表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
部屋の神  作者: CLLK
54/97

6

「っ!誰だ…」


深夜、とある貴族の当主の寝室での事、

この城の主である若いが切れ者との評価の貴族は、何者かの気配を感じると、ベッドからよく鍛え上げられた体を起こすと探る様に寝室を見回す


「ヒィィッ」


すると、眠る前まで散々に弄んだ為、気を失って床に転がっていた筈の敵対派閥の貴族の娘が、隅に縮こまり尋常ではない様子で怯えているのを目にする


「なんだと言うのだ…」


その様子に、貴族の男は娘の視線の先を見ようとするが


「ぬおっ、なんだ!」


突如として体中をヌラヌラとした触手に搦め捕られ、貴族の部屋らしく高い天井へと引き上げられる


「ぬうっ離さぬか!クソっ、誰かっ!」


必死に拘束から逃れようとジタバタしようにも、思いの外、触手に拠る拘束は強固で抜け出す事など叶わない、

そのうち徐々に天井が近づいてくると、其処には異様に長い手足で蜘蛛の様に天井に張り付いている異形のものが目に入る


(フフフ、ごきげんよう伯爵様ぁ〜)


暗闇にも慣れ、やがてその異形の者の詳細な姿が確認出来る様になると、異形から伯爵と呼ばれた男は驚愕する


「化け物が……なっ!おっお前は…死んだ筈では!」


その異形の者の顔が見知った、いや…婚約相手だった事を考えれば、よく知ったかもしれないが、女だった…

しかも、男の個人的な理由でその女の親族を利用して、間接的にそう成るように誘導し亡き者にした筈の女だったからだ


(えぇ、えェぇ!そうデす、確かにわたクしは、ソれはもうサンざんにぃ〜…もてアそバれてぇ…殺されたんだよっ!お前丿おかゲでなぁ〜……ヒヒャッ)


「ぐっ」


女の化け物の感情に合わせて、触手の締め付けが強くなり伯爵の身体が悲鳴を上げる


(ハァ~……あらっ、わたくしとしたことが、つい力が入ってしまいました…ウフフ、まったく夜は長いというのに)


「ぐぅ…貴様ぁなぜ…」


(なんデすか?なんで知っているのカ不思議ですかぁ…そうデすよネェ〜…ウフっ、こう言う事でデでずよォ〜)


女の声に合わせ、背中にある触手の内、数本の先端部分が変化する


「ひっ…な、なん…だ…と、もしや最近の周辺の異変も…お前の…」


(ヒヒッ殺してくれぇ…) (その男がぁ悪いのだぁ)  (アンタの言う通りやったのに…たすげてぇ…はぐしゃぐぅ)


なんと触手は、この女の抹殺に関わった者達の顔に変化し、おのおのに伯爵の関わりを独白しだす、その中には周辺貴族の当主の顔も幾つかあった


(煩いですね……まぁ、そういう訳でわたくしは、全てを知っておりますので、今更あなた様が何を言おうと、婚約者であるわたくしが全ていただいてさしあげますから)


「くっ…化け物めっ、全てを焼き尽くす灼熱の業火よ、われっモガァ、オウェ…」


なんとかこの女の化け物を始末しようと、伯爵は自らの家に伝わる秘術とも言われる、灼熱の魔術を使おうとするも、都合よく詠唱が終わるのを待って貰える筈もなく、触手を口に突っ込まれ呆気なく詠唱を防がれる


(フフフフ…骨の髄まで搾り取って差し上げますの…貴方はこのカ・イ・カ・ンに耐えられますかぁ〜)


女がそう言った時には、既に触手から分泌された成分を口内等から直接注入されたことに因って、伯爵はあらゆる感度が何十倍にも高められており、更に追い打ちを掛ける様に、伯爵のありとあらゆる××に触××が×入されると


「ふごぉ…ゔぉぉ…グォッ、グォグォ……」


伯爵は白目をむき、身体は小刻みに痙攣し、あらゆる体液を洩らし続けるが長くは続かず、ダラリと反応が無くなった


(あらっ、もう限界ですの?だらしないですわねっ!)


「ブッ!グブフォッ」


ブチッ、女の声と共に、空いている触手の尖端にある口が伯爵の右手小指を噛み千切ると、何十倍も高められた感度には、もちろん痛覚も含まれている為、想像を絶する痛みに伯爵は覚醒する


(さぁ、わたくしの婚約者ならば、最後まで耐えて下さいませね…夜はこれからですよぉ……………)



人の気配なく静まり返った城に朝日がそそぐ頃、触手に新たな顔を追加した女が、一人寝室に佇む

その姿は人のそれに変わっているが、背中に蠢く触手が女を人とは別の存在だと否応にも理解させる


「あぁ、漸く、汚物共からわたくしが手にいれるべき物を取り戻せましたわぁ…でも…まだまだまだ……………まぁだ全然満たされませんわ!」


女は歩きだすと寝室からバルコニーへと出ると、手摺りに手を置き、眼下に見える街並みを眺める


「そうです…生きとし生けるものから…その全てを奪う事にしましょう…ウッ、ン…」


「アッ、ハァ~」と、これから己が行う事を想像して、女が興奮をおぼえながら淫靡に呟く


「魔王さまぁ」と…


(フフフフ、いい感じだな…あの小娘のとこを出てからそろそろ1年か…吾輩のコレクションも充実してきた事だし、貞子の方を確認したら次に移るか…フッ、吾輩が最初から小娘の呪縛に囚われていないなど、あの小娘は思いもしないだろう……差し当たってはこの女に憑いて幼女の確保だな…ふぅ〜愉しみだ…)


女の影に潜み、様子を伺っていた時代遅れの吸血鬼は、影の中で都合の良い未来を想像し、一人ほくそ笑んでいた 


・・・・・・・・・・・・



(ギィヤァャャャ……)


四つん這いとは思えない、某初号機が暴走した様な気持ち悪い動きで僕から逃げ続けるてる、ぱっと見はいわゆる貞子なんだけど妙に着飾ったアンデットが、首だけが振り返って絶叫ともいえる叫びを上げると、魔法なのか身に着けてるアイテムの効果なのか、俗に言うボール系の炎や氷や雷の攻撃が飛んでくる


それから、僕のイメージ的にはこちらが本来の効果だと思うんだけど、あの叫びには魔法の攻撃と同時に多種多様なゾンビを自身の周囲に召喚する効果もあるみたいだ…


「所謂スクリーマーって奴かな?っと」


絶賛、重戦士プレイに嵌っている僕は、自作の武骨なフルプレートアーマーと、いわゆる鉄塊をイメージして作った結果、鉄塊っとしか言えない剣に気を纏わせ


「ふんっ」


魔法に向けて、片手で鉄塊を上段から地面にぶつけるように振り下ろした


ボンッ、バキャ、バリィと、振り下ろした剣圧と地面に衝突した際の衝撃で、全ての魔法が僕に届く前に霧散する

さらに


「ぬぅん!」


振り下ろした鉄塊を引き上げ脇に構えると


「おぉらぁ!」


衝撃によって発生した土煙の中から、此方に殺到するゾンビに向かって力まかせに振り回した


ドドドド…ドンッ 


僕の力まかせな横薙ぎで、間合いに入っていた4・5体のゾンビを上下に両断しながら、更に横薙ぎから発生した衝撃波に因って後方のゾンビをバラバラに吹き飛ばした


(ギャッ)


「んっ」


決まった…と、僕が残心していると、短い悲鳴のあと、ボテッ と両足が千切れた状態のスクリーマーが僕の近くに落ちてきた


❲クァァ!❳


(フッベェ…)


其れを追う様に、1号改め、駆け鳥のイチが飛んで来て、スクリーマーを踏みつけた…


暫くスクリーマーを踏みつけたまま動かないイチに


「…あぁ、逃げられる所だったよ、ありがとね」


僕は感謝の言葉をかける


❲クァ!❳


それにイチは、嬉しそうに鳴き、身体を揺すった


(グェェ…)


イチが動いた事で、更に踏みつけが強くなったのか、スクリーマーが苦しそうに呻き声をあげた

そんなスクリーマーを見ながら


「何だかなぁ、最初はそれっぽい椅子に座ってふんぞり返ってたのに…期待ハズレだったなぁ…まぁ此方の人からしたら充分災厄レベルなんだろうけど…さてと」


僕は独り呟くと、トドメの為、鉄塊に魔力と気を同時に纏わせていく


「むむっ、やっぱり少々難しいな…」


苦心して魔力と気を馴染ませると、鉄塊を一回り大きくしたように、魔力と気を混ぜたものが覆う

そして僕は、ゆっくりと上段に鉄塊を構える


(ッ!)其れをヤバイっ!と思ったのか、スクリーマーはイチの脚を持ってジタバタし始めたけど


❲クワッ❳イチが短い翼を動かすと、いつの間にか再生させていた両足を含めて10数か所を、羽根を素にした杭でスクリーマーを地面に縫いつけると脚をどけて退避する


「それじゃあ…おっと、いかんいかん…ん“っ、うん…おらぁ!ぶっ潰れろやぁ!」


(ひぃっ、ちょっ、まっ)


ドッ…ガァァン 僕が振り下ろした鉄塊は、一瞬でスクリーマーを潰し半径10m程のクレーターを造った


「んっ?何か言ってた気がするけど…まぁいいか、しかし、やっぱりこうなるかぁ」


クレーターの中心で、塵もなく消滅したスクリーマーを確認してから、手に持った鉄塊だった物を見た僕は、独りため息をつく


「はぁ…アレやると絶対壊れるんだよなぁ……しかしまぁ前の街で聞いた通り、本当にアンデットばっかりで生きてる人いないね…」


❲❲クァ!❳❳


あわよくば、食料の調達でも出来ればなぁと、この町に寄ってみたけど、この分だと難しそうだなぁと思ってると、イチと一緒に2号改めニィイが駆けて来る


観ると、ニィイは翼を上手く使って、背に麻袋っぽい物を幾つか載せているのがわかった


「よしよし、ふたり共ご苦労さま」


頭を擦り付けてくる2頭…本当は2機なんだけどを、労う


改良の度、段々と生き物っぽさを増していく2頭に、戸惑う事もあるけど、この1年、苦楽を共にした2頭は僕には掛け替えの無い仲間と言える


「ともあれニィイ、何持って来たの?」


❲クウァ…クッ❳


ドサッと、僕に言われたニィイは背中の荷物を降ろして、嘴で麻袋をつつく


「なるほど、確認しろと?」


❲クァ!❳


僕が順に麻袋の中身を確認していくと


「ふぉう、マジかっ!まぁ麦みたいなのは良いとして、これは…米に大豆じゃあないですか!お手柄だよニィイ、お〜しゃしゃしゃ…んっなに?…まだある?…マジでっ?……」


その後、できるだけ回収する為、安全っぽい場所に放置していた2頭が引く荷車(僕作)を回収してから、町の保管庫の様な場所にニィイの先導で向かい、重量はそのまま反映されるという欠点はあるけど、空間拡張された荷車(僕作)に積めるだけ積み込むと町を後にした


「フフ〜ン、しかし米と大豆だけじゃなくて、他にも馴染みのものが幾つかあるとか、なんというご都合主義だよ……まさか…封印が解けて…いやいやいやいや、そんな馬鹿な…どどっどうしよう……っ!」


僕に悪夢が甦る、膨大なポイントで取得した勇者という名の地雷職だ…あの時は、即座にシノが封印処理してくれたから、心の傷も少なくて済んだけど…


「うぅぅ…」


僕はシノから預けられた石を取り出し、石が指し示す方向を確認する


「あっちからこっちに、だいたい…このくらい移動したから……よっしゃ、これなら飛ばせば2日で着ける…本当なら1年以上よく頑張った俺!なんて感慨深く思うんだろうけど…」


それどころじゃない!僕はあんなの風になるのは二度と御免だ


本心を言えば、もう少しブラブラしたかったけど…


僕は情報を基に脳内の地図に示された場所に向けて、2頭に指示を出す、一刻も早く再封印してもらう為に!


「よしっ、ふたり共っ!あっちだ、ぶっ飛ばせぇ!」


❲❲クァー!❳❳


僕の死活問題の為、荷車を引く2頭は砂煙を上げながら目的地に向い爆走していく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ