1話〜起源〜
………ピピピピピ、ピピピピピ
毎朝6:30分に設定している目覚ましが朝を知らせる。
「ん、ふぁぁぁ」
東京都に住むこの俺、天野海斗は今日が高校の入学日だ。
起きてから採寸して以来着る制服に身を包み、いつものように朝ご飯を食べ、親に行ってきますを伝えて家を出る。
俺はスマホを片手にニュースを見始める。
現在は2052年、革新的な技術発達によりインターネットが大きな成長を遂げた。
とある物理科学者が発見した現実とはかけ離れた仮想世界「サイバースペース」と呼ばれる世界にアクセス出来るデバイス「ウェルトライバー」が爆発的な人気を誇った。
「サイバースペース」
ある日発見された仮想世界へのサーバー、発見当時は太陽系と酷似した形の星で象られていたが、年々増えるプレイヤー人口に応じて星の数が増え、今では数え切れないほどとなった。
「ウェルトライバー」
仮想世界にアクセスする為に作られたデバイス。バイクなどに使うようなヘルメットの形をしており、そのヘルメットから特殊な電波を脳に送り仮想世界へとアクセスしている。
と、テレビはこの話題で持ち切り。どの局に変えても内容はまるで変わらない。
そして予め“皆んな”で決めていた待ち合わせ場所に到着した。
数分待つと、
「海斗おっはよー!お?やっぱり海斗も仮想世界に興味あるの?」
そう後ろから元気に声をかけてきたのは、俺の幼馴染の一人の朝比奈さくらであった。
「ああ、おはよう。ニュースもひっきりなしに話題に出すくらいだし、興味はあるに決まってる。それと朝から煩い」
相手の返事に答えつつ愚痴をこぼす。
「海斗みたいに表情筋固くて何考えてるかわからない人よりはマシだと思うよ?うふふw」
「はいはい」
といつものようなやり取りを経て話していると、
「おっはよー!!!」
更に煩いのが増えたようだ。こいつも俺の幼馴染の1人の小日向楓真である。元気なのは構わないのだが、楓真の声量ははっきり言って近所迷惑レベルだ。俺とさくらも軽く挨拶を交わす。
最後の一人が、
「おはよう、ごめんね待たせちゃったかな?」
少し急ぎ足で駆け寄ってきたのが月宮雪乃
「全然だよ、というか俺達が早すぎた訳だしなw」
そう言葉を掛け、それに対し頷く俺とさくら。
俺達4人は幼稚園からの付き合いで多少なりクラスが離れたりはしたものの今では高校生になるほどの付き合いになった。
皆んな揃い学校に向かって歩き出して楓真が口を開き、
「最近有名になってきた仮想世界あるじゃん?あれの最新ゲームのCAOってやつ皆んなで遊ばね?」
急に話題を振ってきたのだ。
「あれか、別に俺は構わないぞ」
「私も賛成〜」
「私も」
「CAO」
クリエイト・アルカディア・オンライン
数ヶ月前から発売が告知されていた期待のVRMMOである。アルカディアとは古代神話の理想郷の名前から来ている。「このゲームを誰もが楽しめる理想郷にしたい」という製作者の意味が込められているそうだ。
CAOが期待されている理由は自由さにある。このゲームは素材さえあればどんなものも創れる。そう、どんなものもだ。ウェルトライバーが脳から情報を読み取る為、作るものに不可能は未だに存在しない。
「よし、あれの発売日は今日から丁度2週間後だからそっちの世界で集合しようぜ」
勿論、拒否する者は居ない。
俺達はただの幼馴染ではなく、ゲーム仲間としてもとても仲がいい。オンラインゲームにおいて、4人はとても都合がいい数字なのだ。
「その話は今は置いとくとして、このままだと学校遅れちまうぞ」
俺の一言に我が帰ったように3人が気づく
「やば、走るか!」
全員で急いで学校を目指し、校門が閉まる2分前になんとか間に合うことが出来た。
そして、約束した2週間は思っていたよりもすぐに訪れる事となった。
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※これを読んでいる読者の方へ
今1話を出したばかりで理解するのが難しいと思った方は感想欄に自由に質問をしてもらって構いません。(複数可)
僕から直に質問に答えます。