第11話 彼女の家へ
彼女が名前を教えてくれたので、木村雪さん(キムラユキ)と書き記す事にする。
いや、雪さんでいいか…。
『明日は何時に君の家に行けばいいかな?今日の夕方メールもらえますか』の僕の言葉のとおり夕方雪さんからメールが届いた。
『明日のお昼近く11:00でよろしいでしょうか? 母と一緒にそちらにお迎えに行きたいと思います』と。
ただ病院から緊急の呼び出しがない事を願ってはいたが、翌日の勤務のことを考えると夜ではなく昼で良かったと思った。
羅等
休日の朝はいつもランニングだ。
「あら、おはよう。今日は休日だっわね」と母が言う。
「ランニング行ってからシらャワーを浴びてから出かけるから昼飯はいらないから」
「そう、わかったわ」といつものように母はそれ以上突っ込んで聞く事はしない。
約束は11:00
家の前で待つ。
タクシーが停まった。
雪さんのお母さんが降りてきて「こんにちは」とタクシーに乗るように促された。
しばらくするとタクシーが停まった。
『ここは僕のいつものランニングコースのすぐ近くだ』と気がついた。
「さあ雪、ご案内してね』
雪さんについて3段の低い階段を上ると薔薇の花のアーチをくぐる。
庭に様々な花が咲いている事もあり、まるで中世の建物のようだった。
玄関を入りリビングのテーブルに座ると、冷たく優しい香りのお茶が出てきた。
雪さんは僕がお茶を飲んだのを見て優しく微笑んだ。
料理は手作りで心を込めて作られていた。
2度も娘を助けて下さり本当にありがとうございます。
「こちらこそ名前も名乗らずにすみません。僕は山野亮と言います」
少し会談をして料理も食べ終わった時に病院から救急の呼び出しの電話が入った。
「僕は病院勤務で救急室の看護師をしています。
今日は勤務が休みだったのですが、病院から連絡があって行かなければならなくなりました。本当に美味しいお食事をありがとうございました」
と言うと椅子から立ち上がった。
お母さんは少し長い僕の話しを同時に手話で雪さんに伝えてくれた。
雪さんのお母さんは「大変なお仕事をしていらっしゃるのですね。直ぐにタクシーを呼びますので」と親切に言って下さった。
「ではお言葉に甘えてタクシーをお願いしていいですか?」
玄関まで送ってくれる雪さんとお母さんに一礼をしてタクシーに乗り込むと、『自分で走って帰るかタクシーで帰るか即座に判断するのも職業病だな』と冷房のきいたタクシーの窓から外を見ながら苦笑した。




