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Week 0.1 〜運命の日〜
今日は僧侶としての初仕事の初日。
畳の上で正座をしたオレの目の前には、刀を振り上げたジジイが今にもそれを振り下ろそうとしていた。
え、初日なのに死亡ですか。
先週せっかく頑張って寺立ち上げたばっかりなのに!
我流だけど!
・・・
事の始まりは、二年前に遡る。
当時の俺は普通のサラリーマンだった。
別に特に生活に不満があったわけではない。
彼女はいなかったが、合コンくらいにはたまに行っていた。
仕事帰りには駅前の本屋に立ち寄るのが趣味だった。
そこでたまたま見たのは、小さな真っ黒い本。
金色に輝くそのタイトルはー
『The Bible Beyond The Bible』
聖書を超える聖書。
なんてひどい胡散臭さだ。
でもその本には何か惹かれるものがあった。
それは珍しく高級そうな革製の表紙によるものか。
それとも単に表紙が上手くデザインされていたからか。
理由はよくわからないが、とりあえずちょっとくらいは開けてみることにした。