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「ま…まぁ、ポイントと配信の事は置いといて…だ、本題の帰還者……中でもダンジョンマスター二人についてじゃけど…」
そう、俺たちが集まった本来の目的は、詩乃たちの様に此方を経由して帰還した者達とは別口で日本に帰還した者達についてで、その中でもあちらで創ったダンジョンを此方に繋いぐ事に成功したダンジョンマスターとも言える二人について報告を聞く為だった
『あぁ、あいつ等ッスか…取り敢えず自分が暇な時間にコア経由で探った感じッスけど…まず、女の方がブツブツ呟いてた内容からすると本人は単純に日本に帰りたかっただけだったみたいッスね、今のところ此方で何かしら起こす気は無いみたいッスから害は無い感じッス、というよりコアとの同化のせいで家に帰れないって泣いてたッスから其れをどうにかするかで頭が一杯で他の事を考える余裕も無い感じッスよ。
それから、ダンジョンも魔素吸収と物質吸収がメインで問題の魂魄吸収機能については、元々、備わって無いのは自分がハッキングしたんで間違いないッス』
「そうですか“魂魄関係は無い”ですか……なら、手間ですが、帰宅の件から交渉する事で懐柔を図りますか……まぁ駄目なら…面倒なのでダンジョンごと消滅する、という事でいいでしょう」
女の方のダンジョンマスターについてシモンからの説明を聞いたシキは、女のダンジョンが魂魄を吸収する機能自体が無いと知って安堵する様に呟くと、女と女のダンジョンへの対応を決めた様だった
『…あの女が無事、家に帰る事が出来る事を祈るッス……
それで、次は男の方なんッスけど……』
「ん、そういやぁ…アレだろ?シキが両方への嫌がらせで、入口…ん…出口か?まぁえぇか、それを中国の…それもご丁寧に首都の近くに無理矢理繋げた奴、ドラゴン出たってニュースなっとたわ」
「えぇ、あの時は宇宙から監視してたイザナギさんから私の方に、某県の市街地に干渉する存在が居ると連絡がありまして…
その件でシモンに頼んで取り敢えず害の無い適当な山中に干渉をずらして貰いまして、夕を連れて調査に行ったところ、丁度亜人の女性を侍らして偉そうに魔物を引き連れた男に出くわしたのです。
が、いろいろあって夕が相手を殲滅してしまいまして、その際、夕の攻撃から保護した私に感謝した男にダンジョンの深部へと招待されましてスムーズにコアを調べる事が出来たので、お礼としてこちら側からの接続口を中国の方へ繋いであげました。
しかし、私の調べではコアに魂魄関連のものはありませんでしたが……何かありましたか?」
『それなんスけど……コレ見て貰っていいッスか』
そう言ったシモンが、俺たちの前に新たな画面を出現させ、映像を流し始めた
「お〜二体いるじゃんドラゴン、…あらっ、戦車やられてんじゃん……おっ飛んだ、……さすがに戦闘機のミサイルは防げないか……そんで?」
映像には、二体のドラゴンが多少の傷を負いながらも展開する戦車群を蹴散らす所と、飛び上がったドラゴンが戦闘機のミサイルに因って爆散し墜落するシーンが映し出されていた
『ちなみに、コレは昨日の映像ッスよ』
「昨日…だとしたらおかしいですね、前にドラゴンが出たのは確か一週間前……一週間で再度ドラゴンをしかも二体生成するなんて私の見たコアにそれ程のポテンシャルは有りませんでしたよ…
それに、あの二体…相当に強化されてますね」
「ん、フゥ~…そうか?ドラゴンならあんなも……ん!」
『気づいたッスか、そうッス魔法生物でも有るドラゴンは当然こっちの法則に縛られ弱体化する筈ッスけど、あの二体はあっちと遜色無い強さを発揮しているッス、それに一週間前に出たこっちのドラゴンは普通に戦車砲に耐えきれずバラバラにされたッスし、飛ぶなんて事も出来なかったッスから…』
シモンがそう言うと、画面の映像が戦車の砲撃に因って爆散するドラゴンに切り替わる
『と、言う事は…この数日の間に…「其れを可能にする何かがあった……」て事ッス』
「フッ…ダンジョンがまだ向こうと繋がっているのを考えれば何が…というより何者が干渉したのか…と言う事は直ぐ分かりますけどね『ッスね』、それより問題は、その何者…もう神でいいですね…の干渉に因っておそらく人の魂魄の吸収が可能になっている事です」
眼鏡を押さえてほくそ笑んだシキが、そう言ってから少し考え込む仕草をする
『見た所ッスけど、神が干渉したにしてはダンジョン自体の吸収率はそんなに良く無いッスね、此方の人間をあの人数吸収出来たら自分らなら古龍の数体ぐらい余裕で用意できるッスから、勿論強化済みでッスよ』
シキやシモンのやり取りを尻目に、最初のドラゴンがバラバラになって息絶えるまでの間に、百近くの兵士が犠牲になってる映像を見ていた俺は、(確かに俺達ならあれだけで最低でも一億以上のcpに成る、確か…宇宙のじゃ無い方の古龍だと創造に必要なのが一千万ぐらいだったか?それから強化を考えれば…なるほどそんなもんか、あのくらいのドラゴンだと…掛かっても数万くらいなもんだろ?強化にニ、三倍掛けたとして其れが二体って……ショボ過ぎんだろっ……待てよ…)そんな風に考えていたがある事に気づく
「おい、向こうの神が干渉したんだとしたら…ポイント…いや、ダンジョンの奴が使った?使える以外の分はどうなってると思う?」
そう、吸収しきれずに残ったとしても、魂魄自体は何らかの力?資源?へと変換されたと見れば、ダンジョンが吸収しきれない分の力は何処に行ったという話になる
「ほぼ間違いなく神へ送られているのでしょうね、なるほど上手いことやりますね」
『そうッスね……でもなんか「「癪だな」ですね」ッスね』
「帰還者も何人か拉致られてるみたいだし、あの国の奴らがどう成ろうとえんじゃけどな、あの神達の一柱にリソース持ってかれるのは我慢ならん。
そういう訳で、シキ君、行ってきてくれるかね、俺は溜まったゲームなんかを消化するので忙しんで」
「私もギルドの皆さんとイベントの消化をしつつ、合間で政府と交渉をしないといけませんので、暫くは無理……そう言えば、丁度、日本に居ると何かと母親がウザいからとふざけた理由で旅に出た娘があの国に居るみたいですよ」
『あぁ…シロまで連れて行ったみたいでクロが嘆いてたッスね』
「マジか…暫く大人しいなとは思ってだけど日本にいなかったのか…ん、そう言えばあの二人も暫く見てねぇけど…」
二人にそう言われた俺は、最後に詩乃に会ったのは何時だったか?と考えて、そう言えば最近紅子の奴も来て無いなと気づく
「えぇ、紅子は詩乃と一緒に歴史の闇を暴くと言って紅一に仕事を押し付けて行きましたよ、夕は家族に会いに行くついでに付き合ったみたいですが、一ヶ月以上彼方此方うろついて今は北京に居ると、今朝、夕から連絡がありましたから丁度いいです、随分遊んだのでしょうからダンジョンの事は三人とシロにやらせましょう」
「そうだな……」
そう答えながら、詩乃達が旅に出て既にひと月以上経つと聞いて、あの女が取るであろう行動を想像して苦虫を噛む
「何にせよ、スマホを新しく替えたのと、アイツに住所を教え無かった俺っ、グッジョブ!」
『あ〜…金切り声で凸されるのは勘弁して欲しいッスね……』
「「……………」」




