召喚された兄そして娘 1
「コレ何なん、マジ最悪…」
んっ…隣からのダルそうな女の子の声に、意識が覚醒した僕はゆっくりと目を開ける
「………フッ」(っしゃあ!これは所謂アレって事でしょ!、フフッ、妹の悔しがる顔が目に浮かぶぜ、ザマァw)
目を開けたはいいが、眼球以外を動かす事が出来ない
仕方なく見える範囲で周囲を観察すると、黒板や教卓は無いが教室の様に席についた、三十人ほどの年齢もまちまちな男女が見える
皆は、ガヤガヤと騒いでいるけど、僕が気になるのは、眼の前の机にあるPCっぽい物の画面に表示されている内容だ
内容を確認した際は、歓喜のあまり叫びそうになってしまったけど、スタイリッシュなオタクを心掛ける僕はなんとか自制する事に成功する…
「……くそぉ」何故か、憐れむような顔をして鼻で笑う妹を思い出していると、僕達の前に、神様っぽい美形の女性がホログラムの様に映し出される
❲…これからあなた達の置かれている現状、及びその後の事について説明します、一度しか言いませんのでそのつもりで…それでは始めます……まず、あなた達は地球の神によって地球から廃棄されました、そして、それを不憫に思った我が神が自らの世界へ誘う為、あなた達を拾われました、しかしこれからあなた達が赴く世界は、地球とは異なりさまざまな危険が伴う世界です、此処はそんな世界へ赴くあなた達が生きて行けるよう力を与える…そんな場所です、理解しましたか…では…………❳
細かくは省くが、その美女が言うには、その世界は魔物だ治安だと、とにかく地球とは違い命の危険が多いので、このPCもどきで与えられたポイントを使い自身をキャラメイクしろとの事だ
❲…そう言っても職業と種族しか選ぶ項目は無いのですが、職業はポイントが許す限り幾つ習得しても構いません、ちなみにあなた達の言う所のスキルのようなものは、職業とセットになっていますので職業を選べば自然と理解できると思いますよ、次に……❳
どうやら職業には数の制限が無いみたいだ、それに職業には対応したスキルがセットになってるみたいで、例えば剣士だと剣術のスキルという具合いになってるらしい、ちなみに職業にレベルは無いけど、付随するスキルにはレベルが有るみたいで、職業を選択した後ならポイントを使ってだけどレベルを上げられるみたい
後、選べる職業は素質やら今までの経験やらで、人に依ってだいぶ違うみたいだ、それに持っている才能、相性の良し悪しで必要なポイントも変わると言っている
❲最後に種族についてですが、基本的に地球人は脆弱なので、職業に合わせたり、種族を変更する事で容姿のカスタマイズもある程度は出来るので、お好みに合わせて変更する事をおすすめします、あと変更する事で少なくとも、今お持ちのポイントと同等以上の種族ポイントがボーナスとして貰えますので………これは、私からあなた達への個人的なアドバイスですが、職業と種族は密接に関係しており、今、選択可能な職業も種族を変更すると選択肢から消えたり、また職業が増えたりもします、ポイント等もそうで、より職業にあった種族なら取得ポイントも少なくなりますし逆もまた然りです、まぁ、あなた達には特典としてノーコストでの種族の変更と簡単な各種族の説明、それから本来なら駄目なのですが変更先の種族が本来なり得ない職業についても、特別に適用されるらしいので気になる職業があるなら迷わず取得していただいて結構です…以上になります、三十分経ちますと途中であっても強制的に転移されますので、お早めにされることをおすすめします、それではあなた達に幸あらんことを……❳
言うだけ言うと、あっさりと美女のホログラムは消えた…
美女のホログラムが消えると、皆はザワザワと騒ぎ始めるが、僕は先程の話を改めて振り返ってみる、僕の感じだと、あの話には多分に嘘が含まれている気がするんだけど…いまいち決め手に欠けるというか…
「う〜ん…」そう僕が悩んでいると、「お〜」とか「これで勝つる!」などの声が聞こえてくる、なんとなくチラリと声のした方を見ると、まんまエルフって感じの見た目の女の子が魔法?なのか光る玉を浮かべて居たり、うさ耳を生やし、尻尾を確認してるのか手で臀部をサワサワしている、誰得な男が見えた
「あ〜あ、やってやんの…ご愁傷乙」
僕がその様子を伺っていると、ボソッと隣の子の呟きが聴こえた、その呟きが何か確信を得ている様に思えた僕は、
「どっ、どういう事だひっ…事だい」
問いかけようと、隣を見ると妹よりも若そうな女性に、少し上ずってしまったけど、意図は伝わったよね?
「ん〜?なんてぇか〜、種族を変えるとヤバイ?手遅れ?って、感じでゆっとんよなぁ、ウチの感がぁ…って、うぇっ!」
「あっ、なんでもないですぅ、すみませ〜ん…」
おもわず大きな声を出した事で、皆から注目された女の子は、恥ずかしそうにそう言い机に突っ伏すと
「はっず…いきなり話し掛けて来んなし…」
ブツブツと何かを言っているみたいだけど、僕はさっきの彼女の言い様が気になってしょうがなかった
「どうしてかな?、この子が言う事が正しいと僕も感じてる……えぇい、迷うな僕っ、あの妹の陰湿な嫌がらせを回避する為に、鍛え上げられた直感を信じろっ」
ゴン、ゴンと額を拳で小突き、最近では企みを躱され悔しがる妹を見れる様にまでなった、自分の直感を信じて動く事に決めた僕は、さっそく直感に従って行動する
「ね、ねぇ良かったら、きょ、協力「いいですよ…」しなっ、…いいの?」
小声で、机に突っ伏したままの彼女に声を掛けると、即座に了承を得られた
「なんか、あなたにアドバイス貰うのがいいらしんで…お願い…します…へ?…あぁ、ウチは、シノです」
「そうなんだ…あっ、ぼっ僕はコウイチだ…です、よっ、よろしく…ね…っと、じっ時間もあんまりないし、さっそく「あっ、ちょっといいです?」…どうぞ…」
自己紹介も終わったし、この後のことを相談しようとしたら、彼女…シノから
「すみません、先にウチが職業?決めた方が良いっぽいんで」
少し申し訳なさそうに言われ、僕は無言で続きを促した
「……んで?、あぁん、っんなの解るかよ…なに、聞け?…あぁ」
促した僕を無視して、PCもどきの画面を見ながら何やら呟いていたシノがこちらを見る
「あの、こ、こう…、コーさん、こん中で幽霊とか操る系のヤツわかります?」
おそらくシノが選択可能な職業を告げてくる
僕は、久しぶりに妹以外の女子から、名前を呼ばれたことに喜んでいることをおくびにも出さず、彼女の質問に答える
「そっその中だと、闇魔術師、暗黒魔術士に、闇司祭、後、ワンチャン暗黒卿もあるかもだけど、やっぱり幽霊って言うか死霊系だけど、と言ったらネクロマンサーかな……えっもう少し詳しく?…そうだね…細かい設定は差異があるけど、だいたいはアンデット系の魔物を召喚したり使役したりして、自分の替わりに戦わしたり、後、多いのは霊的なものを支配していろいろ便利に使う感じかな、それと…………どっ、どうか「ウヒッ」……何やってんの?」
少し説明に熱が入ってしまった僕は、女の子が出すようなものじゃない笑い声にシノの方を見てみると、企みが成功したような嫌らしい笑みを浮かべて、画面を食い入る様に見るシノがいた、その様子に少し引いてしまったけど、気にもなるので何をしてるのか尋ねると
❲…聞こえます?「むっ」…シッ❳
頭の中にシノの声が聞こえる、先程の下卑た笑いに比べれば、念話ぐらい僕の想定の範囲内なのだけど、聞こえているのをアピールする為、何奴!的な反応を返してみると「シッ」って言われてちょっと嬉しい
❲驚かんでな……❳そう聞こえた後、シノは僕の机に左手を添える
「なにを………」添えられた手を見て、なにをしてるのか問おうした時、ふと画面が目に入る
「はあ………ホントかよ…」チラリとシノを見て、此方に向けてドヤしているのを確認して、やっぱりこれは、シノがやってるのかと思うと
「ヒヒッ」っと僕もシノと同じ様に下卑た笑みを浮べ、今も尚、ポイントが増え続ける画面を見つめた




