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部屋の神  作者: CLLK
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「おぉんなぁ、がァァァ!」


詩乃に挑発された奉先クンが咆哮と共に突撃を始めランチャーを撃つ、ソレに合わせセキトーも防御用のビット以外を近接モードで先行させる


「ハンッ、視えてんだっつうの!」


四方八方から8基のビットがビームブレードで襲い掛かるのを、乱暴な言葉とは裏腹に最小限の動きで流れる様に切り落としていく詩乃に、セキトーは一瞬で半数に減らされたビットを一旦離脱させようとする


「甘いんじゃ!」


詩乃の言葉と共に、ランチャーからのビームを防ぐ黒玉に発生した複数の突き出た突起から、今まさに吸収したと思われるビームが撃ち出されビットを撃ち落とした


「うおぉぉ…喰らえぃ!」


その間に詩乃に肉薄した奉先クンは、鎧を通して伝わってくるビットを失ったセキトーの無念を晴らす様に、フルパワーで戟を振り降ろす


セキトーを纏い4メートル近く迄になった奉先クンの振り降ろす戟を、詩乃は口許に笑みを浮かべて脇構えに迎え撃つ


「一閃…」


ス…っと、間合いを詰めた詩乃の切り上げによって、音もなく奉先クンの戟が柄の途中から切断され上段部が詩乃の後方の地面を刔る


「からのぉ…チッ、あの眼鏡っ!」


"バッ、ヂヂヂ"と、振り抜いた刀を返し、振り降ろしで下った奉先クンの首を狙った、詩乃の斬撃の出掛かりをセキトーが残していた大型のビットが防御用のフィールドを纏って防ぐ


まさか防がれるとは思ってもみなかった詩乃は、その原因であろうシキに悪態をつくが、それも一瞬で


「ならっ!」


なら、反応出来ない程の速さで斬ってやる、とばかりに斬撃のスピードをあげ連続で刀を振り始める


「ヌオオォォ…」


"ガシュ""ザシュ"と、2機のビットの防御が間に合わない斬撃が奉先クンを防御の上から装甲ごと斬りつけていく


「シッ!とどめ!」


正面を守る両手を装甲ごとかち上げた詩乃は、大技を繰り出す為に動きを止め黒いオーラを吹き出すと、ソレを刀に纒わせようとする


「グッ!? 馬鹿めっ!セキトーコレダァァァ!」


防御を崩された奉先クンだったが、絶えず反撃の機会を伺っていた為、詩乃が動きを止めた隙を付き素早く胸部の装甲を開くと、防御の間溜め込んだエネルギーを眼の前の詩乃に向かって撃ち出した


詩乃を巻き込んだエネルギーは、先に奉先クンが倒したドラゴン等の死体を消滅させダンジョンの壁に大きな穴を穿って消える


「うおぉぉぉ…ガッ……!…だ…と…」


詩乃が眼の前から跡形も無く消え去った事に、雄叫びを上げた奉先クンの胸部から刀の切先が生える


「幻影だ…っつうの」


オーラを囮に影に潜った詩乃は、攻撃直後の奉先クンの影から背後へと現われると、コアと義体の接続部の一部を狙い刃を突き入れたのだった


「チッ、結構流暢に喋ると思っとたら、だいぶ融合が進んどんな」


魂魄が義体へと融合するまで、魂魄が義体を動かす為のラインへ刀を刺したにも係わらず、「お…おのれぇ…」とプルプルと刀身を握ろうとする奉先クンを見て予想より早い融合具合いに舌打ちする


「面倒いけど、コアと義体で除霊40体分じゃからな……回収させてもらうなっ!」


「(ッ…………!)」


コアと義体を手に入れる為に払った労力を思い出し、破壊から回収へ考えを変更していた詩乃は、義体と機体全体へ融合しつつある呂布と赤兎馬の魂魄を死霊術の茨で拘束する


「よーし、んじゃ次は…この正宗に…」


二体の拘束を完了した詩乃が、この為に魔力にプラスして霊力も付与しておいた刀で、両魂魄から霊力を抜き取ろうとした時だった


「「ア"ア"ァ!」」

「お前ぇぇぇ!糞っ…大丈夫か!」


詩乃の耳にゼウスの叫ぶ声をが聞こえてくる


「…ったく、何し…」


叫ぶ声は奉先クンの正面からしてくる、その奉先クンを背後から刺し貫いている為そちらを見ることが出来無い詩乃は、刀を維持したままポケットから目玉に翼が生えた様な使い魔を取り出すと、奉先クンの向こうへ飛ばした


「クッ…これで…しっかりしろ!お前ら」


「オオッ、ポーションって奴?使っとんの初めて見た気がす、ん〜?獣人ロリとアマゾネスなねーちゃんのお腹が抉られたんかな?」


目玉と視界を繋いだ詩乃の前に、目玉からの映像が映し出される

どうやらゼウスの仲間二人は、何者かに腹を抉られたらしく映像は二人の腹にポーションらしき物をかけているゼウスが映っていた


「…それはっ!返せっ、この!」


何かを取られたのだろう事に気づいたゼウスが、詩乃の見る画面の下部の方へ斬撃を飛ばした様子が映る


「もうちょい引き…いや…回り込んで反対から」


映像から斬撃がコチラの方へ放たれた事は判るが、衝撃というか詩乃に何も感じられないと言う事は、何かがあの攻撃を防いだと言う事なのだろうが、いかんせん使い魔の位置が悪く肝心な所が確認出来なかったので、詩乃は使い魔に指示してゼウス側からコチラを確認することにした


"バチィィ"


「コレを弾くのかよ!お…おい!まさかっ、くっ全開だぁ!」


"ギィィン"


「おぉぉ…どけよ!クヒッ…アイツ等のドライブ…取り込ませるかよぉぉぉ」


「あっ見えた……マニピュレーター…あんなもんまで、ん?なにか掴んで…はあ?ドライブ?取り込むって…」


使い魔へ移動の指示を出した直後から始まったゼウスが行っているらしき攻撃を、詩乃が奉先クン越しに感じている間に、指定の位置へ移動した使い魔からの映像に最初に映ったのは、漏れ出る程の魔力を身に纏ったゼウスの攻撃をフィールドを発生させて防ぐセキトーのビットだったが、詩乃はその向こうに見える2本のマニピュレーターそれぞれに球体を掴んでいるもう1基のビットの方に注目する


「グゥゥゥ…これしきの事…」


茨の拘束に抗う呂布の霊魂を尻目に、ソレが奉先クンへと近寄ると両マニピュレーターに掴んだ球体を、開放したままの胸部に即席でセキトーが作った窪みに嵌め込んだ


「クゥ…おぉぉぉ!やめろォ!」


「はっ?!コイツだった!」


一連の流れを「ドライブってこのゼウスって奴が偶に使ってたヤツじゃろ?」とか、「アレって、発射口じゃねぇの?」等と安気に見ていた詩乃は、更に出力の増したゼウス攻撃が起こす余波と奉先クンから微かに聴こえる"キィィィン…"という音で、ソレが眼の前で起こっている事だと思い出し、慌て柄を握り直し用意していた術式を発動させる


「ギイィィ!小娘ガァぁ!」


「はっ!なんかしようとしてたみたいじゃけど、無駄っ、なんだよ!」


そう言うのに合わせて、更に術を強める詩乃だったが


「なっ…修復してやがっ、馬鹿な!押されっ…」


「ぐあァ」と、吹き飛ばされるゼウスの悲鳴と共に柄から詩乃に伝わる感触が変化すると状況が変わる

順調に呂布と赤兎馬の魂魄の弱体化を進めていた術式に、ソレを阻害するほどのエネルギーが突如として加わると、義体と機体自身に変化が現れる


「なんよっ?!いったい…って、おいおい…嘘じゃろ……融合?してんの……くっ…」


セキトーが取り込んだ2基の魂魄ドライブから、義体と機体の両方へダンジョン内のリソースが流れ込む、流石、シキ謹製とでも言うべきか、その量はゼウスやシグルドが取り込める量を軽く凌駕し潜在的にフレイアが取り込める量へ迫る


高級とはいえ只の義体である奉先クン側の呂布より、シキ製のワンオフ機であるセキトー側の赤兎馬の意志により、膨大なエネルギーを得た2体の機体と霊魂の融合が為されて行く


「あぁ!もうっ!義体からコアを逃しやがって!」


セキトー側からの浸食という形で行われる融合に因って、機体の一部として取り込まれた奉先クンから、セキトー側へコアが移した事で正宗からの術式を逃れると共にコア(霊魂)同士の融合も加速する事になる


[……残念だったナ、時間切れダ…もう貴様で「うっせぇな…」は…ナニ?]


「……回収出来ればワンチャンあると思っとたのに……」


魂魄の融合のせいか、今迄とは雰囲気の変わった物言いを発する機体を黙らせ、口惜しさから身体を震わせる詩乃が叫ぶ


「マジの本気で殺ってやんよぉ!死ね!」


融合が終わりに近づき、義体部分が無くなり質感が生物ぽく変化したセキトーへ叫んだ詩乃は、突き刺さった儘の正宗の柄を両手で握ると、自身諸共、漆黒の炎でセキトーを包んだのだった……



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