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『うむ…おヌシ等の想像通り神じゃな、そこな者と同じ様にな。ふむ…あの子のものをベースにしておるのか…そうじゃな…お主等が使おうておるシステム的に言えば、儂はその最上級の神に当たるのかの。
それで何用かといえば、なに儂の直轄地たる太陽系内で初めて神に至ったものが現れた訳なのじゃがな、儂の予測ではそれが現れるのは今から2000年ほど後だった筈なのじゃ…そうなれば、それがどのような者か気になるであろう』
整ってはいるが性別不明の容姿と、中高生ぐらいの見た目をした神が、芋ジャージで胡座をかき見た目にそぐわぬ言葉使いで、左門の問いに答える
「それで、確かめに来たと」
それを聞いた左門が(いや…喋り方と容姿が合ってねぇし、なんでジャージなのかも答えてねぇじゃん…)等と頭の中で悪態をついていた為、シキが代わりに質問を返す
『そういう事じゃな』
シキの問いに、ジャージを着た神が抑揚に頷いて肯定して見せると
『……それならもう目的は達せられたんッスから、さっさと帰ってほしいッス……てか、なんで此処がバレてんスか……せっかく結構な時間と膨大なポイントを掛けたのに…台無しッスよ…』
『そこは、ホレッ、儂、最上級じゃし』
『それは解ってるッスけど…こう…ムキーッてなるんッスよ…』
膨大なコストを掛けたシステムに、実は結構な自信を持っていたシモン。とはいえそんな自信を持っていたシステムをあっさり乗っ取られた事に理解をしつつも、『いくら最上級の神でも、もうチョットこう…この儂が手古摺るとはな…とか……馬鹿な!俺の造ったシステムがハッキングされた…だと!?……みたいな展開があってもいいじゃないッスか…』と、システムを破られる過程さえ無かった事に忸怩たる思いがあるのか、いじけてしまうシモンだった
「んで、その最上級の神様がわざわざ何用で?まさか本当にただ見に来た訳じゃねぇんだろ?」
今でも自分以外(シモンとシキは自分枠でクロとシロはペット枠だったりする)の入室を許してない部屋に、神とはいえ他人が存在する状況に段々と苛ついてきた左門が(さっさと帰れよ…)と思いながらも、この神の本当の目的を探る
『ん?いや、だから何回も言う様に元々はそれが目的じゃよ。ただのう…其処におったのが、成り立ての最下級の神の癖にじゃ、そこらの無為に何千何万年と神として過ごして来た神等より余っ程力の強い者ときとるのに加え、人でありながらそんな者と同等の力を持つ者が更に二人も一緒に居るとなるとのぅ…』
「……何か問題が?」
チラリと左門とシキを見てそう言う神に、"クイッ" 眼鏡を押し上げ視線を鋭くしたシキが、体内で神力を高めながら神に問う
『お…おぅ…思ったより物凄い魂力じゃの……まぁ…そう警戒するでない。おヌシ等も知ってるであろう、神がその位を上げるにつけどう成って行くかを……智能…他の者は大層に叡智等と呼んどるが…自体は本来神に至る条件には含まれぬのじゃ。ただ神の定義的に、どうしても魂力を使う様になる都合上、神に至った者は最低限それを扱えるよう智能自体をある程度引き上げられる事になるのじゃ。しかし、中級以下の…中には上級の者もおるが…神の中で魂力…「すいません、魂力とはどのようなもので?私のこの神力の様なものなのでしょうか?」なに?……あぁ…ヌシ等はソレを神力というのか…まぁその神力とらやの事じゃな…その魂力がどのようなものかキチンと理解出来とるものはおらぬ。それは、無理矢理にも引き上げられた智能で何となく魂力を使えてしまう事に加え、その引き上げられた智能の殆どを魂力の制御へ取られてしまうからなのじゃ、まぁそれでも多少は賢くもなるじゃろぅが……………』
神が言うには、それでも最下級の内は自身が神に至る要因になった事柄を更に極めんが為、知識を身に付けようとする神も少なからずいるらしいが、
如何せん魂力が万能過ぎる為、大体の神が魂力の利用に依って信仰などを集め外的要因に因って下級に至るらしい。
そして、そうなると位が上がった事で押し上げられた智能の影響で我欲が薄れると、さらなる高みへと至らんとするため、自身が下級に至る中で行った事をより効率的に行う為に、その上がった智能を使う様になる。
こうなるともう、後は上位の神に強制でもされない限り、自ら知識を得ようとする神は皆無なのだとか
『それはもう、上級の奴らなぞ自我等とうの昔に無くしておるからの、只のシステムと変わらんのじゃ、儂の位に上がろうとするなら最低条件として自我が残っておるか、再取得が必要じゃというのにのぉ…誰も其処には至らんのじゃ。まったく嘆かわしい…おヌシらもそう思うじゃろぉ』
『そう思うならアンタが教えてやれば良いじゃないッスか?
「「確かに」」
何にせよ、自分らには関係の無い話ッスよ。
なにせ自分、所詮、信者一人の最下級の部屋の神なもんで。
してしかもッスよ神の癖に、存在をその一人の信者に依存してる様な雑魚な神なんで、上級の神の話をされても知った事柄じゃ無いッスね。』
『うむ…儂もそう思うてな、昔、とある上級の神に説明した事があるのじゃ……どうなったと思う?』
「………まさか、堕天したのですか?」
『堕天か…神が、神で無くなる事であって、決して堕落と言う訳では無いんじゃが……まぁえぇじゃろ。
そうじゃ、"より良い神へと"と想い捨てた筈の自我が実は必要だったという事実に、其れを捨てた自分を責めた結果、あの子は神では無くなった。己を、星を喰らい尽くす龍を産み出す為だけの存在へ変えての……』
「ん?それって…」
『多分、自分を見てるってことは…核の素材に使った奴の事っぽいッスね…』
「でしょうね……何か都合が悪いのでしょうか」
『なに、その龍の気配を察知したあの子が、太陽系に向けて送る龍を大量に生み出そうとしたので結界に閉じ込める等の手間は掛かったがの、何も問題無いぞ……じゃが、儂が気づかなんだら今頃どう成っておったかのぅ……』
「そんなの、幾ら大量ったって、あの位の龍なら…」
「えぇ、外周の惑星の幾つかはやられるかもしれませんが…」
『待つッス!今…召喚リストが更新されたッスけど…これは…』
「なっ!?100億ポイントってなんやねん!」
『あの子も無茶をするのぉ、その身を糧にするとは……ちなみに儂の見立てでは、アレは単純な戦力で言えば下手な下級神よりも有るように見えたがの』
「それが、大量…ですか…それは不味いですね。」
『でも、結界張ったんッスよね?最上級の神の結界ッスよ、なら何も問題無いじゃないッスか』
「それだったら、わざわざ勿体ぶって迄言わねぇだろ…」
「そうですよ……それで、私達に何をしろと?」
『うむ…話を戻すがの、まぁ…あの子の事は残念ではあったが、その事で良い事もあった。龍の脅威に対抗するために知識を得る神や、人が知識を得る事を許容する神が現れた事じゃ、そして幾つかの神が力を失い、いくつもの星が龍に喰われた頃、知識を得た者の眷属が宇宙へ出、龍を倒すに至った……其処まではいいのじゃ、しかし待てど暮らせど、本来の目的である上級の神が自我を持つ事には至らんかった…刺激が足りんのじゃ。しかし、儂が介入すればあの子の時の様になるのは目に見えておる。ならば、他の者に任せるしか無いのじゃが…相手は龍が相手ですら自我を得るに至ら無かった者じゃ、神以外でそれ以上の者など…と、想うておった処にヌシらが現れた訳じゃ』
『なるほどッス……!ちょっと待つッスよ…いま結界に閉じ込めてる龍は今迄でのより強力なんスよね?だったら…』
『あ〜、其れは無理じゃ。アレは、おヌシらが太陽系…つまり儂直轄の領域内におるから…と、いうのが主な理由らしいからの』
『クッ…何と言う理不尽なんスか、だったら…』
『今更拠点を変えても無駄じゃぞ。既にあの子にはそういう存在として認識されとるじゃろうからな…それに、儂の結界も数百年…よう保っても千年は保たんじゃろぅのぉ…破られればどうなるか…』
「まぁ…やられはしないでしょうが、延々と拠点を転々とするのも面倒うですからね。」
「ハァ…嫌がらせをしろってんならするけど、俺達がすることも龍とそう変わらないと思うけどな」
『フフフ……そんなヌシ等に朗報じゃ……ぬ…何処じゃ……おっ…此れじゃな……よいしょっと……この、神滅剣をやろう』
そう言ってジャージのポケットから、3メートルは有りそうな長刀を取り出す神だった




