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(お嬢!あっちに人っぽい死体が何体か転がってやすが、寄ってきますかい?)
偵察に行ってた野獣さん改め、ヤーさん(本名はヤスオらしい)が、休憩中のウチにそう言ってきた
「うん、じゃあ紳士(吸血鬼の変態のおっさん本名は忘れた)が戻ったら行こかぁ…はぁダル…」
この森?山は広い…あれから2日経つのに行けども行けども木と坂しか無い
幸い、夜でも寒く無いのと、食べれる果物があったから良かったけど、すでにウチは文明が恋しい…
「あ〜、チョコ食べたい…ジュース飲みたい…あったかいご飯…」
(スタッ、吾輩戻ったのである…ザンス)
ウチが嘆いていると、複数のデフォルメされたコウモリが集まってきた
そのコウモリ達が合体して吸血鬼の紳士の姿になったあと、香ばしいポーズでウチに予想通りの報告する
(残念ながら吾輩、何も見つけられなかったのでザン…あるザンス…ザンスである…)
(言いづれぇなら、ザンスは辞めりゃいいでしょうに…)
この吸血鬼になんの期待もしていなかったウチは、そんな二人のやり取りを聞きながら、紳士を見て、そう言えばと思いだした
「はい、はい、語尾とかどうでもいいし…というかウチが作っといて今更だけど、みんな日が出てても大丈夫なんな?」
実は、昨日から気にはなってたんだけど、森が不気味なのとか、現地の魔物とかで、聞くどころじゃなかったんだよねぇ
(そういやぁ…)
ウチが言った事で、みんなそれぞれに身体に異常がないか確認しだす、そんななか
(ふふっ…それは、主様のあの過剰すぎる慈悲…いえ、愛のおかげです…おかけでこの子達も救われました)
普通の人が聴くと、心が病みそうな子供の笑い声を修道服から響かせながら、シスターのキョウカさんが言うと、(なるほどぉ)等と、みんなが納得しだす
「…ははっ…愛って……まぁ、みんな平気そうだし、ウチが凄いっつう事で、そんじゃ、その死体んとこまでいきますかっ」
みんなの様子には、ちょっと…いや、だいぶ引くけど、ウチは華麗にスルーして棚上げすることにして、さっさとヤーさんが言っていた場所まで移動することにした………
(此処でさぁ)
ウチらが1時間以上歩いて辿り着いた場所には、
「うっわぁ…」
首を落とされたのとか、拷問を受けたりとか、絶賛、食事中の狼っぽい魔物に食べられたりした、そこそこ損壊の激しい死体が少なくとも10体以上転がってる
とりあえず邪魔だから、ウチはスケルトンに魔物の駆除を指示して、念の為、辺りを調べる事にする
「おっふ…結構ダークなファンタジーっぽいんじゃけど………」
少し離れたとこに、女性だけ死体が5人分あった
その全てが、何処とは言えないけど、抉られたり、斬り裂かれたり、くり抜かれたりされたものばかりで、まともなのは一体も無かった
(うふふふ)
職業にせいなのか、吐いたりすることもなく耐えられるけど、同性のそんな死体にいろいろくるものがあったウチが少し呆然していると、
いつの間にか貞子(よく見ると髪が艶々だったり、服にもさり気なく高級ブランドのロゴがあったり、高そうなサンダルを履いたりもしてる)が、死体から剥ぎ取ったのかネックレス等のアクセサリーを持って笑っていた
(うふふ…ふぐがぁ)
(あらあら、オイタは駄目よ…でしょう?)
そんな貞子の後ろに音もなく忍び寄ったキョウカさんが、貞子の後頭部を掴んで持ち上げる
(あがががが…)
持ち上げられジタバタしている貞子に構わず
(主様の許しもない勝手な行いには罰が必要ですね…)
(ぎゃあああ、がっ)
バシャ、そう言ってそのまま貞子の頭を握り潰したキョウカさんに、
「ええぇ…」
ウチがどん引きしていると、ムクッと四つん這いになって、ガサガサガサっと頭を失った状態の貞子が、物凄い勢いで這ってキョウカさんから離れるけど…
ズサー、いつの間にか貞子の手足にしがみついていた、キョウカさん憑きの子供達のせいで、這った勢いのまま地面を滑ると尻もちをついた感じの態勢で止まった
(ひぃ)こっそりと再生していた頭を上げ、(キャッキャ)と自分の手足にしがみついて不快な声で騒ぐ子供達を見て、貞子は短く悲鳴を上げる
そんな貞子に向かって(あらあら)と近づくキョウカさんの手には、確かモーニングスターとか言う武器が握られてた………
「…さてと、このままじゃ可哀想だし見た目だけでもな……いけるかな?」
キョウカさんによる貞子への、拷も…指導をスルーして、ウチは女性達の死体の前に立った
「えぇと…失礼します…」
ウチは、それぞれの死体の上に浮ぶ霊ってより怨霊を参考に、実験の意味合いも込め死体にリペアを掛ける
「ほお〜、さっすが、高レベルスキルって感じ」
死体がアンデットなのかは知らんけど、超ポイントつぎ込んだ、限界突破なスキルには関係無いみたいなんよ
その結果、女性達の死体はしっかり見た目だけは、欠損を含め霊と同じ様に復元した
「後は適当に穴掘って埋そ…って、なに?」
自分の遺体が綺麗に復元されたからか、一人の霊がウチにお願いしてきた
別にウチ的にはどーでもいんだけど、この娘はこの辺の貴族の娘らしくって、詳しくは聞き流したから適当だけど、親とか近所の貴族に騙されて最近殺されたらしい、まぁ、霊とかアンデットはウチには嘘がつけないみたいで、この女も大概、碌でもなかったけど…周辺の国やら街やらの情報を聞くのにいちいち碌でもないエピソードを自慢気に入れるので疲れた……そうそう、この近くにダンジョンが在るのを聞けたのが一番の情報だった
「それで、復讐したいから手伝えと…しかもタダで?」
(この私が言ってるノです、平民は喜んデ従いナサ…ヒイ!)
何をゆっとんなっと、この女どうしてやろうか考えて居ると、周辺の魔物を仕留め終わったスケルトンがやって来た
其れを見たこの女はビビって悲鳴を上げたけど、馬鹿なのか図太いのか
(そっ、その魔物も含めて、すっ、すっ、すべて差し出しなさイ!)
ウチにそう言ってきた
これは、もう切れてもいいよねと、もうコイツ等喰って良いよとスケルトンを見た時、こう…閃いたウチは、おじゃるの時と同じ様に、向こうに居る霊も含めて全てを茨で拘束する
(ぎゃっ、いっ痛いっ、何をするのですっ!)
「望み通り協力してあげるよ…まぁ、実験には協力して貰うけど、強制的に……だから、アンタの番まで待っといてな」
そう言ってウチは、後ろで喚く女の霊を無視して、実験の為に先に見つけた死体の方に移動した




