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部屋の神  作者: CLLK
63/97

15

「あ〜、うん…此れはアレだね…死神とセイントな闘士だね…」


「セイントな闘士?なんそれ、まぁ…死神は分かるけど……それより、なんか先生…五郎とかなんとか言ってんだけど…あぁもうっ!何なんアイツ、変な膜張りやがって…」


詩乃と紅一が空中に映し出された、五郎と刀夜の様子を見ながら「セイントっていうのは」「別に興味ないから」「そんなっ!」等と言い合っている所に


(よぉ、お嬢、ちょっといいか?)


「…………」


エイイチとエリが連れ立ってやって来た


「相変わらず仲の宜しい事で…んで、どしたん?なんかエリさん余所余所しいけど」


近付いてくる二人を見て、詩乃はエリの様子が何時もと違う事に気づく


「……………」


(いやっ、さっきからずっとこんな感じなのよ、どうしちまったのかねぇ…其れよりもよぉ…お嬢、お嬢の…って!)


エイイチが此処に来た理由を説明しようとしたその時、詩乃がいきなり背後の空間に向かって、咄嗟に練れる最大の魔力を使って黒い雷を放った


”ズガンッ“


黒い雷が着弾した場所には土煙が立ちバリバリと帯電している様子が見てとれた


(お嬢っ、いったい「黙って!」…)


「誰?」


エイイチの問いかけを一喝して黙らせた詩乃は、土煙に向い問いかける


「おう、久しぶりじゃな、詩乃」


「っ!……うべっ!…な…なんで……」


土煙の向こうから声が聴こえた瞬間、詩乃は転移を発動するが、後方に展開されていた見えない壁に衝突して崩れ墜ちる


「ふ〜ん…お前的に言えば4年…いや…もうちょっとか?そんくらい振りの親との再会だってのに、逃げるっつう事は何か疚しい事でもあんのか?」


土煙がはれると、そこには顔を隠す様に外套のフードを深く被った女…紅子を従えた左門が立っていた


「えっ…詩乃のお父さん?…えっ…」


(ふうっ、焦ったぜ……エリは…大丈夫そうだな……そうだよ、俺は、お嬢の親父さんが会いに来たぜって言いに来たんだよ、なのに話す前にいきなりお嬢はデカい魔法ぶっ放すしよぉ)


混乱している紅一に、エイイチがそう言い(何だってんだよ…)と詩乃の魔法に不満気にしている


「……これ…あんたが?」


「…さぁな」


紅一やエイイチの事は無視して、詩乃は眼の前の障壁を触りながら左門に尋ねるが、アンタ呼ばわりされて苛ついた左門は詩乃を煽る為、ため息を吐いてヤレヤレと曖昧に返す


「…そういうのホンマむかつく……まぁでも、エリさんがなんでそんな感じなのかは分かったわ…」


「あぁ?エリさん?なんの事だ」


歩いて詩乃との距離を詰めていた左門は、何故そこでエリという無口なエルフ(潜入時のエイイチとのやり取りで紹介された)が出て来るのか疑問に思う


「あぁ、それ…はっ!」


「だっ!イッ、アアアア………!」


詩乃が近付いて来た左門に、時間稼ぎも含めて其の事を説明しようとした瞬間、今迄、俯いて黙っていたエリがいきなり奇声を上げながら二人に魔法を放つ


「ちょっ!エリさんっ………へっ?」


まさかエリがいきなり魔法を放って来るとは思わなかった詩乃は、防御の為の障壁を張ろうとして自分と左門の周囲が魔法の影響を一切受けてない事に気づく


「へぇ、魔力を精霊っぽく見立てる訳ねぇ…なるほどなるほど…で?どういう事」


随分と凶悪な表情をした3体の精霊が、雷や竜巻や氷の槍などで攻撃し続けるのを、なんでも無い様に観察する左門に続きを促された詩乃は(アレっ?おとんヤバくね)と、思いつつ説明を始める


「あんさぁ…エリさんは……」

「はあ!マジかっ」

「そんで…」

「嘘じゃろ……気づく訳ねぇ……」

「其れから……さらに……」

「……おい…マジか……」

「でも!………」

「お、おう…良くやったわ……その…なんかすまん……」

「ほえ?……普通に喋る……」

「嘘ぉ…俺、今の奇声で二回目……ん?」


「うぅぅ」


説明の間中ずっと魔法を使い続けていたエリが魔力切れで倒れる事で親子の会話も終わる


(エリ!)


エイイチの身体が倒れるエリを抱き留め


(よく分かんねぇが…エリに何かするってんなら…勝てねぇまでも抵抗はさせてもらうぜ…)


そう言って左門との間に首を挟む


「この人?」

「そうそう」


左門はエイイチの首を見ると、詩乃に振り返り確認するとエリをチラリと見たあと、左門はエイイチに語り出す


「いや〜、エイイチくんだっけ?マジかっけぇよ!惚れた女の為とはいえ、絶対勝てない相手に対してそんな、俺には無理、男として尊敬するよぉ…えっ、照れる?イヤイヤ本当凄いよ…当たり前?其れを当たり前って言えるのが凄いんじゃないかぁ…なに?俺が守ってやるって言ったから?かぁ〜お熱いね〜」


会話中、どんどん得意気になって行くエイイチと徐々に顔が赤く成っていくエリを見て、左門は最後のひと押しと


「じゃあアレだなっ、死ぬまで…いや、エイイチは既にアレだから…彼女がもし死んでしまっても君ならその魂さえ守り続けられる…ならっ二人は本当の意味で存在が消えてしまうまで一緒ってことだ、そうだろう……」


(おうっ、まかせろっ!)


自身の能力をフル活用して、エイイチとエリの精神…いや魂にまで干渉して言葉による枷をはめる


「いやっ…エイイチ、お前本当にいい奴だな…お詫び…いや、お礼…まぁなんでもえぇわ、知り合いに言ってお前の身体、強化してやるよ」


自分が誘導したとは言え、多少の罪悪感を覚えた左門はお詫びにシキに言ってエイイチを強化して貰おうと決めた……


(本当か!じゃ…じゃあ……うおお、マジか!…な、なら……おいおいっそんな事までっ!え?…………かぁ〜凄ぇ…凄ぇなっおい!……頼んます兄貴!えっ?兄貴はやめろ?……ほらっ、俺は40だったんスから……被る?誰に?)


のだが、異常に強化に喰い付いてきたエイイチが、ロボット好きだったのであれこれ提案してやった結果、左門を兄貴と慕う様になってしまう


「なぁ…なんで此処におるん?とか、いろいろ聞きたい所なんじゃけど……あの人は誰なん?」


詩乃は、強化について盛りあがっている左門に、個人的には自分の父親と一緒に現れた女として割と気になる事を意を決して尋ねる


「ん?あぁ…まぁ…あれは…」


その存在をすっかり忘れていた左門が、紅子の事をどう説明するか悩んでいると


「皆様、お初にお目にかかります、左門さんの従者にして…いえ、従者の紅子で御座います…お見知り置きを……そして…お兄様………お久しぶりです…ねっ!」


「痛っ!」


「なっ!……此れに反応しますか」


紅子が、両手でフードを上げて全員に対し頭を下げ挨拶を終えると、その残像を残したまま紅一の懐に現れた紅子は、首を狙い小太刀を一閃するが、脳内に警鐘をビンビンに感じていた紅一が念の為にと隠し持っていた短剣に因って、薄皮一枚斬った所で防がれてしまう


「素直に斬られてしまえばいいのに…」


一旦、距離を取った紅子がそう言うと同時に、お辞儀をしたままの残像が霞の様にその姿を消す


「おっ、お、おまえ!い、い、いきなり!な、なな、なにを!」


「妹相手ぐらい…普通に喋れ!」


紅子が、左手から払う様に針状の暗器を複数投擲すると、自身も小太刀を構え紅一に向う


「そんな物…っ⁉」


吃りながらも、漆黒の片手剣をちゃっかり装備していた紅一は、短剣との二刀流で紅子の暗器を打ち払うが、紅子か魔法で隠蔽していた一本の暗器が鎧の肩部分に刺さる事無く当ると


”バリバリバリ“暗器が当たった所から雷が紅一に纏わる様に発生する


「自らの業…厨二病を悔いて…逝けっ!」


紅子が注いだ魔力に反応した小太刀が、金色の回路の様なものが伸びて行き刀身を伸ばす


「ハァァァ」刃を金色に変え、紅子は、雷に因って動きを止めている紅一に向かって刀を振り下ろす


「うらぁ!」


「っ!……チィィ、往生際の悪い!」


”ガキッ“と、紅子の刀を紅一が振り上げた剣が受け止める


「ハハッ、お、お前がやりそうな事は全て、た、対策してるんだっ…よっ!」(危なっ!紅子の奴…古竜の素材で造った剣が…もう少しで切断されるトコだった…ハイロの爺さん…古竜ってのは話し盛ってたのか?)


「ちょっ!」


紅一はいつの間にか短剣から持ち替えていた大型のハンドガンを、紅子に向けると躊躇なく引き金を引く


「わっ、ちょっ、ほっ、ふんっ!」


”ドン、ドン、ドン…“  ”ボンッ“

紅一が引き金を引くよりも早く、紅子は紅一から離れ、ジグザグに後退しながら自身に当たる弾だけを刀で防ぎ、撃ち終わりに紅一が放ったグレネードっぽい物を暗器を投げて相殺する


「サモン…ゴーレム…」


””クアッ““


「換装…」


グレネードの爆発を隠れ蓑に紅一は、フルアーマーとでも言いそうな見た目になったイチとニィイを呼び出すと、自身も装備をゲームの中世の騎士っぽい鎧から、同じ様に騎士っぽいが、今度は近未来のパワードスーツ風な物に替える


「なっ…くっ……不覚にもちょっと格好良い…と、思ってしまうとは…」


爆発が収まった向こうに、換装の終わった紅一の姿を見た紅子が言う


「フフッ…良いだろう!なんてったってコレは、紅子っ!お前に勝つ事を想定して、見た目にも拘った僕の秘密装備だからなっ!何と言ってもこのっ…………それからこっちの……………それを可能に…………」


紅一は興奮しながら装備の素晴らしさをギミックなどを展開しつつ語りだす


「いつの間にあんな物を……なぁ…止めんでいいん?」


「へぇ…なかなか……ん?あぁ…まぁ…紅子もそうだが、彼奴もなんか思うところが有りそうな感じじゃし…好きにやらせたらえんじゃね?」


「だから何処から攻撃して……………そして僕の意思に反応………」


今だ終わらぬ説明を続けている紅一と、「なにっ」とか「そんな事まで…」などいちいちリアクションを取る紅子を見ながら、左門と詩乃の親子はそんな会話をするのだった……


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