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「ブモォォ!浅野ぉぉ!てめぇ、ゴラァ、直ぐ復活するからなぁ待ってろよぉぉぉぉ!」
自らが起こした崖崩れに飲み込まれたミノタウロスの様な姿の馬場が、前々回の時と同じ様な捨て台詞を吐いて消えて行くとその場にピンポン玉程度の結晶が残される
「ハァ…やっと五回目……痛っ、でも前回とは逆で馬場の強化され具合がヤバかった……順番?と言うよりも今回あの蒲生の弱さから考えると…………うん…それで合ってそうだね」
拓真は想定以上に崩れた崖に因って受けた肩のダメージを気にしながら歩き出すと、先程の戦いを振り返りながら馬場が残した結晶の元へ向う
「それにしても、あの二人が馬鹿で助かったよ……もし、僕の考えが合ってるんなら、どちらか一人を必要最低限にして残りを全てもう一人に注ぎ込まれたら確実に負けるね……さてと…」
いろいろ考え事をしながら結晶を拾った拓真は、ズボンのポケットに突っ込んでいたもう一つの結晶を取り出すと纏めて掌に握り目を瞑る
「おおっ!」
頭の中に表示されるポイントの数値に、興奮気味に声を上げる拓真だったが、
「倍率がいまいち解らないから何とも言えないけど…」
今までと同じバランス重視の方向だと次の次あたりからは厳しくなりそうだと思い気を引き締め直すと、今回得られたポイントを自身の能力にどのように振り分けるのかを考えるが、
「おっと…先ずは移動しないと…大丈夫だとは思うけど、いつリスポンするか分からないないし」
拓真は、そう思い直しその場から離れていった。
・・・・・・・・・・・・
「ご苦労さ「ゼロ(アイン)です、社長」…二人共、その後どうですそろそろ半年経ちますけど?」
転送の為の部屋に併設するように在る管理室に、労いの言葉と共に現状の確認にやって来たシキに対し、振り返る事も無く作業を続けるゼロとアインが報告する
「お疲れ様です、では対象Jを含む三人の学生から、そう言っても対象はクロさんの助言に従う事で危機を脱した後は刀夜氏の扱きを熟すので精一杯で報復どころでは無いみたいですね」
アインがそう報告した、痴情の縺れからなのか友達から殺されかけた娘は、能力の選択時や転送時に頭に響いた黒猫の声に半信半疑ながら従った事で事無きを得るが、報復の為に二人の後を追おうしたところに現れた刀夜に叩きのめされ拉致されると、其れからは修行と言う名の拷問に耐える日々を過ごしていた
「次は、対象AとMですが……Aの方に関しては現在九回の撃退に成功しており今は十回目の状況が進行中ですが進展の無いまま既に一ヶ月が経過しています、そしてMですが……累計で32回相手を殺害…というか相手側が32回の殺害時に自我の崩壊が診られたので強制終了としました、それが二ヶ月前の事で、Mについては一旦最近のどさくさに紛れて帰そうとしたのですが……現在は本人たっての希望でダンジョンの方で訓練中です」
「あぁ…Mについてはクロが報復対象の文句を言っていましたね」
続くゼロの報告を聞いたシキは、以前クロが❲あのおんニャ、開始から暫く復讐もせずに異世界の街を満喫してると思ったら、いつの間にか使役したいろんニャ霊を街の範囲内にバラ撒いて変態男どころか復活場所まで特定してたニャ、というかニャッあれだけ忠告してやったのにニャずっと復活場所から拠点を替えなニャいとか有り得ないニャ!案の定、リスキルされ捲くって自我が崩壊するニャんてつまらない結果になったニャ…❳と、愚痴っていた事を思い出した
「それにしてもひと月ですか……」
「えぇ、完全に遊んでますよ。今は野良の魔物を狩ったりして色々と熟練度を上げたりしてますけど、偶に二人の前に現れては新しく得た能力で罠に嵌めて御猪口ってますよ。二人の方もタイムリミットが迫っているので必死にAを捜していますが…結局最後までAに上手いこと誘導されて中途半端な強化しか出来てませんし……それに殺られる度に強化の弊害として思考の方も段々と依り好戦的になって行きますから余計に、ああ言うAみたいなタイプには対応出来なかったですね」
拓真と、シキ達がMと呼ぶあの霊の状態だった女性は、左門達が見つけた惑星の中で一番それっぽい惑星内で定められたフィールドの中での殺し合いをしていたが、勝利条件がそれぞれ定められており拓真の場合は半年内に二人を最低一回殺害して生き残るもしくは二人を十回殺害するだった、Mも同じ条件だったのだが彼女のたっての希望で殺害回数を無制限にしてあった。ちなみに敗北条件は半年以内に相手を殺害出来なかった事と死ぬ事だったりする。
もちろん彼等の相手側にも条件は設定されており、勝利条件は単純で時間内に相手を一回でも殺害する事であり、失敗しても最低十回はチャンスが有りしかも復活する度に能力が強化されるとゆう自分達に有利な条件だった。当然、敗北条件や復活に際してのペナルティ等は有るのだが相手を軽く見ていた三人は説明を軽く聞き流していた。
「ふむ、進化ツリーの解放も全然出来てませんし能力の取得もまったくですか……想定よもだいぶ酷いですね、解放された種族もパワー系が殆どで悪魔系等の魔法系に至っては零ですか、結果それで今は二人共にオーガの亜種とは…」
アインが報告と共に、中空に映し出したデータを見たシキが呆れた様に感想を言うとヤレヤレと首を振る
「A…浅野氏が今メインで活動しているのが森エリアの中層より奥なのですけど、七回目ぐらいだったか、浅野氏に因って誘い込まれた二人が現れた一匹の魔物に瀕死に追い込まれた処を彼に殺られてますが、その時出て来たのが今の二人と同じオーガの亜種でしたからから、その印象もあって其れを選んだのかもしれませんね。
ちなみに、そのオーガも多少苦戦していましたが浅野氏が倒していましたけど今は接近戦でも危なげなく狩れていますね」
「はぁ…魔物になる事に因る霊魂への影響については詩乃や貴方達のお陰で充分足りているのですが…、何にせよ、転生したらⅩⅩⅩだった系をやるなら、もう少しマシな被験者で試さないといけませんね……
まぁ良いでしょう、では二人共、時期が来たらクロと共に手筈どうり三人へのリクルートと学生二人への対処、それから負けた三人を霊魂を修復のうえ特製の義体と共にあの変態エルフの元へ送って対価を受け取って下さい」
「「分かりました」」
自身が告げた指示に答えるアインとゼロの声を聞きながら退室するシキは
「シロの動画編集も問題無さそうですし、テストとしては概ね成功ですね。しかし…神の思惑なのかはたまた日本人が凄いのか……一人二人はそういう者がいると思っていましたが、自力で帰還する者がこんなにいるとは想定外ですね」
そう独り言ちると、ここ一、二ヶ月で日本各地で起きている異世界からの帰還者による騒動を思い浮かべると、眼鏡を押さえて「クックック」と何かを企む様な笑みを浮かべるのだった




