第13話 秋へ〜。
僕と彼女の秋は変わりがなかった。
彼女は図書館勤め、僕は相変わらず救急病棟で働く日々。
秋も深まった頃
色づいた葉が散り始めた。
風は枯れ葉を風が木々から散らしていく。
花がある時期は終わりを迎えた。
そんな中でも彼女は赤や黄色の葉を拾って楽しそうだった。
図書館へ行くとメモを出して「子供の頃、少女パレアナの本を読んだの。パレアナは『こうだけど、こうで良かったって言うの』亮さんは読んだ事ありますか?」
「僕は読んだ事ないな」
『児童文学ですからね』とメモにサラサラと書いてくれた。
そして、いつもの優しい笑顔で笑った。
僕は彼女の笑顔が好きだ。
いつも彼女に笑ってほしいと思う。
多分これは恋が愛に変わろうとしている事を感じていた。
少女パレアナの本を彼女に探してもらい借りて帰った。
共通の話題で彼女に喜んでほしかったからだ。
彼女は目を丸くしていたが、本当にうれしそうだった。
僕は春に彼女に出会い、彼女が口唇術に慣れている事がわかり、メモを書くことが必要がなくなった事を実感していた。
ただ雪が話したいことを僕に伝える時はメモに書く必要がある。
ごめん雪
手話を習って練習することが出来れば良いのだが今の生活では、なかなか難しいんだ。
そうだね、雪
いつも笑っていて。
やがて短い秋が過ぎ、冬が近づいていた。




