向けて放つ。

 周囲の空気は重苦しく、そして突き刺す様に冷たくなり、体の内側からじっくりと焼かれる様な感覚がグレンとシェリーを襲う。



「いやぁ想像以上の反応だな、うん。とりあえず待ってくださいお願いします」


 常人なら向けられただけで気絶ないし恐怖から呼吸困難になりかねない程のリリスの殺気を向けられてもなおグレンはかろうじて意識を保っていた。

 しかし、グレンは言葉こそ平静を保っているが、恐怖からか身体からは大量の汗を流し、足に至っては生まれたての小鹿の様に激しく震えている。


「リリス、ステイステイ。このデザイン依頼したの私よ?」


 シェリーの言葉を聞いたリリスが振り返る。


「ほう? ならば先ずは君からか」


 リリスの殺意の対象がグレンからシェリーに変わる。


「どうやったって私は死なないわよ? それより話を聞きなさいな」


 少しして、リリスの殺気が少しだが和らいだ。


「……いいだろう。話を聞いてやる。が、もし適当な理由ならわかっているな?」


 リリスが指を鳴らすと何もなかった空間に高級そうな椅子が出現した。

 リリスはその椅子に足を組んで座った。


「よしよし、それじゃグレン! 説明よろしく!」


「え?」


 そう言ってシェリーは説明(責任)をグレンに全部投げた。


「あー……くそ! わぁったよ! やりゃいいんだろ‼︎」


 半ば自暴自棄気味にグレンが叫ぶ。


「早くしたまえ、それとも死にたいか?」


 リリスが邪悪な笑顔で急かす。


「クライアントが超怖いんすけど……兎に角! 説明始めますよ!」


 コホンッ、と咳払いをした後、グレンは今回出来上がった機体の説明を始めた。


「まぁ、一番問題な見た目から説明するか。まぁ、見た通りとしか言いようがないが……」


「ほう、そうか」


 リリスはそう言うと右手を上げ、軽く一回転させる。


「ちょっ」


 瞬間、シェリーの上半身が血飛沫と肉片をぶち撒けながら限界まで捻れた。


「あー……」


 飛び散った血飛沫がグレンの眼鏡を汚す。

 本来なら恐怖のあまり叫び出し発狂するところだが、この時のグレンは狂気的なまでに冷静だった。

 故に現状の最適解を弾き出し、実行した。


「説明を続けるが、あくまであの見た目は待機状態だからだ。活動時は見た目が変わる」


「ほう?」


 リリスは上げていた右手を下げた。


「dぁかrぁ」


 捻れたままシェリーが喋ろうとするがうまく発音できていない。


「あー、シェリーはとりあえず黙っててくれ。その状態で喋られると俺の正気度的な何かが削れる。で、だ。この機体はシェリーからの提案で生命エネルギーをメイン動力にしてる。炉心についてはアインソフオウルにあったプロトタイプ炉心を俺なりに最適化したのを積んである。最適化に伴って操縦可能適正はかなり広くなった。ここまでで質問は?」


 グレンはバックスクリーンに設計資料を映しながら淡々と説明する。


「ふむ、操縦可能適正のざっくりとした範囲は?」


 リリスが質問する。


「俺ぐらいの人間までなら行ける。まぁ、一般的な十代後半以降の奴なら誰でも乗れはするな。今は操縦者の生命エネルギーを登録しないと動かせないが、登録自体も三時間程度あればできる」


「なるほど」


 リリスは少し考えた後次の質問を投げる。


「操縦方法はどうしている?」


「生命エネルギー感知型のモーションセンサーで同期させてる。要はコックピット内でパイロットが動けば同じ動きをする奴だ。まだ実際に動かしてないからなんとも言えんが、ラグはそこまでないはずだ。それから……」


 グレンが説明を続けようとした時、立っていられないほどの激しい振動と耳を裂く様な強烈な音が地上の方からこだました。


「……ッ! なんだ⁈」


「おや、想定よりかなり早いお目覚めだな」


 そう言うとリリスは椅子から立ち上がりグレンに怪しく微笑みかける。


「約束、覚えているだろう? ぶっつけ本番だが実地テストといこうじゃあないか」

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