表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

1話 承前


 人類が栄えていた西暦、それを一瞬で壊滅させた地軸逆回転グレートリバースから約二千年の刻が流れていた。現在の年号は世界的に『再生歴』を用いており、今は「再生歴2025年」である。


 グレートリバースにより、多くの生命体はその9割以上を失ったが、それだけに生き残った生命は強靭だった。どん底の状態から這い上がった人類は、かつての栄華を取り戻し、更なる技術・文明を発展させていた。


 例えばその一つに、ヒト型機動兵器『キャリバー』が挙げられる。


 全高8~10m、重量10~12tの二足歩行で戦闘機動を行う兵器は、地軸逆回転グレートリバース前には終ぞ開発できなかった複雑な機構を持つ。そもそも人と人が争うだけであるなら、無用の長物ではあった。


 しかし、グレートリバースの後から出現するようになった凶悪な野生動物――魔獣と呼ばれるヒトの天敵への対抗手段として、兵士を守り、戦いに赴かせるためにこの兵器開発を必要とした。


 ヒト型機動兵器『キャリバー』が開発されるまでは、生身で魔獣と戦う事が余儀なくされ、目を覆いたくなるほどの犠牲を生じたと歴史書にはある。


 キャリバーを完成させたプロジェクトチームの名は、千年も前の事もあって残されていないが、まさしく彼らの所作は英雄と称えられるものだろう。キャリバーは長い時を経て何重もの改修・改造を重ねていているが、その基本骨子はずっと使い続けられるほどに完成度が高く、拡張性もあった。


 倒した魔獣から採取した血や骨格を、既存の材料と規定の配合率で混ぜ合わせる事で、飛躍的な性能向上を果たす。それを発見できていなければ、キャリバーの開発は不可能であったかもしれない。


 なんにしろ、キャリバーの登場により、魔獣という人類の天敵に対抗する手段を得た時から、ヒトは爆発的に数を増やし、かつて西暦と呼ばれた時代以上の栄光を取り戻していった。


 そうして人の数が増えて来ると必然的に人同士の争いが起きるのが常だ。グレートリバース前にもあった、愚かで非生産的な世界的大規模戦争が勃発する――ことは無かった。


 理由の一つとして、世界規模で火器類の作成と使用が規制されているということが挙げられる。


 これはグレートリバースが発生した原因はヒト同士の争いだという意見・観念が根強くあり、争うにしても大量殺戮を可能とする火器類は使用しないと言う条約を、今ある全ての国が批准しているためである。無論、条約を破る国や組織も存在するが、そのような国・組織は謎の組織『監査官』に、根絶やしにされるという末路を辿っている。


 さて、戦争が起きないもう一つの理由は、魔獣より更なる力を持った宇宙からの敵性生命体、『月光獣』の存在である。そいつらが確認されたのは再生歴1300年頃であった。なお、それ以前にも飛来していた可能性があるが、月光獣による初めての被害が確認されたのがその頃だった。


 地上に生息する魔獣は、それはもう醜悪な外見をしているが、月光獣はそれに輪をかけたような醜い外見を持っている。


 例えば、いつか撃墜した「特一型」は、亀に似た姿を持っているが、丸い亀の甲羅に八つの頭が生えており、しかも全ての頭の形が違う(蛇、馬、カバ、山羊、等)という、まさに合成獣キマイラと言っていい化け物だった。アレがそのまま地上に落ちていれば、どれだけの被害を被った事か……。


 狙撃して割砕いても、その破片から新たな怪物を誕生させるのだから始末に負えない。破片から新生した月光獣にやられた仲間もいたらしいので、その戦闘力は推して然るべきだ。



 さて、長々と語ってしまったが、この物語は月から飛来する月光獣を撃退する、とあるチームのことに関する報告書となる。それも唯一の複座型キャリバーを駆り、これまた唯一といえるだろう魔法を使える――通称『魔神機構デヴィルキャリバー』を運用する部隊の日々、そしてある事件とその顛末を描かせてもらおうと思う。


 彼らがどのように生きたか……せめて、それだけは纏めた上で、彼の墓標に捧げたい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ