12
「みんな結構満喫してたんだ…」
字幕も終わり、これまた聞き覚えの有りそうで無さそうなゲームっぽいBGMが流れ始める中、カメラは遂に惑星に到着し某なんちゃらアースの様に地表へとズームアップしていく
その先では、僕が見た時より何割か美化された感じの二人の若い男女が美麗な装備を纏い、現地の仲間と共に魔物と相対していた
しかし、映像は戦いのシーンは映さずエルフっぽい女性が街を散策しているシーンへと切り替わる、それからは曲に合わせる様にいろいろな人物のいろいろな場面へと映像が切り替わっていった、途中、拓真が魔法を使うシーンもあり思わず吹き出しそうになるが、自作した仮面を着けたいた時期の映像だったので素顔が映っていなかった事もあり身バレせずに済んでいた
そんな映像を観ながらボソッと拓真は呟くが、次の瞬間何時ぞやに黒猫が言っていたのはこの事かと理解する
[ん…ぷはぁ…ねぇ…xxxxちゃんを殺した事…後悔してる?]
場面がランタンぽい灯りだけの薄暗い部屋を見下ろす様に替わるとベッドの上に下半身を隠す様にシーツ掛けて寝そべる裸の男が見える、すると今迄BGMだけだった映像に人の声が混ざりだした
[うっ、そんなっ事ないよ、何かと煩わしかったしっ…ね、それっ…は…]
映像が横からに切り替わり、シーツから女が顔を出すと男に中途半端に男に覆い被さろうとして女を隠していたシーツが…
「……ハッ、お前等駄目だ!見るんじゃないっ」
我に返った教師が黒板を遮る様にして生徒達に告げるが
「はっ?ふざけんな!見えねぇだろっ!」
「先生、どいて下さい邪魔です」
「ちょっと!煩いわよっ聴こえないでしょ!」
「お前等………」
等と収集がつかなくなってきた時、誰かがボソッと呟く
「あっ…目をつぶっても見えるんだこれ…」
“ガタッ”全員が呟いた生徒に目を向けると、ゆっくりとめを閉じていく
「おおぉ…ワタシにも敵が見えるっ!」
他の皆が目を閉じても見える映像、というより男と女の濡れ場に集中しているさなか、小ネタを言う教師を無視する様に場面は進み
[うわぁぁぁ!]
やがて、あの時ヨミと名乗った少女が二人に因ってバラバラに殺害された所を映しだすと、[続きや他の動画が気になる人は字幕に書いてあった様に有料会員(特典有り)に登録するニャ!]そう画面にデカデカと表示されると、エルフやら猫耳の獣人やらのパーティーが黒い騎士と相対している場面や、幼女を追いかける吸血鬼、はたまたロボット同士の戦闘等、拓真にとって気になる画像が続きやがて映像は終了する
「ねぇねぇ…その…登録の仕方って…分かる?あれ、速すぎて……」
教室内が、今の出来事について皆が騒がしくしている中、隣の席の女子が申し訳なさそうに拓真に聞いてくる
「え?…あぁ…登録の事?なんか、何処かの賽銭箱の前でどうとか書いてあった様な気がするけど……」
「賽銭箱?」
「うん…多分……僕もたまたまその部分が目に入っただけで、詳しくは…ごめん」
本当は字幕を全て読んで記憶までしているが、それを言った結果、今度は全員に説明しなければならなく成りそうだと思った拓真は、女子に対し適当にはぐらかす
その女子と動画についてお互いの感想を言い合っていた拓真の耳に「うおおお!見れたー!」と、スマートフォンを祈る様にして持った男子の声が響く
その声に釣られた拓真と女生徒がそちら向くと、その男子生徒は周りにホーム画面の表示されたスマートフォンを見せながら「ほらっ映ってるだろ!」と言っていた
「いや、普通の画面しか映ってねぇけど?」
「はぁ?映ってんじゃん、此処に…って!?一時停止ぃ」
自分のスマートフォンに、ホーム画面の他には何も映ってない事を周りから指摘された彼が、スマートフォンを自身に向け画面より少し離れた空中を指差すと、今度は周りを無視して「おおっ、スロー再生まで出来るじゃん………えっ…360度アングル…だ…と」と忙しなく空中を弄り出した
「糞っ!上級会員限定って……っ、そうか!字幕…」そう言って項垂れた後またしても忙しなく弄りだした彼を見た周りの一人が「なぁ…見えてるんだよな?どうやったら見える様になるんだ?」そう彼に尋ねる
「なんだよ今いそが……え?…あぁ…願うんだよ、こう…スマホを持って“お願いしますもう一度見せて下さい!”って、そしたら…」
「おお!」「わっ!」「本当だ!」
彼の言葉に聞き耳を立てて居た数人の生徒が、同じ様にスマートフォンを掲げて声をあげる
「本当に見れた……これで登録の仕方がわかるね、ん…君は見ないの?」
「えっ?う、うん、僕はあとでゆっくり見ようかなぁって…」
拓真の隣の女子も見る事が出来たのか、嬉しそうに空中を弄りながら話し掛けてくるが、
(社員特典なのか…脳内で再生できて特典ぽい機能も思考操作で全て使えるからもう見てますなんて…言えないよね……それにしても…これは…すっ凄い…)
ベッドの上で絡み合う男女を、いろいろな角度から脳内で再生していた拓真は、辛うじてそう返すのだった…
・・・・・・・・
『初動はまずまずッスね』
煙草をふかしながらモニターに表示されているグラフを眺める俺にシモンが言う
「ん〜これが多いのか少ないのか、俺にはよく分からんけど…個人的には100万人ぐらいは…と思ってたわ」
複数のグラフの示す数字を見ながら俺はそんな事を言う
「それは、おいおい未開放のコンテンツを開放して行けば自然と増えるでしょうね、第一、最初にあんな怪しくて不親切な方法を取った事を考えれば、30万は多過ぎると言って良いですよ」
『其れに、重要なのは人数じゃなくて金額ッスから』
「そう言う事です。あっちの信仰システムを今の日本で活かそうとするなら、信心なんて曖昧なものでは無く、課金という分かり易いく単純なシステムの方が合いますし、お金が生物なら余裕で神に成れるぐらいには信仰されてますからバージョンアップ以降、社経由で集めたお金は10︰1の割合で此方でcpに変換できますしね、まぁ…お陰でポイントとの互換性は…ほぼ無くなりましたがね……………」
「『うっ………………』」
苦い記憶を思い出した三人は、暫くの間沈黙していた……




