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部屋の神  作者: CLLK
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18

教国の教皇であり現人神でもあるサウドは、大司教マウゾからの報告のあと、自らが直々に魔王討伐を行なう事を宣言し、直属の聖騎士団と共に討伐軍へと参加していた


討伐軍によるダンジョンの攻略が始まる日、サウドは自らが討伐軍に与える祝福という名の付与の儀式を行なう為、軍中にある教国の天幕の中から出てくると、辺りが騒がしくしている事に気付く


『何があった?』


「ハッ……どうやらダンジョン入口の方で、何かあったようでして…今、確認に向かわせていますので…」


天幕の警護をしていた聖騎士の答えを聞いていると、突然後方を囲う様に雷のカーテンが現れる


「ッ!密集隊形!教皇様を御守りしろっ!」


流石は直属の聖騎士団とでも言おうか、素早く反応し隊列を組むと雷に向け盾を掲げる


「どうやら此方だけでなく、討伐軍を囲う様にして発生している様ですので…『待て…』ハッ」


騎士の一人が、サウドに中央へと退避するよう進言しようとしたが、一条の光が空に上がったことに気付いたサウドが其れを遮る


『雷雲?』


アレは何だと、空を見上げていると軍の上空に突如として雷雲が現れ、其れはどんどんと厚みを増し広がっていく


『いかんな……結界を張る、皆を集めよ…』


上空を見ていたサウドは雷雲に嫌なものを感じ、退避を勧めてきた騎士へそう指示すると、術の為ブツブツと詠唱に入る


「なっ結界ッ⁉……全員!教皇様を中心に円陣を組む、急げっ!」


直属の聖騎士ともなればサウドが現人神である事も知っている、そのサウドが結界を張るという…それは、これから其れをしなければならない事が起きる、という事である

それが分かる騎士達が、慌ただしくも整然に陣形を変えて行く


『……神聖術っ…聖域結界』


騎士団の円陣が完成すると、サウドは即座に自身を中心とした結界を軍の一角に張り巡らせる


「これで…………」


サウドの近くで騎士団に指示を出していた、隊長らしき聖騎士が、結界を見ながらなんとか間に合ったかとひと息ついた処、”ヒュン“と上空から雷雲を貫いた金色に輝く槍が討伐軍の中央へと墜ちるのを目にする


『な……に…』


槍が墜ちたであろう場所から、ひときわ大きな光が発生すると直後、光の柱が立ち昇り、次いで高温と共に青白い雷が周囲に巻き散り、巻き込まれた者を消し炭に変えていく


「うわぁぁ」「ギャッ!」「盾がっ、あああ!」


『馬鹿な…聖域が……いやっ、この感じ…破らてはいない?…ならば何故…』


魔法等の攻撃であれば完璧に防ぐ事と思っていた、自身の結界を抜けてくる攻撃について考え込んでいるサウドに、青白い雷が迫る


「教皇さっ!」


其れに気づいた聖騎士の一人が叫ぶ


『っ!……魔力を感じない?……』


騎士に言われるまでもなく気づいていたサウドは、己に迫る雷を掌で受けるが、神なって数百年の間傷一つ負わなかった自分が、久しぶりの痛みと共に負傷を負わさせれたことに少なからず驚愕する


「教皇様!」


己に駆け寄る聖騎士を無視し、手首から上が炭化した腕を見ながら、原理はともかくコレがどういった攻撃かサウドは把握する


『ちっ…魔力を使わずこの威力の攻撃だと……あり得ん……だが…まぁ…それなら我が結界を抜けた事も説明がつく…か…』


聖域結界は、魔法等の魔力などになんらかの概念を与えて実現させる攻撃に対し、その概念を打ち消すという概念が込められており、使用者の魔力と概念を上回る事が出来なければ破る事は不可能な結界だった


それを神である自分が張ったにも係わらず、防げなかったという事は、これは只の物理攻撃だとなるのだが、もちろん最上級のしかも自ら使った神聖術なので物理的な防御力も相当に高い筈だが、


『ならば、それ用のものを張れば済む事……』


そう言って、少しの集中で『フンっ…氷壁』と、既に回復している腕を振るうと、聖域の内側を氷の壁が覆っていく


”バシュ“”バシュ“と青白い雷が氷壁にぶつかっては穴を開けるが、それ以上内側に侵入してくることもなく、空いた穴も即座に修復されていく


「「「おおぉぉ…」」」


「流石は教皇様だ!」


周囲で必死に雷に対応していた聖騎士達がその様子を見て、サウドを褒め称える


「状況の確認を…それと負傷者の治療を急げ!」


隊長の聖騎士が部下に指示をだすとサウドに近寄る


「どうやらあの雷は収まったようですが…」


そう言って遠くを見渡すと、討伐軍を閉じ込めている結界内を荒れ狂う雷が見えた


『うむ…先程のものと違いあの程度の雷ならば我の結界をどうこうする事も出来まい』


同じ様に周囲を見渡していたサウドのその言葉に少し力を抜いた隊長は


「流石は教皇様……しからば、我ら騎士団にも相応の被害が出ておりますれば……」


サウドに感謝を伝えるが、直ぐに苦い顔をして現状を伝える


『あぁ…暫くは時間もあるだろう、手当てをしてやると良い

我は少し外す…どうやら本気を出す必要が有りそうだからな…』


「おぉ…なんと……魔王とはそれほど……分かりました、では、その間の事はお任せを」


『なに、そんなには掛かるまい』


サウドは隊長に背を向けそう言い残し、準備の為に天幕に向う


天幕に入り着ていたロープを脱ぐと、腰に備えている自慢のポーチ(自らの髄を凝らして制作した)から次々と自身の専用の装備を取り出しては身に着けて行く


『フフッ…何時ぶりだ…この様な高揚感は、待ってい…誰だ?』


防刃や耐火、毒などの各種状態異常への耐性などを付与された装備を着込み、古竜程ではないが竜の魔石をはめ込んだ杖を持ち腰に剣を履くと、ふと、天幕内に自分とは違う気配を感じた


「誰です?私の祈りを邪魔する愚か者は?私を大神官ハ…シキと知っての行いですか?」


気配のする方へサウドが目を向けると、そこには肌の色を青く変え両耳にヒレのようなものを付け民族衣装の様な物を羽織り先端が赤い結晶の杖を持ったシキがいたのだった…



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