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02 呪われた迷宮

「起きろ、無能力者」

鉄格子が音を立てて開き、二人の王宮衛兵が現れた。彼らの顔には嘲りと軽蔑が浮かんでいる。昨日までは恭しく頭を下げていた同じ衛兵たちだ。

「お前が『呪われた迷宮』へ送られるまで、あと一時間だ」

アキトは言葉を返さず、ただ冷たい目で見つめ返した。もう泣くことはない。怒りと決意だけが彼の中に残っていた。

「さあ、立て」衛兵は粗暴にアキトの腕を掴んだ。

牢獄から出ると、王宮の廊下を通って裏口へと連れて行かれる。かつては王子として歩いた廊下。そこで弟として兄たちと笑い合った記憶が蘇る。

廊下の窓から見える庭には、白いバラが咲いていた。母親が大切にしていた花だ。

「ねえ、お前、本当に王族の血を引いているのか?」一人の衛兵が鼻で笑った。「無スキルの王子なんて聞いたことがない」

もう一人が続けた。「血が汚れているんだろうな。王妃様の不義の子かもしれないぞ」

アキトは拳を握りしめた。母への侮辱に怒りが込み上げる。だが、今はまだ時ではない。耐えろ、と自分に言い聞かせた。

裏庭に出ると、一台の馬車が待っていた。その周りには、十人ほどの武装した騎士たち。彼らの厳しい表情からは、これが単なる護送ではなく、危険人物を扱うような警戒感が伝わってきた。

「第三王子...いや、元王子の燐崎アキトを連行しました」

衛兵の報告に、先頭の騎士が無表情で頷く。その時、アキトは彼が誰かに気づいた。

「ロイド...」

ロイド・フォン・レイトは、アキトの剣術教師だった。厳しくも公正な男で、アキトを他の王子と同様に扱ってくれた数少ない人物の一人。

「黙れ」ロイドの声は冷たかった。「我々の間に交友関係はない。お前はただの罪人だ」

その言葉に、アキトの心に新たな傷が刻まれた。裏切りの痛みがまた一つ。

「馬車に乗れ」

アキトは従った。窓には鉄格子がはめられた囚人用の馬車。彼が乗り込むと、扉が閉まり、鍵がかけられた。

馬車が動き出す。アキトは小さな窓から、遠ざかる王宮を見つめた。十四年間過ごした場所。その尖塔の窓辺から、父と共に景色を眺めた記憶が蘇る。

「いつか戻ってくる...」彼は小さく呟いた。「そして、この復讐を果たす」


馬車の旅は一日続いた。朝、王都アルザードを出発し、次第に風景は変わっていった。豊かな農地から、荒れた土地へ。人々の住む村から、無人の荒野へ。

窓から見える風景が徐々に暗く、不気味になっていく。太陽は西に傾き始め、長い影を作り出していた。

アキトは自分の新たなスキルについて考えていた。「自動レベルアップ」。それは何を意味するのか?通常、この世界のスキルは生まれ持ったまま変わらない。レベルという概念すら存在しなかった。

「アルザード...」彼は初代王の幻影を思い出す。「なぜ俺なんだ?」

その時、馬車が急に止まった。外で騎士たちの声が聞こえる。

「ここが『呪われた迷宮』の入口だ」

アキトは窓から外を見た。それは巨大な渓谷のようだった。崖の上に彼らは立ち、はるか下には霧に覆われた大地が広がっている。夕日に照らされた霧は赤く染まり、まるで血の海のようだった。

「降りろ」

馬車の扉が開かれ、アキトは外に出た。冷たい風が彼の頬を撫で、不吉な予感が背筋を走る。

騎士たちが半円を作り、アキトを崖の端に向かって誘導した。ロイドが前に進み出る。

「燐崎アキト、お前は王国の法により、『呪われた迷宮』への追放を言い渡された」彼の声は公式で冷たかった。「迷宮の底から生きて帰れた者はいない。これが王国の裁きだ」

アキトは無言でロイドを見つめた。かつての師の目に、わずかな迷いが見えた気がした。それとも気のせいか。

「最後に言い残すことはあるか?」

アキトは深く息を吸い込んだ。「ある」

彼の声は、以前の柔らかな少年の声ではなかった。怒りと決意に満ちた、別人のような声だった。

「必ず生きて戻る。そして、この裏切りの報いを、すべての者に与える」

騎士たちの間に緊張が走った。ロイドの表情が一瞬歪んだ。

「不遜な...」若い騎士が剣を抜こうとしたが、ロイドが手で制した。

「もういい。儀式を始めよう」

二人の騎士がアキトの両腕を掴み、崖の端まで連れて行く。下を覗くと、底は見えない。深い霧の中に、何かが蠢いているような錯覚を覚えた。

「さらばだ、元王子」ロイドは最後に言った。「お前のような無能力者に、王族の血など流れていなかったのだ」

その言葉に、アキトの中の怒りが爆発した。彼は振り返り、ロイドの目をじっと見つめた。

「覚えておけ。この顔を。次に会う時、お前はこの顔に恐怖するだろう」

「黙れ!」騎士の一人が、アキトの背中を強く押した。

彼の体が前に傾き、バランスを失う。世界が傾き、アキトは崖から落ちていった。

風を切る音。体が回転する感覚。霧が近づいてくる。

アキトは叫ぶことさえしなかった。死ぬのなら、せめて尊厳を持って死のうと決めていた。

だが、落下の途中で奇妙なことが起きた。

『固有スキル「自動レベルアップ」が発動しました』 『落下耐性 Lv.1を獲得しました』

突然、アキトの体が軽くなった気がした。まるで風に乗るように、落下速度が緩やかになる。それでも地面は高速で近づいてきた。

衝撃と共に、アキトは地面に叩きつけられた。痛みが全身を走る。だが、不思議なことに、骨は折れていないようだった。

『落下耐性 Lv.1により、ダメージを75%軽減しました』 『体力が25%減少しました』 『スキル「治癒能力」Lv.1を獲得しました』

アキトは混乱しながらも、ゆっくりと体を起こした。傷はあるが、致命的ではない。むしろ、普通なら死んでいるはずの高さから落ちたにもかかわらず、彼は生きていた。

「これが...俺のスキル...?」

彼は自分の手を見つめた。体の傷が、目に見えて癒えていくのが分かる。

『治癒能力 Lv.1により、体力が徐々に回復しています』 『体力が30%まで回復しました』

アキトは周囲を見回した。彼がいるのは、巨大な洞窟のような場所だった。頭上高く、崖の端が見える。騎士たちはもう見えない。

洞窟の壁は奇妙な結晶で覆われ、幻想的な青い光を放っていた。足元には、石畳の古い道が続いている。

「呪われた迷宮...」

伝説によれば、この迷宮は太古の昔から存在し、王国の罪人が送られる場所だという。迷宮の底には、想像を絶する財宝と危険が待っているとも言われている。そして、一度入ったら、二度と出られないと。

アキトは立ち上がり、深呼吸をした。傷はほぼ治っていた。

「さて、どうする...」

その時、彼の視界の端に、何かが動いた。アキトは素早く振り向いた。

そこには、赤い目をした巨大なネズミのような生き物がいた。体長は優に1メートルを超え、鋭い牙をむき出しにしている。

「なんだ、こいつは...」

ネズミはアキトを見つけると、唸り声を上げ、飛びかかってきた。

アキトは反射的に身をかわしたが、ネズミの爪が彼の腕を引っ掻いた。鋭い痛みと共に、血が流れ出る。

『体力が25%減少しました』

「くそっ...」

アキトは後退した。武器も防具も持たない彼に、戦う術はなかった。

ネズミが再び攻撃の構えを取る。逃げるか、戦うか。選択肢は限られていた。

その時、アキトの目に、近くに落ちていた尖った岩が入った。彼は素早くそれを拾い上げた。

「来るなら来い...」

ネズミが再び飛びかかる。アキトは岩を握りしめ、タイミングを見計らって振り下ろした。

ネズミの頭に岩が命中する。獣が悲鳴を上げ、地面に倒れた。アキトは容赦なく、何度も岩を振り下ろした。

血しぶきが飛び、ネズミは動かなくなった。

『巨大ネズミを倒しました』 『経験値を獲得しました』 『スキル「格闘術」Lv.1を獲得しました』

アキトは荒い息をつきながら、その文字を見つめた。

「経験値...?」

通常、この世界では経験値という概念はない。スキルは覚醒式で決まり、それ以上強くなることはない。だがアキトのスキルは違った。

『所持スキル一覧』 『自動レベルアップ:常時発動型』 『落下耐性 Lv.1』 『治癒能力 Lv.1』 『格闘術 Lv.1』

彼は意味を理解し始めていた。アルザードの言葉を思い出す。「無限成長」。彼は戦い、経験を積むことで、新たなスキルを獲得し、既存のスキルを強化できるのだ。

「まるでゲームのような...」

アキトは倒れたネズミの死体を調べた。その皮は意外と丈夫そうだ。爪も鋭い。これらは武器や防具になるかもしれない。

『スキル「解体術」Lv.1を獲得しました』

彼は岩を使って、ネズミの皮を剥ぎ、爪を収集した。皮は肩にかけ、爪は尖った方を外に向けて握ると、即席の武器になった。

「これで少しはマシになったか...」

アキトは石畳の道を見つめた。それは迷宮の奥へと続いている。行くべき道は一つしかなかった。

「生きて帰るんだ...」彼は自分に言い聞かせた。「復讐のために...」

アキトは足を前に踏み出した。呪われた迷宮の探索が、真に始まったのだ。

迷宮の中を歩くこと数時間。アキトは既にいくつかの分かれ道を通り、迷宮の複雑さを実感していた。壁の結晶が放つ青い光だけが、彼の道を照らす唯一の光源だった。

時折、遠くで奇妙な鳴き声が聞こえる。何かが壁の中を動く音。迷宮は生きているかのようだった。

『体力が完全に回復しました』

アキトの傷は完全に治っていた。これは彼のスキル「治癒能力」のおかげだ。

彼は再び巨大ネズミに遭遇し、今度は即席の爪武器で戦った。前回より楽に勝利できた。

『経験値を獲得しました』 『格闘術が Lv.2に上昇しました』

スキルが成長する感覚は奇妙だった。体が覚えているかのように、動きがより洗練され、力強くなる。

さらに進むと、アキトは小さな地下河川に到達した。清らかな水が流れており、彼は喉の渇きを癒した。

「食料も必要だな...」

彼は水中に目を凝らした。小さな魚が泳いでいるのが見える。何とか捕まえられないか。

アキトは川のほとりに座り、水面を覗き込んだ。魚が近づくのを待つ。一匹が手の届く範囲に来た時、彼は素早く手を伸ばした。

『スキル「捕獲術」Lv.1を獲得しました』

数回の失敗の後、ついに一匹の魚を捕まえることに成功した。それは手のひらサイズで、青白い色をしていた。

「これで飢えをしのげる...」

アキトは小さな火を起こすために、乾いた苔と結晶の近くにある燃えそうな物質を集めた。

『スキル「生存術」Lv.1を獲得しました』

火を付けることに成功し、彼は魚を焼いた。味は単調だったが、空腹を満たすには十分だった。

「明日も続けよう...」

アキトは川のほとりで身を丸め、休むことにした。一日目にして、彼は既に生存のための基本的なスキルを獲得していた。明日はさらに深く迷宮に潜るつもりだ。

目を閉じる前、アキトは王宮での記憶を思い出していた。家族の裏切り、屈辱、そして怒り。それらは彼の心を冷たくし、同時に強くした。

「見ていろよ...」彼は星が見えない暗い洞窟の天井に向かって呟いた。「こんな場所で死ぬつもりはない。必ず戻って...復讐を果たす」

三日目。アキトの体は既に迷宮の生活に適応し始めていた。彼のスキルは着実に成長し、生存能力は向上していた。

『所持スキル一覧』

『自動レベルアップ:常時発動型』

『落下耐性 Lv.2』

『治癒能力 Lv.3』

『格闘術 Lv.4』

『解体術 Lv.2』

『捕獲術 Lv.2』

『生存術 Lv.3』

『追跡術 Lv.1』

『罠設置 Lv.1』

アキトはネズミの皮で自分用の簡易的な防具を作り、爪と骨で武器を改良していた。彼は迷宮の中で狩りをし、食料を確保し、少しずつ深部へと進んでいた。

しかし、迷宮は次第に危険になっていった。より大きな、より強力なモンスターが現れ始めた。アキトは何度か命の危険を感じたが、その度に新たなスキルを獲得し、強くなっていった。

この日、彼は迷宮の中で不思議な光景に出会った。巨大な円形の広場で、中央には古代の石碑が立っていた。

「何だこれは...?」

アキトは慎重に近づき、石碑を調べた。そこには古代文字が刻まれている。不思議なことに、彼にはそれが読めた。

『スキル「古代語読解」Lv.1を獲得しました』

「迷宮の試練を乗り越えし者に、我は力を与えん。汝の覚悟を示せ...」

石碑の前には、小さな祭壇があり、そこに手を置く窪みがあった。

アキトは躊躇した。罠かもしれない。だが、進むべき道はここしかないようだった。

「覚悟はできている...」

彼は祭壇に手を置いた。突然、青い光が彼を包み込み、激しい痛みが全身を走った。

「うああっ!」

光が消えると、祭壇の上に小さな青い結晶が現れた。アキトはそれを手に取った。

『「呪われた迷宮の核」を獲得しました』 『スキル「魔力感知」Lv.1を獲得しました』

結晶を握ると、アキトの体に暖かいエネルギーが流れ込むのを感じた。そして、周囲の世界の見え方が変わった。壁の結晶、地面、さらには空気中にまで、青い筋のようなものが見える。

「これが...魔力?」

アキトはこの世界に「魔法」という概念があることは知っていた。だが、それは特別なスキルを持つ者だけが使えるもの。普通のスキルとは違う、特殊な領域だった。

「俺にも...魔法が使えるのか?」

彼は手の中の結晶に集中した。すると、小さな青い火球が彼の指先に現れた。

『スキル「基礎魔法」Lv.1を獲得しました』

アキトは驚きと興奮を感じた。これは王国でも珍しいスキルだ。魔法使いは高く評価され、貴族社会でも特別な地位を持つ。

「面白い...」彼は笑みを浮かべた。「王家の恥さらしの無能力者が、魔法を使えるようになるとはな」

その時、広場の反対側から、重い足音が聞こえてきた。アキトは振り向いた。

そこには、巨大な人型の生き物が立っていた。高さは3メートルはあり、石のような肌を持ち、一つ目の巨人だった。

『「石の番人」が現れました』

アキトは緊張した。これまで彼が倒してきたモンスターとは、明らかに格が違う。

「ここが試練か...」

巨人が唸り声を上げ、巨大な棍棒を振り上げた。アキトは素早く身をかわした。棍棒が地面を打ち、大地が震える。

「魔法...使えるなら今だ!」

アキトは手に持つ結晶に集中し、全力で魔力を引き出した。指先から青い火球が放たれ、巨人の目に命中する。

巨人が咆哮を上げ、目を押さえた。アキトはその隙を見逃さず、即席の武器を持って近づき、巨人の足に攻撃を加えた。

しかし、武器は石のような肌に大きなダメージを与えられない。巨人は怒りに震え、周囲を払い、アキトを吹き飛ばした。

『体力が50%減少しました』

壁に叩きつけられ、アキトは苦悶の声を上げた。これまでで最も強い痛み。だが、彼は諦めなかった。

「まだだ...」

アキトは再び立ち上がり、今度は周囲の地形を観察した。広場の天井には、不安定に見える巨大な石筍がぶら下がっている。

彼は新たな計画を思いついた。

アキトは巨人の注意を引きながら、天井の下へ誘導した。そして、全力で魔法を放つ。

青い火球が石筍の根元に命中し、亀裂が走る。

「落ちろ!」

石筍が崩れ落ち、巨大な音と共に巨人の頭上に落下した。巨人は悲鳴を上げ、膝をつく。

アキトはその隙に、全力で巨人の目を攻撃した。何度も何度も、彼の武器が巨人の唯一の弱点を突く。

ついに巨人が倒れた。地面が揺れ、埃が舞い上がる。

『「石の番人」を倒しました』 『多量の経験値を獲得しました』 『レベルアップしました』 『全スキルが上昇しました』 『新スキル「戦略思考」Lv.1を獲得しました』

アキトは荒い息をつきながら、倒れた巨人を見つめた。初めての大きな勝利だった。

巨人の体が光に包まれ、砂のように崩れていく。その中心から、もう一つの青い結晶が現れた。

『「迷宮の鍵」を獲得しました』

アキトがその結晶を手に取ると、広場の壁に新たな道が現れた。それは以前よりも明るく、まるで迷宮の新たな階層へと続いているようだった。

「次のステージか...」

アキトは決意を新たにした。彼は進化していた。弱い無能力者から、強くなりつつある戦士へ。そして、この先にはもっと多くの試練と成長が待っているのだろう。

「アルザード...あなたの言った通りだ」彼は小さく呟いた。「俺は強くなれる。そして...復讐を果たす」

アキトは迷宮の新たな道へと足を踏み入れた。彼の旅は、まだ始まったばかりだった。

七日目。アキトは迷宮の第二層にいた。ここは第一層よりも広く、複雑で、危険に満ちていた。しかし、彼のスキルと能力は日に日に成長していた。

『所持スキル一覧』

『自動レベルアップ:常時発動型』

『落下耐性 Lv.3』

『治癒能力 Lv.5』

『格闘術 Lv.6』

『解体術 Lv.4』

『捕獲術 Lv.3』

『生存術 Lv.5』

『追跡術 Lv.3』

『罠設置 Lv.4』

『古代語読解 Lv.2』

『魔力感知 Lv.4』

『基礎魔法 Lv.5』

『戦略思考 Lv.3』

『装備作成 Lv.2』

『攻撃魔法 Lv.3』

『防御魔法 Lv.2』

第二層ではより多くの資源が手に入った。金属の鉱石、強化された皮、さらには魔法の素材まで。アキトはそれらを使って自分の装備を改良し、より強力になっていった。

この日、彼は迷宮の中で不思議な発見をした。小さな部屋の中に、人の形をした石像があった。

「これは...?」

アキトが近づくと、石像が光を放ち、声を発した。

「百年...百年ぶりの訪問者よ...」

アキトは驚いた。しかし、これまでの経験から、彼は警戒を解かなかった。

「お前は何者だ?」

「私は...かつてこの迷宮に送られた者...名前は...もう忘れた...」

石像の声は弱々しく、途切れがちだった。

「お前も...王国から送られてきたのか?」

アキトは警戒しながらも、興味を持った。「ああ、そうだ。王族の血を引きながら、無スキルと判断されたからな」

「王族...無スキル...」石像は思案するように沈黙した。「興味深い...」

「お前はどうしてここにいる?どうして石像に?」

「私は...魔法の研究者だった...呪われた迷宮の秘密を解明しようとして...力を使い果たした...」

アキトは石像に近づいた。「この迷宮について知っていることはあるか?」

「この迷宮は...単なる牢獄ではない...これは試練の場...選ばれし者だけが...底まで到達できる...」

「選ばれし者?」

「特別なスキルを持つ者...お前のような...」

アキトは驚いた。「お前は俺のスキルを知っているのか?」

「見える...お前の中に特別な光が...無限の可能性を秘めている...」

アキトは思案した。この石像が味方なのか敵なのか、まだ分からない。だが、情報は欲しかった。

「迷宮の底には何があるんだ?」

「力...真の力...そして...真実...」

「真実?何の真実だ?」

この先気になる!と思われたらブックマークしていただけると嬉しいです。




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