からっぽ
わたしね!好きなことがいっぱいあるんだ!
本を読むのが好き!
絵を描くのが好き!
歌を歌うのが好き!
おしゃれするのが好き!
詩を書くのが好き!
ピアノを弾くのが好き!
お料理するのが好き!
あれが好き!これも好き!
あれがしたい!これもしたい!
やりたいことがいつもいっぱい!
でもね、わたしは時々切なくなるの。
だってわたし、一番にはなれない。
ピアノを弾いてもあの子には勝てない。
あの子は小さい頃からずっとピアノだけをやってきたから。
わたしが絵を描いても、わたしより上手い子いっぱいいるよ。
わたしのまわりには好きがいっぱいできらきらしてたの。
でもそれをやるのはわたしじゃなくてもいいって気づいて、きらきらが消えちゃった。
なにかを一筋でやってる人は凄みがあって深い。
でもわたしがやってるのは浅瀬でぱしゃぱしゃ水遊びしてるだけ。
人と比べなくても自分が満足できればそれでいい。
上手くならなくても楽しめるならそれでいい。
そういう意見もあるし、それでいいと思えるならそれでいいのだろうけど。
わたしは嫌だよ!
誰よりも上手くなりたい!
誰にも辿り着けないところに行きたい!
他の誰かじゃなくわたしがやることに意味を見つけたい!
こんなにたくさんあるのにたったひとつもない。
あぁ、わたしってからっぽ。