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"バサァ"とフレイアが翼を羽ばたかせると、其処に現れた"ズラッッッ"と列んだ数え切れない羽根が夕に向かい一斉に撃ち出される、まるで誘導弾の様に様々な軌跡を描き夕を襲う羽根に対し
「無駄ですよ、ライトニング…なんとか」
杖を掲げキーワードを発する事で、自身の周囲に殺到する羽根を、速すぎて光る線の様にしか見えない無数の攻撃で全てを撃ち落とす夕
「視えてますよ……エクスカリバー……コレを受け切れますか?」
何時ものドレスアーマーと違い、丈の長いシンプルなドレス姿に腕や足を保護する金色の部位装甲という格好の夕は、杖の先に5メートル以上ある光る刀身を発生させると羽根に紛れて低空より迫るフレイアへ向けて振り降ろす
「フッ、そんな見え見えの攻撃っ!」
軌道上へと振り降ろされた光の刃を、フレイアは魔法をスラスターの様に使い身体を少しのスライドさせる事で躱す
「まだ終わりではありません…よ!」
「なにっ!クッ」
夕の放った光の刃は、彼女の言う様に振り降ろされた勢いの儘ダンジョンの床を切り裂くと、横にそれたフレイア向けて床ごと切り上げてくる
床ごと切り裂いた攻撃に少なくない衝撃をフレイアは受けるが、攻撃の基点である杖の動きから攻撃の方向とタイミングを測ると
「この程度っ!グッ、ハァァァ!」
床から現れた光の刃に合わせバレルロールして刃を躱すと、更にスピードを上げ勢いのまま短槍を突き入れる
「えっ?!…あっ…キャァァ…」
受けるか、躱すとしても、もっと大きく躱すか一旦距離を取るだろうと考えていた夕は、予想外の躱し方をされ更にスピードを上げられた事でフレイアへの対応が遅れる。更に使い慣れない装備だった事もあり対応するギミックへの切り替えにもとまどった為、フレイアの槍に肩を貫かれてしまうと、槍を引き戻す勢いと共に繰り出された後回し蹴りを胸部に受けて吹き飛ばされる
「まだです!」
フレイアは、先程使い切らず空中に残しておいた羽根を、肩を押え倒れている夕に向けて撃ち出すと、追撃の為に自身も槍に魔力を込め投擲する
「おっと、やらせないよッ…行けっ!」
"ギャンッ"
フレイアが夕に向けて投擲した槍を、軌道上に割り込んだ紅子が棍を叩き付けて弾くと、いつ出したのか…夕を囲う様に展開させた5基のビットが羽根を全て撃ち落とす
「またしても…ですか……」
戦闘が始まってから何度か続くこのパターンに、忌々しそうな目を紅子へ向けるフレイアは手をかざすし弾かれた槍を手に収めると穂先を紅子へ向ける
「夕ちゃん…そろそろ諦めて装備替えたら?」
「くっ…うぅ……いやっ…です!」
"プシュ"とペン型の修復剤を肩に打ち込み、傷が癒える感覚に耐えながら起き上がる夕に、棍を構えフレイアと対峙する紅子から何度目かになる愚痴が飛ぶ
「はぁ…見た目がちょっと被るぐらい別に気にしなくて良いでしょ?」
「ふぅ…もうそんな事はいいのです……此の儘では私の矜持が許さないのです」
装備の影響か、何時もより若干尊大な物言いの夕は起き上がると再度杖を構えるが、自分を守る様に立つ紅子の後ろ姿に若干の不穏さを感じたのか
「……ま、まぁ…業腹ではありますが…紅子さんにこれ以上のご迷惑をかける訳にはいきませんし…」
自身の能力を1段階引き上げる事にし、両手で斜めに構えていた杖を右手に持ち体の横に立てると、小声で「…並列思考解除…コスモスタッフ・ゴールドとのリンク…完了」そう呟く、そうして並列思考で操る杖を自らの周囲に浮遊させる
「さて…いきますよ」
"ガンッ"と小手同士を打ち付た夕が杖を先行させフレイアへと迫る
[エクスカリバー]
先行する杖から機械音っぽい声で技名が発せられると、杖からフレイアを薙ぐように光の刃が振るわれる
「っ!」
先程見た印象から、受けるのは分が悪いと感じたフレイアは、上に飛ぶ事で光刃を躱すが
「廬山なんとか覇っ」
躱すと同時に真下に潜り込んだ夕が放ったアッパーから、複数の龍が絡み合う様なオーラの衝撃がフレイアを襲う
「チィ!ぐゥゥゥゥ」
[スターダストなんとか]
翼を前面に出して覆う事で防御していて身動きの取れないフレイアへ、追撃の複数の光弾が杖から放たれる
「なっ…」
"カッ"…"ズーン"
一斉に光弾が着弾した後、フレイアを中心とした狭い範囲に絞られた爆発が起きた
「どうですか?その爆発は暫く続くので…せいぜい頑張って耐えて下さいね…フフ」
・・・・・
"ズーン…"
「ナンだぁ?……フレイアっ!」
「蝕むしっ、怠惰のオーバードライブ」
フレイアの受けた爆発に気を取られ隙を晒したゼウスに、詩乃が放った攻撃が地面を伝わり直撃する
「くっ…そぉ……オーバー…ドライブゥゥ」
技の効果か、徐々に抜けて行くやる気に、ゼウスは咄嗟に魂魄ドライブを過剰運転させる
「ガハッ…プッ、い…嫌らしい技ばかり使いやがって…ヒヒッ」
魂魄ドライブの過剰運転に拠って、限界以上の魔力を一時的に体内に流す事で詩乃が付与したデバフを跳ね除けるが、過剰魔力が原因で自身の肉体にもダメージを受ける
そんなゼウスが、吐血した血を拭って毒づいていると
「何!?」
周囲に散らばる、自分がバラバラに砕いた詩乃が召喚したゴーレムの残骸から、残骸が変化した槍の様な攻撃に晒される
「よそ見なんかして、気ぃを抜くからそんな様に…なッ!」
次々迫る攻撃を、必死に杖に発生させた障壁と刀で切り結びながら捌くゼウスに、追撃を加える為に近づく詩乃は、そばに転がる残骸からいきなり攻撃が飛んできた事に焦る
「あっぶなぁ……そういえば近くの生き物へ無差別って設定だったっ…けッ、嗚呼…もうっ、うっとい!」
焦りはしたが、言葉とは裏腹に危なげなく障壁で攻撃を弾く詩乃は、ゼウスに近くほど増えて行く残骸からの攻撃に、思わずゴーレムを帰還させてしまう
「あっ…ちょッ、うひぃ!なあッ…」
「ヒヒッ死ね!」と、ゴーレムからの攻撃が消えた瞬間に、詩乃へと斬り掛かったゼウスが放った切り下ろしをぎりぎりで躱した詩乃は、ゼウスの背中に隠された杖の先端とその先端を取り囲む様にある複数の魔法陣が光を発し此方を狙っているのを視界に捉える
「マルチプル・ホーリーレイ」
「ちぇッ!障壁っ、わっ、あッつぅ…緊急回避ぃ!」
詩乃が舌打ちすると同時に、ゼウスから白い光線が放たれ咄嗟に追加しようとした障壁も間に合わず、複数の魔法陣から断続的に撃ち出される光線に元からの障壁を破られると、光線への対処で身動きの取れない詩乃の20mほど背後の虚空へ繋がる鎖が詩乃に巻き付いた状態で現れ、鎖を巻き取る様な音と共に強制的に後方へと詩乃を飛ばす、その間にも断続的に光線を受けるが左門謹製のローブを貫通するには至らなかった
「障壁っと…これで何とっ![逃シマセンヨ]糞がっ」
光線自体はくらうと光線が途切れるまで対処が必要な強力な攻撃だったが、断続的とはいえフルオートの銃ほどの連射では無いので、距離が出来た事で躱しながらの立て直しが出来ると目論んだ詩乃は闇属性の同じ様な光線で相殺すると、次の光線を躱し余裕をとりもどすと、なんとか障壁を張りなおす
が、そこへ思いもよらない方向からの攻撃が障壁へ加わり、動きを止めた事でまた光線をうける事になる
「やばっ…強化、強化っ」
ゼウスからの光線に加え、ビームによる攻撃まで受ける事で壊れそうになる障壁を、魔力による強化と修復で持ちこたえる詩乃の耳にゼウスの言葉が耳に入る
「ヒヒッ…よく分からんがナイスだ、シグルド!」
「はぁ?…ちょっ…嘘じゃろ…やられ…」
魔力を障壁へ注ぎながら振り返った詩乃の目に、此方をライフルで攻撃するシグルドの姿が映るが、其処にはシグルドとやり合っていた筈の奉先クンの姿が無かった
「ヌゥン!」[ブルゥ!]
「うわっ!」「なんだいっ!?」
「嘘っ!まさかアレが殺られ……って!なんでやねん!」
奉先クンを探す詩乃の耳に、その奉先クンの声が聴こえると共にゼウスの伴の二人に宛てた特製のゴーレムとの間のパスが切れかけた事に衝撃を受けながら声のした方を見ると、其処には、まるで某赤い彗星の再来さんが乗るMSの様な見た目にセキトーが変形した鎧を纏う奉先クンが、出力の増した戟に纏わせたオーラブレードで潰したゴーレムと共に詩乃を射線に入れてビームランチャーの様な物を構えているのが見えた
そんな予想外の事に、思わず詩乃も突っ込みを入れてしまう
「フハハハッ、娘よ、この鎧は素晴らしいなっ!我に掛けられた忌々しい呪縛も解けたわ!そして…此れは礼だっ、取っておけぇい!」
「ヒィヒヒッ収束っ!」
[終ワリデス、フルバースト]
「あ…あぁ……」
奉先クンの構えるビームランチャーから、緑色の極太ビームがゴーレムを消し去ると詩乃に向かう、それに合わせるかの様にゼウスも全ての魔法陣から一斉に光線を放つと其れを撚り合わせる様に収束させて詩乃へ向ける、更にシグルドも全ての砲門を詩乃へ向けると一斉に攻撃を放った
自身に迫る攻撃を見ることも無くワナワナと震えていた詩乃へ三人からの攻撃が着弾し、凄まじい爆発が起きる中
「フハハハハハ!」
奉先クンの笑い声が何時までも響いていた……




