1話 転生
「これでどうだ！！魔王！」
「ふん！小癪な我がこの程度の攻撃で死ぬと思うな！勇者！」
最強 と２人が言われるのは理由があった。
魔王は魔法の始祖、全ての魔法が使え、そして新たな魔法をも生み出す。
勇者は1人一個しか持てないはずの固有能力スキルを1兆個以上持っている。代償で魔法は使えないが、それで2人は互角に戦っていた。
そしてこれは伝説の最後の場面だ。
「我は元人間だ。」
「はっ唐突な自分語りだな。」
「だだ魔神と同じ角を持って生まれた、それだけのせいで俺は嫌われ、人間世界から追い出された。」
「っだがそれが人を殺してもいい理由にはならない！」
「なにを勘違いしている？我は人を殺せと部下に命令したこともないし、自分で殺したこともない！！」
嘘だ！そう思いたかった表面心理だけは読める勇者にはそれが嘘には思うことができなかった。
「ならなぜお前は、」
「知るかそんなこと！！こっちが聞きたい！なぜ我が人を殺したと噂されるのか、我とお前は同じく力を持って生まれてきたのに、角がある たったそれだけで 魔王 と畏怖や嫌悪感を覚えられる対象となり、お前は 勇者 と称えられる対象になった。俺はお前がどうしよもなく羨ましくて、妬ましい。 だから我はもう疲れた。これで終わりにしよう。さぁ我を殺してみろ勇者。それで生き残ったならば、それも運命・・・そうだその時は全てを滅ぼそう！さぁこい勇者！！」
「くっ」 俺はどうすれば…
「早くこい！人間を、宇宙を滅ぼすぞ！！」
「ぐっ…おぉぉー」
『剣技:リミテッドスラッシュx』
「ふんやっと解放される。我は転生する。次は…次こそはみんなと仲良く暮らしたいな…来世でまた会えたなら友達になれたら…、くっ、じゃ・・・・・な。」
そして魔王はドロリと溶けた。
「王様の言ってたことは嘘だったのか？いや違う誰が魔王を…もう誰も信用できない…そうだ死のう。」
人間とは大差ない魔物や魔人を殺すことに不信感を覚えていたが、それを人助けすることで忘れようとしていた勇者にとって、罪なき者を殺してしまったことは、精神を崩壊させていた。
勇者は周りの人間たちと同じくらい、いやそれよりも精神が弱かった。
思いやりの心を持ちすぎたがゆえに。
ザクッザクッザクッザクッザクッザクッ 「なんで、なんで死なないんだぁ死ね死ね死ね死ね死ね死ね…」ザクッザク
(新しい能力を手に入れました。)
(新しい能力 転生 を使いますか？)
「そんなんいらないんだよ！俺はなにも罪のないあいつを殺した！だから俺を殺せ殺せよ！！」
「落ち着いてくださいマスター！！」
「神剣のお前なら俺を殺せるか？」
「私の能力では不可能です。ですが人間を信じれなくなっただけなら転生すればいいじゃないですか。魔王は死んでいませんし、転生したのもあなたの責任ではありません。」
「俺はあいつを殺したみたいなものだ。優しい人を守るための勇者の力を罪のないあいつに使ってしまったんだ。俺は勇者失格だ…」
「かといって魔王が主人あなたに死んでほしいわけじゃないのは表面心理の読めるあなたならわかるでしょう！！」
「うっだが…」
「あなたは、本当は何がしたいんですか？本当にしなければならないことは死ぬことそれではないでしょう？」
「俺はあいつに謝りたい。そして話を聞いてやりたい。それが俺のしたいことだ。」
「じゃあ転生した方がいいのではないですか？」
ルギクトが俺に優しく語りかけた。
「あぁそうだな。心配かけて悪かった。 何年後になるかはわかんないけど、未来でまた会おう、ルギクト。」
「えぇその時を心からお待ちしておりますマスター。」
そして俺はあいつと同じ時代に転生した。したのだが…
まさかこうなるとはまだ思ってすらいなかった…
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