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第14話 冬の日に
秋は思ったよりも早く通り過ぎ、冬の気配がした。
「出けてくる、昼飯はいらない」と言うと母はいつものように何も言わず「いってらっしゃい、気をつけてね」とだけ言った。
今日は彼女(雪さん)の家でお茶とお昼をいただく予定だ。
僕は「また緊急の救急の呼び出しが来ないと良いけど」と呟くと彼女の家へと向かった。
門の外のチャイムを鳴らすと「加藤亮です」と言った。「お待ちしていました」と言う声が聞こえた。
庭は落ち葉がきれいに履かれ袋に詰められていた。
奥に小菊、手前にはマリーゴールドとビオラが植えられている。
玄関の扉を開けると、彼女がうれしそうに頬をピンクにしながら僕を迎えてくれた。
部屋に入ると、彼女はお母さんと一緒に良い香りのパンと紅茶を運んで来た。
「お待ちしていましたのよ、どうぞ召し上がって下さい」と彼女のお母さんが勧めてくれた。
彼女は牛肉のローストとサラダそして温かなコーンスープを僕の前に置いた。
すると奥から男の人の姿が見えた。
僕は彼女のお父さんだとすぐに気がついた。
あわてて立ち上がると椅子がガタンと鳴った。
緊張と驚きで体が固まったようだった。




